第101話 プロポーズ

 僕があなたに出来る事。

 

 僕は朝起きるのが強いので、2人分の朝ご飯を作りましょう。調理は得意なのでリクエストがあればそれを作ります。あなたの美味しいという笑顔が浮かびます。


 僕は仕事に打ち込みます。あなたが働かなくても良い様に。でも、あなたは働きたいのですね。良いでしょう。社会の空気を吸って、刺激を受け、可愛いあなたでいて下さい。


 掃除、洗濯、夕食はあなたがやると言うので甘えさせてもらいます。バツイチで子供が1人いるあなたに何故惚れたのか?それはあなたの心が澄んでいてとても綺麗だから。


 あなたに後悔はさせません。人を愛する事を教えてくれたのはあなたです。2人死んだ後、一緒のお墓に入りましょう。


 僕達は永遠に結ばれたのです。


 あなたが辛い時、僕が支えましょう。家事を休みたい時は、休みましょう。子供が元旦那さんに親権がいった事をあなたは相当悔やんでいますが、僕がその穴を埋めましょう。


 僕達の子供を望んでいないあなたの希望に添いたいと思います。2人で今後の人生を謳歌しましょう。


 あなたは贅沢を良しとせず、質素に暮らしたいと言います。僕も賛成です。小さな事でも大きな事でも、2人で気の済むまで話し理解しあいましょう。


 あなたに出逢えてとても幸せです。


 ただ1つ、僕より先に死ぬのはいけません。僕が死んだ後に困らぬ様にお金は多めに残しましょう。


 あなたの事を愛しています。


 僕と結婚してください。


♥♥♥♥♥


 お帰りなさい♡


 いきなり何を話しているのだろうかと思ったでしょうね。


 僕は40歳の頃に、ある女性と恋に落ちました。相手の女性の方が積極的で、付き合ってすぐに結婚を意識しました。


 小柄なとても可愛い女性でした。ある日、僕は彼女に手紙を書きました。それの内容が最初に書いた文章です。


 デートが終わり、車で彼女の家に送った別れ際、この手紙を渡しました。


 「何?」と聞くので「僕の気持ち」と言い別れました。僕が家に戻ると、彼女からメールが届いていました。


 「プロポーズ、お受けします。」と書かれていました。僕はこれで、やっと幸せを掴む事が出来ると、ホッとしました。


 しかし、この後悲劇が待ち受けていました。


 彼女が僕の家に泊まりに来た翌日、躁状態の僕を心配した兄が来て、精神病院に行くぞと無理やりベンツに押し込んだのでした。


 彼女には僕が精神障害者だと言う事を黙っていました。1番驚いたのは彼女でしょう。


 僕はそのまま精神病院に入院して様子を見る事になりました。


 兄は家に戻り、彼女に僕が精神障害者だと言う事を説明しました。彼女からメールが届きます。


 「最初から精神障害者だってわかっていたら付き合わなかったのに。なぜ黙ってたの?嘘つき。あなたとは2度と会いません。さようなら。」


 携帯に電話しても出ません。メールを出しても返信がありませんでした。僕は絶望しました。【人間のカケラ】にも少し書いてありますので興味があれば読んで下さい。


 とても辛い過去の出来事です。


 それを受け止めて生きています。感覚が麻痺していて、恥ずかしいとかもう無いです。


 あなたに聴いて欲しかったのです。ありがとうございます。


 今日の日曜日、1日家に引きこもっていました。とても孤独でした。ふと思い出したので描いてみました。


 僕の最初で最後のプロポーズでした。思い出すと切なくなります。


 今日のお話はここまでです。聴いてくれて感謝です。


 どうか明日もあなたが逢いに来てくれますように……♡

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