第24夜 ご指名

 学校なんだろうか…これから何処かへ向かうらしい。

 長細い教室に50名くらいの生徒がいる。

 教壇の先生が班編成をしている。

 青いマジックで男子の名前を1人書いた。

「〇○くんと組むのは誰がいいですかー」

「××ちゃんでーす」

 先生の問いかけに、生徒が答え、赤いマジックで女の子の名前を下の方に横並びで書いた。

「コレでいいですかー」

「いいでーす」

「じゃあ桜雪くんと組むのは誰がいいですかー」

「私が組みまーす」

 誰だか知らない女の子が手を挙げる。

「私も桜雪くんがいいでーす」

「じゃあ私もー」

 3人の女の子が手を挙げた。

 桜雪と青いマジックで書かれた脇に3人の女の子の名前が書かれた。

「困ったわー」

 先生がホワイトボードを赤いマジックで苛立ったように塗りつぶしていく。

「本当に困ったわーーーーーーー」

 ホワイトボードが滅茶苦茶な色で塗りつぶされていく。

「アハハッハハハハ」

 生徒たちが狂ったように笑いだす。

 先生が叫びながらホワイトボードを叩きだす。

「桜雪くーん、キミはーーーーーーーー」

 先生は生徒に背を向けたまま私のせいだと喚きだす。

「みんなで行けばいいじゃないですか」

 誰も私の言葉に耳を貸さない。

 皆で行けば…私は自分のせいなのだと教室の真ん中で自分を責め続けていた。

 でも…私が一緒に行きたいのは…教室の隅で下を向いたままのあの娘なんだ。

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