第155話 竜人の巫女Ⅵ

「・・・それで整備中に来るなんてな・・・」

「そんな事はどうでもいいのです。私は兄様も会いたかったんです」


 武器は全て出しっぱなしである。既に終わって片付けているのもあれば、終わってないものもある。


「来ているって話は聞いてたけど、妹が巫女とは聞いてないはずだが・・・」

「隠されるように言われてたから・・・」

「まあ、それは置いといて、中に入って。散らかってるけど」


 一応巫女達だけを中に入れる。全員入れれるほど広くはないし、更には武器によって散らかっているせいで更に面積がない。巫女達だけを中に入れ、空いていたテーブルに座らせて、やかんに入れていた紅茶をコップに入れて、テーブルに置いた。

 私は座らずに立ったまま話を始めた。


「それで、本日はなんの御用?」


 妹は私の部屋を見渡していた。色々と置かれている武器や美術品が飾られている。他にも色々と置いているが、まあ、今は行っている作業のお陰で出しっぱなしである。


「兄様の部屋って、変わってもあんまり変わりありませんね」

「今はな。武器の整備中だから、こうなってるわけだし」

「いつもの兄様で良かったです」


 そう言いながら、出された紅茶をゆっくりと飲んでいた。私はため息を吐きながら、もう1人の巫女の方へと目線を向ける。


「それで、なんで王国の巫女様もいるんですか?」

「良いじゃない。私はこの子の付き添いでもあるし、民衆がどのように暮らしているのを知るのも私の役割の一つよ」

「そうですか・・・。まあ、ゆっくりしていってください。外の警備達よりも、今はここが一番安全ですから」


 外の実力者だろうが、私には到底及ばない。それにここは私の部屋であり、武器はたんまりある。例え、侵入してこようと一瞬で倒せる用意は整っている事になる。

 まあ、暗殺しようとする輩はそんなにいないだろうけど、もしいたら、そいつは命知らずだ。


「兄様が言うなら、安全ですね」

「シャル。この人って安心して大丈夫なの?」

「兄様より右に出る人って今の所見たことないですね」


 当時よりも右に出る者がいないか・・・。竜神様とか500年生きた連中なら、私と対等にやれるかもしれないが、分からないな。

 まだ、私でさえ本気を出しきれてないのもある。本気で遣り合うなら、それぐらいやるべきである。


「休んだら、気をつけて帰れよ。俺はやることあるから」


 私は立ちながら、1人紅茶を片手に飲む。飲み終わった容器をヤカンの隣に置いた。置いてある武器類の元へと行き、終わっている武器の片付けを始めた。

 それを見ていた妹がイスから立ち上がり、近くに来ては終わっている武器の一つを片手に持った。


「それにしても、色々とあるんですね」

「あぁ、俺の使う装備は確実に相手の翻弄、殲滅を目的にしているから」

「へえ、こんな針みたいな物・・・いえ、仕込みか」

「あぁ、これは魔法を仕込んでいる。少し魔力流すと発動してしまうから取扱には気をつけて」


 ベルトに一本一本入れたり、箱に入れたり、いつでも扱えるようにしている。終わった後、それをテーブルに置いたりしている。


「魔力を針に流した後、数秒後に発動するようになっている。すぐに発動すると持ち主に魔法の反動が来るから」

「なるほど、兄様らしい考えですね」

「なら、これ持ち帰るという。もしもの為の非常時に使えるかもしれないし」


 針を入れた箱をシャルに渡した。なかには使い捨ての試作品ではあるが、爆破系の強力な魔法が10本入っている。

 それを受け取ったシャルは中身を確認し、取り出していた。


「見た目は一緒でも、使い捨てだ。きっと何かに役に立つさ」

「ありがとう」


 シャルは取り出した針を中に入れ、腰のベルトに引っ掛けた。元からそういう作りだったのもあり、すぐに装着が出来た。

 王国の巫女が紅茶を全て飲み干した時、


「それじゃあ、そろそろお暇します。美味しい紅茶ありがとう」

「いえいえ、巫女の口に合って何よりです。道中も危険ですので、気をつけて」

「ありがとう。でも大丈夫よ。私達には強い騎士様がいるから」


 妹の首元の襟を掴み、引っ張りながら扉に向かい、そのまま開けた。


「では、またどこかでお会いしましょう。もし会えたらの話ですが」

「えぇ、近い内に会えますよ。きっと」

「兄様!!また今度会いに行きますから」


 私は帰っていく彼女らをただ手を振って見送った。

 ・・・今になれば、現在戦争中なのに呑気な人達である。妹がいるだけで敵が奇襲掛けようとすぐに見破られるので、そこら辺は安心である。あとは護衛の騎士がどれだけ強いかどうか・・・、まさかいきなり私の渡した装備が役に立つかもしれない。

 前の巫女の護衛達は奇襲により壊滅した。ので、それ以上に実力者を集めていると思う。

 上空から一応監視だけはしておくか・・・。

 私は一旦手入れをやめ、戦闘準備を始めた。

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