第52話 一騎打ち

 相手は左右に持つ短剣を回しながら、俺を見ていた。他に者はさっさと撤収をしていた。追いかけようにもこいつが俺を警戒しているようで、なかなか近づけない状態である。

 俺のスキを見ていたラザックは突如と目を鋭くし、走り出した。その後、俺の首筋へと短剣を滑らす。だが、俺はほんの少し後ろへと下がったので、ギリギリのラインで当たってない。

 すぐに後ろへと後退した。


「感の鋭い。貴様ほんとに人間か?」

「人間・・・そうですね。死者と名乗っておきますか」

「人間やめたって言いたいのか」


 そう、俺はもはや人間ではない。これは昔から感じていた違和感でもある。俺はとっくに人間でなくなっている、元々そのように考えていた。

 本当に人間なのかって日々考えてしまう。目覚めてからの感覚や違和感はさっき思い出した記憶で全てではないが、何かが繋がったと思っている。まあ、ここ辺りも一人で検証する必要はある。


「人間やめてるって、まるで吸血鬼だな」

「なんとでも言うといい」

「は、調子乗っていると足元持ってかれるぜ」


 すぐに特攻掛けては足元、手首、胸へと攻撃を仕掛けてくる。狙い箇所は全て急所のあるポイントばっかだ。体のどこを狙えばいいのか、かなり熟知している。


「アシスト、バーサク、パワーリフト、スピードウォール、バリアフリー!!」


 すぐに魔法を唱え、自身を強化したラザックは余裕そうな顔で攻撃を再開する。言葉に出したのは間違えないためであろう。先程自動的に発動していた所からそう考えられる。

 更に加速した動きで攻撃を仕掛けてくる。油断したスキに顔へ切り傷が出来ていた。その後、すぐにもう片方の刀で腕を狙ってくるので、瞬時に硬化系魔法を使用し、剣を弾いた。


「硬化か、物理貫通で突破出来ないとか」


 物理貫通、俺みたいに強い効果を発揮せなければ突破されていたであろう。油断しているとこちらが仕留められかねない。

 他に装備していた短剣を両手に装備し、構えていた。


「物理貫通、確かに硬化だと容易に突破出来るだろう。だが、俺の魔力があってこその事だ」


 硬化系にも通常の硬化から強硬化まで、数多くある。貫通系にとっては天敵の関係なのだが、魔力の関係では破れない時もある。

 俺の魔力があってこそでもある。慣れた手付きで次から次へと攻撃を仕掛けてくる。俺も流石に片手の剣だけでは防ぎようないので、腰に装着した短剣を取り出し、防ぐ。

 何かを警戒したのか、後ろへと一回転しながら持っていた短剣を投げ飛ばしてきた。俺はその短剣を弾いた時には、次の短剣を抜き、真下から斬りつけてくる。

 狙いは顔だったしく、ギリギリ避けられた。そのまま、一回転しながら足で蹴り飛ばす。威力もなかなかだったが、防御されていたが、多少は効いたようである。


「さっきから防御ばっかで大丈夫なんか」

「どれほど驚異でも侮ってはいけない・・・。そう判断したまでさ。だが、ここから本番だ」


 俺は剣を構え、攻撃へと移る。スピードアップ、リフト、持っていた剣の刃が彼へと襲う。攻撃してはすぐに移動、転移による強襲、相手に攻撃手段を与えない。


「いきなりフルコンボか。やられるか」


 彼は防ぎ、奇襲で攻撃したが俺は転移で後ろへと移動し、剣を突き刺す。


「っち」


 剣は足へと刺さり、動きは鈍くなるが、すぐに回復系の魔法を使用したのか、足の出血は止まった。出血が止まった瞬間に後ろにいた俺へと短剣を振り回すが、その前に転移で移動した。


「相当魔法の扱いがうまいな。移動は短いが転移での移動行動、予測、相当手慣れてやがるな」

「剣術は元々だよ。これで何人殺したか・・・。まあ、魔法頼らずとも戦えるんだけどね」

「まるで手抜きって言い方だな」

「そう取れるかもね」


 その後、目の前へと移動した後に両腕ともに浅い斬り込みをした。


「――!!」


 気付いた時には次に太ももへと斬り込み、その後に蹴り飛ばした。ちなみに長さの違う剣を2つ同時に行う。短剣はマジックソードで長さ調整を行った。

 蹴り飛ばした反動で両手に持っていた短剣は地面へと落ちた。


「貴様・・・」

「ほんの一息、それだけのタイミングでここまで行動出来る。どれだけ相手を行動させないか。重点はそこにあった」

「まだ・・・まだやれるぞ」


 相手の動き、相手の行動不能にさせる方法、全て計算しての行動だ。

 剣術は元から二刀や一刀で色々と極めている。タイプにもよるが、それを想定した相手を魔法で分身を作り出しては特訓していた。お陰で、それが今回役に立ったのもある。

 とりあえず、眠り粉を袋から取り出し、それを投げつけた。立ち上がろうとしていたが、すぐに倒れ込んだ。


「色々と時間掛かった。他の連中は」


 だが、時既に遅し。他の協会メンバーの姿はなかった。

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