幻想を泳ぐ魚たち

作者 夷也荊

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★★★ Excellent!!!

読了しました。コンテストのコンセプトの通り、実は毎日一話ずつを読んでみたのですが……人間には必ず波があります。それは作品にも顕著に出ます。この作品は、そこを逆手に取っている気がしました。

メッセージ性が強すぎる部分が、逆に、「考えさせる」きっかけとなっており、今回、作者さまが言いたいのはそこなのではないか、と思います。

人はその時その時で感情が変わるし、視方も考え方も流れていくはずだから。

何かを訴えているな、と思ったのは、21話でしたかね。
その答えを導きだそうとする書き方は、短編でもあり、ミステリーでもあり、今を生きるサスペンスでもあるでしょう。

最終話。一緒に顔を上げよう。この30話を読んで良かった。
最終話のために、29話があったような。気づいたら、もう春だったねの過ぎ去ったレトロな時間を懐かしむ余裕をいただいたような。

日々は遷り変わり、大切なもので、30話を通して伝えられるメッセージ。
一話ずつ読んで、30話でなんとなく掴み、背中を押してくれる。

そんな良い短編集でした。ありがとうの心を込めて、珍しくも、お言葉贈らせていただきます。

Good!

障がい者のおじを持ち、見知らぬ外国人に助けを求められる事が多く、自傷癖、精神病、依存症の方たちが身近にいて、友達に同性愛者や性同一性障害者のいた私にとっては、お話のどれもが道徳の教科書のようで窮屈だった。
このような環境に育った人ばかりでないのは承知しているが、物語によって「気付き」を得た人たちの絶賛が、私にはちょっと理解出来なかった。
いわゆる「マイノリティ」に縁がない人たちにとっては、鱗を剥がすよいきっかけになる作品かもしれない。
どうしてこのような作品を書こうと思われたのか。
「啓発」が目的だったのなら、余計なお世話ではないかと感じる。
作品内で指摘、あるいは皮肉られているような物事は、本来ならば個々人が「生きる」中で学ぶべきことで、人から教わる事ではないように思う。
一読の価値は認めるが、読者が「わかった気」になってしまうことが懸念される作品だった。

★★★ Excellent!!!

実に様々な角度から、胸に迫ってくる大切な言葉たちに圧倒されました。

各話ごとに、角度を変え色彩を変え語りかけてくる鮮やかさに、社会の多様さへの眼が深まります。

どこから拝読させて頂いても、興味深く、この日常の切り取り方がとても私は好きです。

ありがとうございました!

★★★ Excellent!!!

どのようにしたら何気ない日常をこのような多彩な角度から見つめられるのでしょうか?

拝読していて、私にはない感性や視野の広さを感じさせられる作品でした。

これは作者さまの知識全般の豊富さや社会問題に対して批評的に考える力があるからだと思います。

テーマは比較的にありふれていて短いながらも、訴えかけるようなパワーを秘めた文章。
それが幾重にも重なった名作だと思います。
現時点ですべての方の★3つつけているところからも裏付けられるでしょう!

なおこの作品はスマートニュースコンテストに参加されている作品であり、まさしく電車の中などの移動時間を使って、明日を生きる知識や活力を補充できるという、コンテストのコンセプトに合致するものかと個人的には感じております!


作品は時系列に並んでいますが、短編集のようになっており、どこから読んでも大丈夫な仕様になっております。

興味のあるテーマからお読みいただいてもよろしいかと思います。

★★★ Excellent!!!

「日常を切り取った作品、良いですよね」
学生時代の先輩の言葉です。
私と同じ学科で、小説を書いていた先輩でした。
そのとき初めて、私は「日常を切り取った作品」が好きでないことに気づきました。
似ていると思った人でも、全く違う考え方をするのだと、恥ずかしながら初めて知りました。

この作品は、「日常を切り取った」ようですが、作者様のように「日常を一枚剥がした作品」と言いたいです。

個人的な想像ですが……
人間が多少の切り傷で痛みを感じるように、もしかしたら魚は鱗が剥がれたら痛いのかもしれません。……実際のところはわかりませんが、そんな風に想像してしまいます。
幻想を泳ぐ魚たちは、鱗が剥がれて痛みを感じたときに、真実に気づくのかもしれない。
気づけたひとは幸せです。
周囲を見回し、反省し、行動を変えることができるのですから。

★★★ Excellent!!!

