あと95日。 《下》



『…3、か…』



 一番上のボタンを締めて私はパジャマを着終える。今日から3日後は2月8日だ。

 祝日でも誰かの休みでもない。一体なんなんだ…?


 不思議に思いながら私はお風呂を出て、髪を拭きながらリビングへと向かう。

 何気につけたニュースからはあのアナウンサーがある種のウィルスの話をしていた。



「今、巷で騒がれているのがインフルエンザではなく、新種のウィルスです」



 あぁ、トウヤ先輩が話していたやつか…。

 私はそのニュースを私は右から左へと聞き流しながら買ってきたお惣菜やご飯、飲み物などを机に並べる。



「このウィルスによる死亡報告はまだ報告されていません」


「このウィルスに感染するとどのような症状が出るのでしょうか。専門家の先生に本日はお越しいただきました」



 一通り並べ終わった私はニュースを見ながらご飯を口へと運ぶ。



「このウィルスは主に耳に悪影響を及ぼすのです」


「と、いいますと?」


「聞こえるはずもない声が聞こえてきます。しかも数字という患者さんがたくさんいるのです」



 ……!!

 立花さんと同じ?!


 私はご飯を食べる手を止めて真剣に聞く。



「それを引き起こしているのが一種のウィルス、という事ですか?」


「まだ、断定はできませんが都内だけでも数十例も報告されています。我々はこれをNNウィルスと名付けました」


「NNウィルス…。これを防ぐ方法はありますか?」


「幸いな事にまだ死亡例は報告されていません。ただ日常生活に支障が出る事は間違いありません。患者さんに共通点や面識があるというわけではないので各々の生活習慣が関係していると我々は予想しています」


「聞こえるはずのない声が聞こえるNNウィルス、私たちも気をつけていきたいですね。先生、本日はありがとうございました」



 頭を下げるアナウンサーさんたちを横目に私はご飯なんて食べずに考える。


 もし、仮に立花さんが新種のウィルス、NNウィルスに感染している場合、それを立花さんに伝えるか、伝えないか…。


 自分に置き換えて考えてみる…。


 自分の耳に変な言葉…、その原因が新種のウィルス…。



『…うっわ…、鬱じゃなくても死にたくなるわ…』



 私はそう呟いてご飯に手をつける。

 とりあえず、だ。とりあえずご飯を食べて、明日のバイトの帰りにでも立花さんに話そう。


 さりげなく、2月8日って何かありましたっけ?とか何とか言いながら、ウィルスについて話し出す。


 そもそも今日聞こえたのが3ならば普通に考えて明日は2、と聞こえるのでは無いだろうか?


 実際、私の視界に映る数字だって日をまたぐ度に変わるし…。



『よし。明日の目標はとりあえずウィルスについて話す事、だな!』



 私はそう呟いでご飯を口にした。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

世界滅亡まであと何日? えむあーるえー。 @MRA_030

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