第154話 竜人の巫女Ⅴ

「ファルト君?さっき本借りて出てったばかりよ」

「どっちに行ったかは?」

「そうね。そのまま寮へと戻ったかも、出て右に曲がったと思うよ」

「それって・・・」


 図書室へと寄った巫女達はファルトについてシャルは聞き込みをしていた。一刻も兄に会いたい彼女はすぐに図書室を飛び出した。だが、既にそこには誰もいなかった。

 すぐに中へと戻り、エレニアへと近づき、


「すぐに寮へ!!」

「その前にもう少し見学したら?まだ始まったばかりでしょ?」

「でも・・・」

「それに寮にいるって分かれば、良いじゃない。今は彼がどんな生活をしているか、見て回った方がきっといいよ」

「・・・そうですね」


 エレニアは彼女の肩を持ち、優しく言葉を掛けた。すぐに振り返り、図書室で受付にいた女性に声を掛けた。


「お騒がせしました」

「いえいえ、巫女様が来てくれただけで、十分嬉しいです!!」

「そう言ってもらえるとこちらも嬉しいです」


 そう言いながら、シャルを連れて図書室を出た。



「武器も使う分、きれいにしておかないとな」


 武器の手入れを現在自室で行っている。それをしてこないと、やはり錆びて威力も落ちるし、欠けやすくなる。たとえ、使わなくともそれを行う必要もある。

 そもそも、私の扱う武器の種類はやたらと多い。小さい物も含めて数えただけで100個は軽く超える。一つ一つ丁寧に布を使って一つ一つ磨いていく。主に針や短剣なんだけど、魔法が仕込まれている物も全部である。少しの汚れがついてるだけで魔法がうまく発動しない事もよくあるからだ。


「たまにはこういうのもありだな」


 今日は何もする事がない。指輪の件も明日には出来上がってると思う。まあ、問題があるというなら、精霊剣が現在どこにあるのかだ。予想では既にあそこから移動している。

 精霊剣に宿る力を引き出せる訳がないだろうが、それを扱う相手には要注意だろう。

 手入れを行いつつ、終わった物を丁寧に選別された所へと置いていく。剣は抜き取り、丁寧に砥石をし、布で輝くまでやった後、元に戻し、針は収納されていたベルトの上に置き、あとで一気に戻す。

 そんな感じで一つ一つを磨いていった。

 夕暮れで沈む太陽が窓から光を放っている時間帯、ドアが二度程叩く音が部屋に響いた。


「ん?こんな時に誰だ」


 私はいつもの女性の姿でいたため、男性の姿に戻した。その後、立ち上がってはドアの前へと立った。


「はいはい。今開けます」


 そう言いながら、私はドアをゆっくりと開けた。

 そこには数名の頑丈な装備をした騎士数名と巫女と妹がそこに立っていた。

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