第132話 時給80円

 お帰りなさい♡


 お世辞も、上手とは言えない僕のお話に、お付き合い頂き、ありがとうございます。


 27歳の時に、精神障害者として認定され、早くも27年になります。統合失調症と診断され2級の障害者手帳を持っています。若い時は障害者である自覚が無く、とても苦しみました。


 ずっと精神障害を隠して生きて来ました。


 振り返るとオープンにしていればと、後悔しています。そうすれば、僕に合うパートナーに出逢えていたかも知れません。相手は健常者でも、障害を持っている人でも良いのです。


 相手が要れば、お互いに支え合い、生きていく自信があります。


 僕はまだ54歳です。諦めなければ、まだチャンスはあると信じています。僕が投げ出さない限り、神様は良き出逢いを与えてくれると思います。


 1日1日が毎日チャンスだと考え生きていきたいです。


~~~~


 今日のタンポポは平常作業でした。


 毎週水曜日は、共同事業という廃油を回収する作業があります。一斗缶ではなく、廃油の入ったポリ缶を空の物と入れ替えます。


 トラックとバンが出ます。2人乗りで行きます。まずはこのトラックとバンが出る準備から始まりました。職員3名とメンバー1名がシフトに入りました。


 僕は選ばれず、工場内の作業でした。


 まずは1階の混合室から2階の粉砕室に石鹸を上げる作業です。毎週水曜日にお試しで来ている、幻聴の強い男性も来ていました。


 終わると、5かけの2を80ケース作りました。


 僕はホッパーを担当しました。像の鼻を使い、5㌔計量します。160個作るので意外と大変です。この日工場に残ったメンバーは6名です。ホッパーのサポートを職員がしてくれて、作業が早く進みます。


 10分休憩が入り、80ケース作り終えました。


 それを2階に上げる作業です。人数が多いので意外と簡単に終わりました。12時までチラシ折でした。


 お楽しみのお弁当です。


 メニューは、鶏の塩麴焼きと牛肉コロッケです。鶏の塩麴焼きが美味しかったです。メンバーの1人が、田舎から送られたというすいかをくれました。冷蔵庫で冷やしてあるのでとても冷えて、甘くて美味しかったです。すいかなど自分で買う事は無いのです。今年初めて食べました。


 食べ終わると30分仮眠して午後の作業です。1㌔の製品を66個作りました。僕の担当はホッパーです。13時半になり5分休憩です。


 この時に幻聴の強い男性に話しかけました。


 「タンポポに来ない日は何をしているの?」

 「他の作業所に行っています。」

 「時給はいくらなの?」

 「80円です。あぁでも僕は90円もらっています。」

 「何時間労働なの?」

 「5時間です。」

 「それじゃあ、1日450円しか稼げないね。」

 「はい、お昼食べて終わりです。」


 これを聴いていたメンバーが時給50円の所もありますよと教えてくれました。


 ここで休憩が終わり、作業に戻ります。14時までチラシ折でした。今日は平常作業なので、報酬は2,100円です。男性は時給300円なので1,050円です。


 続けて来れる様に応援しています。



♦♦♦♦



 時給80円


 男性に時給80円と聞いた時、とても衝撃的でした。


 いくら生活保護や障害年金をもらっているとしても、安すぎないのでしょうか。生きる希望や喜びはどこにあるのでしょうか。


 支援センターの瀬川さんに「龍神さんは恵まれている。」と、言われるわけです。中トロや牛サーロインステーキなど死ぬまで食べられないでしょう。


 人間の底辺で生きる人達の物語を描くのが僕の目標なのです。いろいろな人と交流を持ち作品にしたいです。



 ♥♥♥♥♥



 今日は少しお話が厳しいものになりました。しかし現実から目を背けずに生きていきましょう。


 あなたに、こんな暮らしをしている人間もいるのだと伝われば幸せです。


 お別れの時間です。


 今日も最後まで聴いて頂き感謝です。


 どうか明日もあなたが逢いに来てくれますように……


 行ってらっしゃい♡

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