選別……アバン……。
第38話
ダイナミックな、トランペット達が鳴く……。
リズミカルなメロディーラインに、ステッキさんのナレーションが絡み合う……。
人類誕生以来、愚かな人間達は、幾多の内部抗争と政治との黒い癒着の末、この世界の頂点に君臨し、更に強欲と恥辱にまみれた人間の念と、宇宙空間の闇が手を結び、地球全てを脅かす巨大な暗黒組織を形成した……。
ダークエネルギーの誕生である……。
人類は、この巨大組織の壊滅を目的とし魔法監理局を創設……選りすぐりの精鋭部隊を編成し、ダークエネルギーに戦いを挑んだ……。
この部隊の唯一の目的は、ダークエネルギーの壊滅である……。
恐れを知らぬ彼女らの行動を、組織は「MS」即ち魔法少女……。
命知らずの少女と呼んで、恐れおののいた……。
トランペットが存在感を増し、メインテーマが奏でられる……。
シルバーのサバンナRX7が横滑り気味に止まり「助手席」から顔を覗かせたりおんが、敵に愛銃のルガーの銃口を向け、トリガーを引く……。
「り、りおん……いきなり何だ、このアバンは」
「何ってステッキさん……アバンだよっ……」
「いやりおん……アバンはわかっている。わかってはいるが、たぶん覗きに来た読者さんがポカ〜ンだぞ……特に平成生まれの皆さんからはドン引き確定だ……」
「いいんだよ……元々そういう設定とストーリーじゃない。今更何を恐れるの……」
「しかし、このネタ元わかってくれるかなぁ……今からPV数が危ぶまれる……」
「大丈夫だって……わたしだって昨今の事情を考慮して、ホントは運転席から撃つ設定だけど一応、コンプライアンスを遵守して助手席からの設定に変更しているからねっ……」
「う〜む、遵守するポイントが微妙に……」
「いやぁ、それにしてもルガーってところがマニアックだよねぇ……コルトでもマグナムでもない。ちょっと王道から外れたチョイスが、粋なんだよねぇ……」
「それとなんといっても音楽がいいよ……テーマ曲に注目が集まるけど、地味にエンディングの歌も味わいがあって心に沁みるよぉ〜……」
「赤ジャケットのルパンシリーズの音楽や、スペースコブラのオープニング、意外なところで国営放送の朝番組の小さな旅のテーマなども手がけてるんだよねぇ〜……」
「ステッキさんっ、やっぱり音楽は重要だねっ!」
「その音楽を聴いて目を閉じれば、あのシーンが時を超えて心のスクリーンに映り、再現される……」
「それに比べ、今のドラマや映画ときたら……ペッ、ヘドが出るっ……」
「りお〜〜ん、何批判なんだ……早く本編を始めないと読者様達が帰ってしまうぞ……私も色々忙しい、四六時中りおんのフォローもしていられないのだ……」
「えっ、それってどういう事……あ、あぁ〜そうなんだ。色々声のお仕事が忙しくてこっちは片手間って事かあ〜……」
「ギクッ……いやぁ、そんな事は……」
「そうだよねぇ〜……こぉんな吹けば飛ぶ様な小説のいかがわしいキャラに全力尽くしても、ステッキさんの中の人になんのメリットもないもんねぇ〜」
「そ、それは……」
スマホを操作するりおん……。
「あ、もしもし〜、衛宮さんですかぁ〜……やって欲しいキャラが……」
「りおん、りお〜〜ん、全力を尽くそう」
「うんっ、そうでなくっちゃね……じゃあ本編を始めようか……」
「…………はい」
「くっ、せめてもの抵抗……問おう、りおんは私のマスターか……」
「いやぁステッキさん……だからってセイバーの真似事はやめようよ……」
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