第273話 休職
おかえりなさい♡
川崎は朝から冷たい雨が降りました。
今日はメッキ工場の仕事です。僕の朝に乗る電車が地下に潜りました。踏切の渋滞を解消するためにずっと工事中で、最近完成したのです。踏切が無いので変な感じです。
いつものように朝6時52分の電車に乗り川崎駅に出ます。乗り換えてメッキ工場の最寄りの駅に到着です。
時間調整のために、喫茶店でホットコーヒーを飲みながら煙草を吹かします。最近煙草を吸う本数が増えていて、真面目に禁煙をしようか考えています。8時に喫茶店を出てメッキ工場に向かいます。
外は雨。
お天気が良ければコンビニの外に置いてある灰皿で煙草を吸うのですが我慢しました。
メッキ工場の近くにジュースの自動販売機があります。最近の自動販売機は、競争が激しいのかだいたい100円で買う事が出来ます。
その中で僕は当り付きの自動販売機で買っています。
4桁の数字が揃えばもう1本もらえます。ギャンブラーの血が騒ぐのでしょう。ホットココアを選び、100円玉を入れてボタンを押します。どうせ当たらないと思いながら、数字が揃うのを見ます。通常3桁までは揃うのです。4桁目が鬼門です。
「ピーッ」おぉ、当たりましたよ。
4桁の数字が揃う瞬間を見て、脳みそからアドレナリンが出ました。パチンコの大当たりの感覚が蘇り、少し怖くなりました。
当たりでホットレモンを選びました。メッキ工場に到着して作業着に着替え、仕事開始の9時まで心を整えます。30分あるので、ココアもホットレモンも飲み切りました。
そして仕事が始まります。
品出しとメッキを施した部品のやすりかけです。10時になるとベテランの男性が来るはずなのに来ませんでした。30分過ぎて男性が現れました。課長と2人で食堂に消えました。
僕の嫌な予感が的中したのでした。
♦♦♦♦
休職。
男性の年齢は66歳です。
驚いた事に、メッキ工場に勤めて1年だそうです。僕がメッキ工場に採用されてから、ずっと隣でメッキを磨きました。お話の好きな男性で、ずっと1人で喋っていました。僕は基本的に無口なので相づちをうつ程度でした。
時折気になる事を口にしました。
「俺ってもう要らねえのかな」
「必要とされて無いんじゃねえかな」
その都度僕は、「教わる事があるからそんな事を言わないで下さい。」と言い続けました。僕の採用で男性の心の糸が切れてしまった気がしました。僕は仲良く人間関係が出来ていたと思っていたのです。
人間の心って複雑でわかりません。
課長と男性が食堂から降りてきました。体調が悪くて、3月いっぱいお休みするそうです。男性はしきりに「みんなに迷惑かけるから。」と言っていました。雰囲気で辞めたいのであろうとわかりました。
こんな時だからこそ、僕は課長にアピールしました。
「僕はいつでも勤務時間を延ばす心構えが出来ています。就労支援センターの担当者に来週逢うので許可してもらいます。」僕も仕事がしたいので必死です。
しかし焦りは禁物です。僕が想定した1日1時間ずつ勤務時間を増やして、負担が無い様にしたいと思います。
朝一でジュースが当たったのに、残念な出来事でした。
お話しはここまでです。
今日も僕を見つけてくれたのですね!
永遠にお話が続けられますように……
いってらっしゃい♡
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます