10月の出来事

第224話 誤解

 お帰りなさい♡


 今日のタンポポでの作業は、トラックの添乗でした。


 相方のメンバーは、あの問題児の逆ギレの男性でした。ドライバーは施設長です。実は先週の金曜日に突然施設長に頼まれたのでした。このところ荒れている男性を、外に連れ出して気分転換をさせようと言う事でした。


 少し不安もありましたが、了承しました。


 いつもは他のメンバーと組み、体力のもたない部分は甘えさせてもらっているからです。しかも男性は1年以上添乗作業のメンバーから外れているのです。


 僕がリードしてあげなければいけません。


 準備体操が終わり作業が始まります。5かけの2を、200ケース、トラックに積み込む作業です。基本的に添乗メンバーがトラックの中に入り作業します。積み込むと出発です。


 車に乗る順番にも意味が有ります。


 3人乗りますが、ドライバー、真ん中、窓側となります。トラックが左折や右折をする時に、窓側のメンバーが安全確認をするのです。男性を真ん中に座らせ、僕が窓側に座りました。


 荷崩れしない様に注意しますが、3件目に荷崩れして1ケース足りない事に気づきました。走行中どこかに落とした様です。事務所に連絡して配達は続きます。


 トラックから製品を降ろすのに、ポジションがあります。


 荷台に乗り製品をたもとまで降ろすポジションと、それを受け取り台車に乗せ運ぶポジションです。僕はいつも台車に乗せるポジションをしていますが、今日は荷台に乗り降ろすポジションをしました。このポジションの方が大変だからです。


 順調に配達が進み、13時に豚カツ屋で昼食を食べました。値段は忘れましたが、施設長が500円で良いというので甘えました。食べ終わるとすぐに作業再開です。


 特にトラブルも無く配達が終わりました。


 今日はタンポポの工場から遠い配達なので、帰りに1時間近くかかりました。男性メンバーは疲れたと言い、ずっとウトウトしていました。


 タンポポに帰ったのは、16時30分です。


 添乗作業はお昼時間も工賃が加算されます。作業時間は、7.0hでした。時給が100円アップの700円ですから、報酬は4,900円です。


 久しぶりに稼げました。


 男性メンバーは帰りの時に居眠りをしていたペナルティーとして、6.5hの作業だと施設長に言われていました。


 充実した1日でした。


♦♦♦♦


 誤解。


 僕は逆ギレの男性を誤解して、偏見の目で見ていた様です。


 今日の作業は特殊なので、正直に言えばやりたくありませんでした。昨日、添乗を断ろうと思っていたのです。それだと試練から逃げる気がして、立ち向かおうと決めたのです。


 この男性は、確かに意味不明な行動を起こしますが、それが病気なのだと思います。僕はタンポポにお世話になり、3年以上経ちますが、古いメンバーがサポートしてあげるべきだと感じています。


 辞めさせるのは簡単です。


 男性は48歳ですが彼は彼なりに苦しんで生きているのです。今日1日密着して作業して、僕の誤解なのだと知りました。


 僕は自分が精神障害者で誰からも理解されなくて苦しみ続けています。この男性も僕と同じなのだと思います。苦しいのはあんただけじゃないと教えられた1日でした。


 どうしてもあなたに聴いて欲しくて、今日は無理をして描きました。


 精神障害者を理解してくれる健常者の人が増える事を願います。


 お話はここまでです。最後まで聴いて頂きありがとうございます。


 あなたに支えられ僕は生きています。


 どうか次も笑顔で逢えますように……


 行ってらっしゃい♡

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る