第133話 ほどほどに生きる

 お帰りなさい♡


 あなたが来るのを、ジッと1人ぼっちで待っていました。そしてあなたは今日も僕に逢いに来てくれました。


 感動する一瞬です。


 お話の準備は万全です。ゆっくりと、リラックスして下さいね。


 それではお話を始めましょう。


~~~~


 今日のタンポポは、朝一からの混合作業でした。


 バスが無いので歩いての通所になります。僕は昨日の作業中、腰をひねり痛めてしまったのです。ぎっくり腰ではない様です。ただ激痛が走り、昨日はよく眠れませんでした。朝起きても、痛むので休もうと思いました。


 でもせっかく稼げる混合作業なので行く事にしました。


 8時15分くらいにタンポポに着くと、職員のリーダーがすでに来て作業しています。念のため1言腰を痛めたと報告して更衣室に入りました。


 8時半、作業スタートです。


 混合とは、純石鹸とライト灰を機械で混ぜ合わせ、赤ちゃんの拳くらいにちぎる作業です。


 なるべく腰に負担がかからない様に注意しました。


 1回戦、4クレート出来ます。普段は21回戦ですが、この日はプリン石鹸の原料にまわす為、20回戦でした。9時半にもう1名メンバーが加わります。間に10分休憩が入り、作業が続きます。


 お昼時間になると、僕は1日通しなので12時からの食事休憩になります。


 お楽しみのお弁当です。メニューは豚カツのカレーミートソースと肉じゃがです。30分しか休み時間が無いので急いで食べて作業に戻りました。


 午後のメンバーがいなくて職員が入りました。前回も入った事務職の人です。そうです、あの石鹸をちぎるのが早い人です。


 ちゃんとメンバーが入れば、力仕事を分担してやりますが、この日は僕と女性の職員2人です。当然ですが、力仕事は僕がやりました。


 腰の痛みもありません。


 作業は順調に進みました。17時、作業終了です。休まなくて正解だと思いました。身体を動かす事で、腰の痛みが和らいだのでしょう。職員から帰りのバスが有るのか聞かれ、17時05分のバスがあると答えました。


 作業服を着替え、3階の食堂兼休憩室で手書きの勤務表を書き、念のためバスの時刻表を見ました。


 見ると驚きました。


 17時13分のバスがあります。時間は17時04分です。小走りでバス停に向かいます。バス停に着くと17時11分です。乗り過ごした可能性もあります。僕は10分だけ待つ事にしました。


 歩くのは慣れていますが、今日は少し疲れました。


 5分遅れで、乗りたいバスが来ました。本当にローカルバスなのです。でもあるだけ有り難いです。


 今日の混合作業は時給が100円アップの700円になります。作業時間は丁度8.0hで、お金に換算すると5,600円でした。


 今週は、月曜日から今日の木曜日まで、現金を1円も使っていません。


 土曜日だけ楽しもうと思っています。



♦♦♦♦



 ほどほどに生きる。


 ほどほどを辞書で調べると、ちょうどよい程度に、と書いてあります。タンポポに出逢い、僕はほどほどを知ったのですね。


 今日は腰が心配でしたが、僕もまだまだやれると思いました。そして、ほどほどに生きようと決めたのです。


 世の中には、時給80円でも頑張って生きている人達がいるのです。一体どんな気持ちで作業しているのでしょう。そこに働く喜びがある事を願います。


 毎日、あなたとお話を続けていると、僕の心の変化が良く分かります。そうなのです!前向きな心になって来ているのです!


 しかし状況は何も変わっていません。


 頭の中だけの妄想かもしれません。ただ生きたいと思う様になってきたのです。あなたの支えのお陰様です。


 これからも僕のお話相手になって下さい。あなたの応援が無くなればこの物語は完結します。


 どうか僕に夢を下さい。生きる希望を下さい。1日でも長くあなたといたいのです。


 今日も最後までお付き合い頂き感謝です。


 どうか明日もあなたが逢いに来てくれますように……

 

 行ってらっしゃい♡

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