第53話 王都へ

 王都、王城内では日頃以上にざわついていた。王の子でもあるリネルド、魔法教会による襲撃を受けたが、近くにいた魔法学校の同期によって迎撃された。ただそれだけで国家レベルに相当していた。


「王よ。リネルド王子を今のままでいいのでしょうか!!こちらに戻した方が安全では」

「少なくとも、こちらよりもあっちのほうが頼りになるやもしれん」

「こちらには大賢者様が居ります。やつらも手は出しづらいかと」

「大賢者とはいかないが、それに相応の実力者はいる」


 大臣や他の神官達、貴族達が王へと意見していた。玉座で話し合いをしている時、ふらっと大賢者が現れ、彼らへと近付いた。


「僕もあっちの方が安全だと思ってるよ」

「大賢者様、戻っておられたんですね」

「あぁ、僕だって各地を見て回っている身さ。僕がいない時、ここは安全とは呼べないかもね」

「だ、大賢者様がそう仰られるのでしたら」

「しかし、ではあちらがなぜ安全だと思われるのか」


 大賢者はただ笑みを浮かべながらこう答えていた。

「あっちには聖勇がいる。実力は僕以下でも信頼は出来る」


 彼の言葉に皆は納得していた。聖勇は神から与えられた力を持つ者、その力は強力であり、有望な人材でもある。彼らにとって聖勇は国の重要な戦力として考えている。


「それに近い内に聖勇達がここへ集結するさ」

「既に相手から宣戦布告は受けています。他国と共同にはなりますが」

「魔法教会と全面戦争・・・相手は何を企んでいるのかは分からないけど、受けた以上やるしかないさ」


 魔法教会の戦力は軍以上、ほとんどの国で存在しており、その会員数は軽く30万以上は超える。一つの国家宗教の程だ。

 国にとってはいつか牙を向くと唱えている者もいたが、現実にそうなった。


「例の聖勇達は午後には到着するそうです」


 突如とそこへと入った騎士はそう口に出した。4人いると言われている聖勇は現在魔法都市に2人、他の地方に1人ずついる。それぞれが現在馬車によって向かっている。王の命令により、招集を掛けているからだ。

 魔法都市からは更に別の件で一名呼んでいた。


「何にせよ、午後からが僕らの本番さ」


 その場にいた大臣や貴族達はただ、黙り込みながら頷くだけだった。



「ほんとに魔神倒したんだね」


 拾った水晶を持ったり眺めたりするリネルド。

 現在俺は馬車で王都へと向かっている。同行者はリネルドとフェネスのみ。この二人はまあ分かるが、俺はなんか勲章を渡すとかでお呼ばれされたみたい。リネルドとフェネスが王に手紙のやり取りで報告していたらしく、王が勲章を渡すとかで呼ばれたとか何とか。

 まあ、あれから1週間立つので手紙程度のやり取りなら可能なのかもしれない。


「それで、俺以外にも聖勇達がタイミングよく向かっていると言ってたけ」

「うん、色々と今立て込んでるみたいでね。なら、時間外れると思うけど、同じ日にやった方がいいと」

「でも忙しい時期に無理して俺に勲章渡さなくてもいいような気がする」

「王の決定には私達も逆らうことは出来ない」


 まあ、やるからこうして連れて行かれているんだろうけど。ちなみに学校は事実上休みを貰っている。そうじゃなきゃ、休みなんて取れない。

 ちなみに彼は魔神と言っていたが、人間魔物どちらでも起こりゆる現象らしい。黒い霧を口から吐き、とてつもない魔力を持っており、その生体を遥かに超えた力を持っているとか。大きさも個体によってそれぞれらしい。あの時はものすごくでかくなってたっけ。

 その水晶は通称「魔水晶」、魔神の魔力部分にある物らしい。そう簡単に落としては割れないような代物だ。

 まあ、魔神ってそんなものよね。ただ発生条件は自然か、もしくは何者かによって生まれるらしい。今回は不明なので、もはやどうでもいいやと考えている。


「そういや、魔法都市からこれとは別に2台馬車向かったんだっけ」

「うん。魔法都市に同じくクラスのスクリア、1つ上の先輩の『ネオルド・アーキュラー』って人」


 ん・・・待てネオルドだって。まさかあの良くしてくれている先輩がか。

 あ~でも奇跡のネオルドって呼ばれているから何らかの魔法か能力を持っているのだろう。ま、世の中色々よなあ。


「とまあ、他にもいるけど、それは到着した時に話そうか」

「まあ話が長いならそうしてくれ」


 馬車は揺らぎながら、王都へと徐々に近付いていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援した人

応援すると応援コメントも書けます