第139話

 ロストオリジナリティから数年後……新たな研究施設において「初期ロット」の魔法少女が完成した。


 新しいポーターを与えられ、ダークエネルギーを壊滅してゆく魔法少女達……。


 魔法元老院も「軟化」した……ただ脅し、強制的に少女達を支配するのを改め、その存在を尊重し、名誉と「果実」を与える……。


 果実とはつまり……カネである。




 人権とカネを得て魔法少女達は「人間」と認められ、紆余曲折を経て魔法元老院は、魔法評議院と魔法監理局に分かれ、オリジナリティの「娘達」は世代を重ね、魔法少女の量産は安定期へと移行してゆく……。






 めざましく進化した医療技術……様々な病から身を守るワクチン、医薬品……。


 それらには高度な成分検査器でも検出できないごく微量な魔法遺伝子検出抗体が含まれている。


 現在この事実を知るのは、全ての医薬品企業に人員、資本を投入し支配している魔法評議院であり、魔法監理局であり、魔法少女を輩出してきた国々の政府である……。


 魔法遺伝子検出抗体は、あらゆる人間に無害であり、女性……すなわち少女にしか効力を示さない……勿論、ここまでになる為に「些細」な犠牲は伴った。


 薬やワクチンの成分表示に「存在」せず、巧妙に混ぜられ、検知される事なく我々の体内に容易く侵入する。


 血液、唾液、尿、細胞……健康の為に私達は産まれた時から「盲目的」に医療機関に自らの一部を提供する。


 この世界に不可侵な「聖域」はない。


 魔法評議院の黒いネットワークは、毛細血管の様に広がり、社会に取り憑いている……。


 人々から「提供」された供物から、少女達のサンプルを精査……魔法遺伝子検出抗体に反応した少女を選定し、適齢期に達すると、監理局を経由して本人に告知……対象者が受け入れ、魔法少女となるのもよし……拒否して、その時点の記憶を消去されて、いつもと変わらない日常を送り続けるのも本人次第……。


 受諾率は……7割。


 こうして、誰も傷つかない魔法元老院が構築し、評議院が継承した静かで完璧な魔法少女選定システムは世界中で稼働し、今も新たな魔法少女の産声を待つ……。




 もう、とっくに死んでいる………


 魔法評議院に潜んでいる……。


 それぞれが「勝手気ままに」振る舞い、今も何処かで生きている……。


 そもそも、角砂糖を味わった瞬間から、彼女達は永遠の命を与えられた……。


 3人のオリジナリティに対しての様々な噂。


 真相を知る者は「公式」には存在しない。


 彼女達は、魔法少女達の母である……。


 オリジナリティ達の魂、心、細胞、血、躰……全てが魔法少女の源……。


 脈々と世代を経由して受け継がれた「想い」。


 故に全ての魔法少女……りおん、ひばり、リンスロット、キャサリン等……その源流を辿ってゆくと、3人のオリジナリティの誰かに辿り着く……。

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