第16話 『世界の歴史』
次の日、訓練はお昼からというで、それまでは自由時間となった。
自己鍛錬に励むものもいれば、部屋でゆっくりしているもの、勉学に励むもの様々だ。
俺達二人は、調べものをするということで城の書物庫を見せてもらっている。
「なあ、他にやることなかったのか?」
ハイマーに問いかける。
「特になにも無かったし、タクミ君の調べものとやらには興味があったからね、手伝いますよ」
「手を貸してくれるのはありがたいが余り楽しい物ではないと思うぞ?」 恐らくだが、良くはない事だ。
「大丈夫、一人より二人ですよ」 手近にあった書物を読みながら答える。
「あぁそれじゃ……」
歴史と、この大陸の詳しいことが書かれている本を見つけたら持ってきてほしいと。
書物庫というだけあって結構広い。こんな訓練兵擬きが見ても大丈夫だというのだから、見られたらやばい物とかはきちんと隠してあるんだろう。
『魚料理の作り方』『騎士になるには?』『ゴブリンと愉快な仲間たち』『俺が姫になります!?』『武器図鑑』etc……。
なんだこれは……。
本当に城の書物庫なのか……?
そりゃ、騎士になるにはなんて本はあるけどこれ、市場とかに置くべきじゃないのか?
視界の端に何かを見つける。「んあ?」 それらの本に混ざって一つ。『カーランド大陸の歴史』と
「まあこれが今の所一番近いだろう」
カーランド大陸
いつから存在しているかは不明
この都市エンデと副都市の四つは位置は特に魔力が集中しているところである。
昔は、魔族が闊歩していて、恐ろしく凶暴で、人を攫い、殺し、犯し、好き放題されて酷い有様だった。亜人が今も存在しているのはこのときに孕んで生まれた子たちが今まで生きてきたということなのだろう。それから魔族に対抗するために聖騎士団というものが作られる(最初は反乱軍として)。
魔族は反抗されると思っても見なく、すぐさま追い返すことは出来たが、奴らも知性はある。下に見てきた奴らに反抗されて頭に血が上っていたのだろう。多くの兵を連れてきて大戦へと発展した。半年もするとじわじわ魔族が引いていく。一気に押し込む。というときに命がけで魔界に偵察へ行っていた人から、とんでもない魔物を連れてきているどうにかしないと、という知らせを聞いて、一人の男が立ち上がった。反乱軍のリーダーだ、彼は剣の腕が一流で魔力もふんだんにあった。その彼は何をどうしたのか、やり方は不明だが、自分の命と引き換えに魔界への入り口で塞いだ。それが今のエンデ、タイタン、ケルン、ターチャ、ロマである。管理しやすいということだろう。それからほぼ100年周期で誰かが封印をかけ直しているらしい。
魔族は恐らく多く魔力のある所でしか活動できない。魔界の入り口からあまり離れろことはなかったそうだ。その代わりに特殊な魔法を使う。闇魔法だ。幻覚や幻聴、視覚妨害など厄介なのが多い。あと、転移魔法も使うとの噂もある。これは定かではない。
「これは……」 こんなことがあったのか、知らなかった。
文末に※これに出てくる行動はあくまで作者の想像です。と書いてあった。
ホントに想像なのだろうか…。話を聞いてみたい。作者は『ルイ・クローネ』…。書かれたときは…大分前だな…子孫にでも会えればいいんだが…。
一人で唸っていると、ハイマーが本を片手に駆け寄ってきた。
「ごめんね、こんなのしか見つからなかったけどどうかな?」
『中央都市エンデについて』 ちょっと気になる。
「って、俺ひなじゃん! なんでこんなところに!? 読みたかったんだよね!」 手に取られた本には『俺が姫になります!?』あれ『俺ひな』って略すのか……。
ハイマーは置いておいて、持ってきてくれた書物に目を落とす。
エンデ
カーランド大陸の中心に位置する都市、全体を統括している。
少し前から人形兵が猛威を振るっている。軽く魔力の通しやすい木材をタイタンから。強く頑丈な体をターチャからかき集め、人型の殺戮兵器を作り出しているそうだ。
数はかなり少なく、作り方も不明。
これは魔族に対抗するための兵器だろうか。とそこでふと思う。
100年周期って次は何時なんだろうか。
そこでお昼の合図が聞こえる。長い間籠っていたようだ。
『俺ひな』を読みふけっていたハイマーも連れて食堂へ向かう。
お昼を終え、しばらくして今日の訓練が始まる。
今日のは隠密行動だ。暗殺部隊の練習だろう。
いつもセチアやレアのやっているように体を動かしてみるが、なかなか上手くいかない。あいつら凄いな。
やはりというかあの二人は頭一つ抜けていた。昔からずっとあれやってたもんな。
わずかながらにセチアの方が軽やかにこなしている。流石姉という所だろう。
ハイマーも、やはり上手い。ホント器用だよな。
羨ましくもあるが俺は俺だ、出来ることをしよう。
審査官に奇妙な動きと称された。俺の隠密行動は続く。
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