第17話  もう一試合

「・・・」


 フェネスはずっと黙っている。本人曰く、今回の敗北について自身に何が足りなかったのかをいつも考えているそうだ。どこかを見つめながら、ずっと座ったままで動こうとしない。


「ダメだ。どう考えても勝ち目がない」


 頭をかきながらそう呟いていた。ちなみに俺の攻撃でかなり体の方へダメージが入っていたようで回復魔法で完全に回復させた。これでも手加減していたのだが、相手にはかなりな痛みが走っていたみたい。

 あまりにも俺らの模擬戦は早めに終わったらしいが、周りではずっと魔法合戦だ。だが、それ以上に注目が集まっていた。


「ライトニング!」

「ファイアウォール!」


 リネルドとスクリア、二人はかなり激闘を繰り広げていた。先程からの魔法攻撃でどちらも汗や息切れを起こしていた。

 どちらも魔法の完成度は高い。だからこそ、長引いている。


「やるね・・・」

「そっちこそ・・・」


 互いに距離を取りながら、どちらも魔法を仕掛ける。中距離魔法を使いながら、接近とかせずに撃ち続ける。

 だが、それは長くは続かなかった。俺らが終わってから5分ぐらい経った時だ。どちらも同時に魔法を発動しようとしたが、どちらも不発に終わった。


「「!?」」


 簡単に言えば、魔力切れだ。戦闘時に一番起きてほしくない事だ。魔力が切れれば、まだ残っている魔力よりも消費が上回るなら、発動はしない。

 どちらも魔力が底に近いって事だ。よりによって中級魔法系を連続して撃ち続けたのだ。さぞ、消費もかなりしていたはずだ。

 それでも、あれから5分以上発動していたのだ。互いに魔力はかなりあると確信した。


「二人ともそこまで」


 先生の声とともに二人とも動きを止めた。


「最後までよく頑張った。早い所は2分で相手を粉砕していたけど、君らは互いに力を出しきった」


 2分で終わらすとか、どれだけ手強い奴がいるやら・・・。


「二人とも少しは休憩していなさい。もうほとんど魔力も残ってないはずだし」

「確かに、身体中に重みや目眩もしていますね」

「俺もだ。魔力を空にする時に起こる現象にそっくりだ」

「なら、隅っこで見学をしていなさい。それくらいは動けるはずさ。あとこれ渡しておくから、座った後に飲むといい」


 先生は二人にマナポーションを渡した。青い色をしているので、魔力回復用のポーションだ。

 それを受け取った二人は隅へと移動した。


「残りはローテーションでもう一度行う。これがラストだ。気合い入れろよ!!」


 はいっと周りで声が飛ぶ。


「さて、私は別の人と組むとするよ。君も早く決まるといい」


 フェネスはそう言いながら、近くにいた女子生徒に声を掛けに行った。

 俺もその後に近くにいた男子とペアになり、3分と経たずに叩きのめした。

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