第315話 腐れ縁

 おかえりなさい♡


 連休最後の日、あなたはいかがお過ごしでしょうか。僕は昨日、今日と家にひきこもっていました。


 唯一1人からお誘いがあったので、その事を描いていきましょう。


 それでは今日も【生きてる証しが欲しいから】始まります。


*~*~*


 貧乏神のM君の事を覚えていますか?元タンポポのメンバーで、婦女暴行で警察に捕まり、今は保護観察の身であります。


 その彼から朝の6時にメールが届きました。そのやり取りを、そのまま書いて行きましょう。


「おはよーございます。お金ないですね。」


「おはよう。なに?」


「今日会えますよ。」


「お金無いんでしょ?」


「お金無いですね。」


「じゃあ会えないよね。お金ある時連絡しなよ。」


「やっぱり、お金無いんじゃ会ってくれないですよね。」


「俺だって死に物狂いで仕事してお金稼いでいるんだよ。M君も競馬やパチンコ止めればお金残ると思うよ。頑張りなよ。」


「はい頑張ります。ありがとうございます。」


「俺はもう人にはご馳走しないから。朝飯だって千円あればお釣りが来るよ。その千円が無いなんて、俺には信じられないよ。」


「情けないっす。来週には仕事の金入るし、2日保護費だし、15日は年金入るし、我慢します煙草。」


「俺は煙草やめたよ。お金も無いし。M君は保護費も年金も入るし恵まれているよね。ギャンブル止めたらお金残ると思うよ。」


「龍神さん煙草やめたんですか、凄いですね。はいそうですね。」


「煙草止めるのは意志が強くないと無理だよ。まだギャンブルを止めた方がお金残ると思うよ。飯代の千円くらいすぐに出せるようにしなよ。」


「俺も煙草止めます。この先も煙草値段上がっていくし、大変ですもん。今のうちにやめないと。」


「飯代の千円が出せないのが病気なんだと思うよ。口先ばかりで酒やギャンブルや風俗をやらないと言うのは簡単だよ。」


「煙草止めます。パチンコは止めます。そうですね飯代すぐ出せるようにします。すぐ出せる時もあるんですけどね。」


 僕はきりが無いので、ここで返信するのやめました。


 携帯で直に話せば良いと思いますよね。これはM君の作戦なのです。通話料を払いたくないんですよね。携帯で話がしたい時はワン切りしてくるんです。


 今日は相当逢いたかったのでしょう。こんなにメールでやりとりするのは初めてでした。


 M君はヘビースモーカーなので煙草をやめるには禁煙外来でも行かないと無理でしょうね。捨ててある煙草でも平気で拾って吸うんですから。


 だいたい、お金無いなら会ってもらえないんですよねって、お前は僕の彼女かって感じです。


 M君と知り合った頃は、可哀想でたくさんご馳走してあげました。でも振り返ると全然進歩が無いんですよね。僕は今日また1つ学びました。


 貧乏神のM君に逢うのなら、僕は孤独を選びます。


 千円て簡単に言いますけど、メッキ工場で1時間メッキを磨いてやっと頂ける金額です。タンポポでも1時間30分作業しても900円ですよ。その苦労が分からないから、M君は簡単にご馳走して欲しいとねだるのでしょう。


 顔を洗って出直して来なさいと思いました。


♥♥❤❤♥


 腐れ縁。


 腐れ縁を辞書で調べると、別れようとしても別れられないで、だらだらと続く好ましくない関係、と出ています。


 僕も行動範囲が狭いので、なかなか良い縁がありません。M君も精神障害者なので、僕も理解してあげたいと思います。


 ただ僕がふに落ちないのは、M君が生活保護費や障害年金を満額もらっていて、そのお金をギャンブルと風俗に平気で使っているという事実です。もらえるお金を当然の権利のように話す振る舞いにも憤りを感じます。


 僕がメッキ工場とタンポポで稼ぐ額と同等の金額を支給されているのですから、バカバカしくて仕事など出来ないでしょう。


 だから僕は言うのです。恵まれた環境にいるのだから、お金を大切に使いなさいと。


 とにかく今日はM君に逢わなくて正解でした。同じ精神障害者として、支え合える関係になれたら良いですね。


 社会の底辺で生きている僕達にどうか手を差し伸べてあげて下さい。お願いします。


 明日は振替出勤でメッキ工場に行きます。突然言われましたが、必要とされている感じで嬉しく思います。


 今日も逢いに来てくれて嬉しいです。お話しはここまでです。


 どうか次も笑顔で逢えますように……


 いってらっしゃい♡

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