第十二章 聖騎士の光刃 -8-
「真面目な話、
コンスタンツェさんの息が荒い。
あの
まあ、
「そろそろ終局ですよ、コンスタンツェさん。もう貴女には、捨て身しか手が残されていない」
「あての手え読み切って戦いはる子なんて、見たことあらしまへんなあ!」
コンスタンツェさんの両手の間で、素早く
左右どちらでくるか、読みにくくさせる気か。
あの
神剣同士のぶつかり合いになっても、フラガラッハが砕けることはまずないだろうからな。
問題は、攻撃力だ。
どうやって、あの
普通の
その間、こっちは無防備で立つことになるわけだしなあ。
まあ──あれしかないか。
一撃で駄目なら、連打を叩き込むしかないんだ。
速度の上がっている
コンスタンツェさんの短剣技に何処まで迫れるか、やってやろうじゃないか。
踵を居着かせない歩法で前進を開始する。
二歩進んだところで、剣の間合いに入る。
だが、抜けないフラガラッハで攻撃しても、
更に、一歩を踏み込む。
そこはもう、
電光のように、コンスタンツェさんが右手に握った
その突きをフラガラッハで払い、そのまま
その間に一歩右足を踏み込み、右手の
更に連続して右肘の
崩れた態勢から手首だけを動かして、コンスタンツェさんが
ほとんど勘だけで、僅かに身を捻る。
背後から心臓を狙った刃が、障壁を突き抜けて左肩の付け根を刺す。
痛えっ。
覚悟はしていたが、激痛が襲い掛かってくる。
ぎりっと奥歯を噛んだ。
大丈夫、無視できるさ。
反動を加えて左足を踏み込み、左掌の
上体が後退し、
だが、どんな姿勢からでも、
今度は頸動脈を狙ってきたか。
左半身を右半身に入れ換えるときにちょっとだけ首をずらす。
皮膚一枚持っていかれたが、無視して右足を踏み込んだ。
右掌の
悲鳴を上げる障壁に、次の
粉々に砕け散る
そこに、更に左手の
敵を滅するまでは止まらない。
これが、
最後の
同時に、ぼくの周囲に十本の
これが、
回避は不可能。
なら、このまま踏み込むしかないな!
急所だけは避けつつ、刃が突き立つに任せて左足を踏み込む。
まだ、
今なら、コンスタンツェさんにも障壁はないのだ。
左手の
血を吐くコンスタンツェさんに、追撃の
骨を砕く感触の替わりに、結界の硬質な反発を感じた。
致死判定の表示が、
か、勝ったのか。
こっちも、最後の
あちこちから、出血もしている。
慌てて救護員が駆け込んできて、コンスタンツェさんを運んでいく。
担架に載せられたコンスタンツェさんは、運ばれていく寸前に、小さく唇を動かした。
「あそこで突っ込んできはる子おには勝てへんわ。まともじゃあらへん」
まともじゃないとは失礼な。
だが、運ばれていくコンスタンツェさんには、あえて反論しなかった。
あれは、彼女なりの強がりだろう。
おっと。
勝ったと思ったら、力が抜けた。
ぼくも、思わず膝を突く。
ぼくの方にも救護の人がやって来て、応急の手当てをしながら担架に載せてくれる。
ちょっと無茶したなあ。
でも、あそこしか勝機はなかった。
あの
再び
うん、強かった。
コンスタンツェさんは、本当に強かった。
もう少しだけ武術の腕があれば、ぼくは勝てなかったかもしれない。
彼女の強さの秘密はあの
学院からの帰国後、彼女はあれを継ぐ儀式をしたのだろう。
学院での講義で、あの
まさに教会そのものを背負って戦いに臨んでいたコンスタンツェさんだが、如何せん、
豊富な
正直、ぼくの絶技なんて、
それでも、コンスタンツェさんには入った。
彼女の武の練りが、単純に足りなかったのだ。
そんな風に試合を振り返っていたところだった。
突如、ぼくの頭上に短剣の刃が煌めいた。
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