第110話 カニ

「もう仕事辞めようかな」

 友人の1人が真夜中に突然言い出した。

 もう1人の友人が

「辞めてしまえ、今日は仕事に行くな」

 と言った。

 私は、すでに無職のようだった。

 道路を3人で歩いていた。

 脇に小さな川が流れている。


 私は網で川の泥をすくう、すると泥の下から無数のカニが現れた。

 比較的、小さ目なカニ。

 友人達は驚いていた。

「このカニ食べるのか?」

 と聞くので、私は食べれると答えた。

 もう1人の友人が、もっと大きなカニが食べたいと言うので、私達は海へ向かった。


 そのはずだった。


 歩いていくと角にタバコ屋があった、曲がるその時までは、確かに3人いた。

 タバコ屋を曲がると、私は1人で歩いており、目の前には老人が1人立っていた。

 私は老人に、なぜ会社を辞めたのかを必死に話していた。


「それはな…桜雪くん…」

 老人は何事か私に話していたが、私はソレを否定するばかり、結局、私は後悔していたのだ。

 すべてはその現実から逃げていただけ…。

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