第529話 癒し

 おかえりなさい♡


 最近の僕はユーチューブで猫や犬の動画を見て癒されています。


 僕自身、何度も犬や猫を飼った事があります。最後に飼ったのは、オスの犬でゴールデンレトリバーでした。ペットショップで兄と見に行き僕が選びました。


 産まれて間もなくとても小さな犬でした。当時まだ僕の親父が健在で家も1軒家でした。


 家の裏手に柵を作り、そこで放し飼いをしました。文太と名付けました。文太の散歩とご飯は僕の役目でした。文太はすぐに大きくなりました。


 公園に散歩に行くと子供たちが寄って来て文太と遊んでくれました。また車で文太を乗せて無人のさびれた公園に連れて行き、放し飼いにして思い切り遊ばせてあげたりしました。


 とても人懐っこくて、賢い男の子でした。


 僕はその時、兄の会社で働いていました。仕事がハード過ぎて疲れ切り、散歩に行けない日がありました。それを知った近所の釣具屋のおばちゃんが、夕方から毎日文太のお散歩に行ってくれるようになりました。


 お礼としてお酒を買って渡したりしました。


 僕は時間を見つけては、無人の公園に文太を連れて行き遊んでいました。僕の疲れた心を、文太は癒してくれました。


 悲劇は突然起こりました。僕が体調を崩して精神病院に入院する事になりました。入院して数日後に、兄から文太が死んだ事を教えられました。


 子供たちが文太のお散歩に行きたいと言ったので任せたのでした。土手を散歩中、文太がキノコを食べて口から泡を吐き倒れたと言うのです。


 きっとお腹が空いていたのでしょう。文太のご飯は僕が管理して食べさせていましたので、誰も気が付かなかったのです。


 僕は精神病院に入院中でおかしくなっていましたので、文太の事まで気が回らなかったのです。僕の親父はその前に亡くなっていました。


 僕が精神病院を退院して家に戻ると文太の骨壺がありました。僕はすぐに動物霊園に文太のお骨を持って行き埋葬してもらいました。


 8歳というまだまだこれからという若さで亡くなりました。


 文太を最後に僕は動物を飼う事は諦めています。あんなに悲しい思いをするのなら独りでいるほうがましです。


 ですので僕はユーチューブで癒しを求めるのです。ユーチューブを見ていると飼い主さんの愛情が物凄いです。動画を見ていると僕も飼いたくなりますね。僕の部屋はペット禁止なので飼えないのですが。


 今日は癒しについて考えてみました。


 僕のお話にお付き合いいただきありがとうございました。

 お話しはここまでです。


 どうか次もあなたが逢いに来てくれますように……


 いってらっしゃい♡

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