一人の大学生が自分の経験からあれこれと考えるのですが……。
努力家で真面目で、頭が良くて……今時っぽくない彼。
ふーん。今の大学生ってこんな感じ? なんて思いながら読み進めていると、突然、冒頭の話に繋がります。
ガツンと頭を殴られた感じに。

油断してた。ちょっと……泣いた。
そして、ようやく、彼と私が重なって見え、彼の心情が響き、彼の言いたいことが染みてきた。

やられた……。やられたわ。

★★★ Excellent!!!

「エンターテイメントの虚構世界に、社会問題は向かない。なぜなら、簡単に解決しないから問題になっているわけで、下手に扱うと反発を招くからだ」と、約十年前にあるラノベ編集者が言っていたことを思い出しました。「Learning:学習」を目的とした大人向けコンテンツが募集されるようになるとは、オンノベ界も変わったなという印象です。

本作品の主人公「俺」は、卒業を控えた大学生。就職より大学院への進学を希望中。彼の周囲の出来事、友人や家族とのやりとりは、一つ一つは個人的でも、当然、社会につながっています。
知識と関心はあるけれど、自由にできるお金や時間は乏しい。問題意識はあるけれど、解決する政治的地位や能力はない。……そんな普通な「俺」が観る世界には、現実を生きる私たちが参考になる見方や知識が散りばめられています。

置かれた境遇は、貴方とは違う。意見も異なる。でもちょっと立ち止まって読んでみれば、物事は違う面を見せてくれるかもしれない。
そんな、大人向けのエンタメ小説は如何ですか?

★★★ Excellent!!!

 自分が若かった頃、見るもの全てが新鮮で、純粋な驚きの連続で――ということは案外なくて、あえて、それが恰好良いと思って、わざと穿った見方をしてみたり、そんなことばかりしているうちに、それが癖になってしまったりして困ったものです。
 そういうのを全部ひっくるめて『若気の至り』、なんて便利な言葉で思い出にしてしまっていたのですが、胸が抉られるのを覚悟で思い返してみれば、やはりいまよりもずっと一つの物事に対して純粋だったり繊細だったりしていたなぁと思います。友人の放った何気ない一言で眠れなくなったり、ほんのつまらない発見が後の自分のかなり重要な核になっていたり。
 このお話を読むと、そんな頃を思い出します。
 いまよりも確実に自分を取り巻く環境というものに敏感で、どんなニュースも自分に繋がっているような気がして、とにかく何でも吸収しなくちゃと無駄な焦りを感じていた、愛すべきモラトリアムの頃を。

★★★ Excellent!!!

生まれてから決してさけて通れないものがある。

人として生まれたなら避けて通れない人生、訪れるターニングポイント、塞がれていく昨日とあったはずの可能性、裂けて通れない道、乗り越えるのか回り道するのか、それとも、立ち尽くすのか、考えて、考えて、ひとり過ごすうちにそして、いつか死ぬこと。

一人称の物語を読むときは「僕」(つまり自身のこと)を意識しなさい、と以前恩師に言われ、取り入れてみると、同意と義理、そして意見が浮かぶ。エピソードを読み終えると自分の中で一旦ディスカッションが始まり、「物語の中で彼はこういう思いに対し、僕は今日どうして過ごそうか」、と考える。今日は共謀か、叛逆か……。

『俺』の物語でもあるけれど、おばあちゃんや、教授、お母さんや、社会の物語でもある。一話ごとに明確な仕切りがあるので、単独のエピソードをそれぞれ拾いあげ、物語に浸って貰いたい。

是非御一読を。

エピソードから特に好きなものをピックアップすると8話の『スポーツ』、そして『清掃員』の新人くんエピソードは今のところ個人的なハイライトです。今後とも愉しみにしています。

★★★ Excellent!!!

SNSなどの台頭で、いわゆる国民総マスコミ化が行われたかのように錯覚するが、実のところ、当事者意識がある者は皆無なのかもしれない。不倫も、殺人も一緒くたに流され、消費されるだけの商品となった。

知ったつもりで何にも知らないと嘆いてみても始まらない。

自分の人生を得るのも難しい世界でそれを掴もうとする大学生の前向きなお話。

★★★ Excellent!!!

私たちが当たり前だと思っていることは、実は当たり前ではないのかもしれない。ちょっと視点を変えて見てみると、この当たり前の日常も全く違った世界に見えてくる。

本作は、日常の「当たり前」を作者様独自の視点で切り取った短編集です。どのお話にも毎回ハッとさせられます。何も考えずに生活していると、さっと見過ごしてしまいそうなことを浮き彫りにしています。

★★★ Excellent!!!

興味深い第1話でした。

外国人という言葉の境界は、考えさせられるものですね。例えば、人間と精巧なロボット。現実と夢や、生と死の境界のように、人によっても違えば、価値観によっても異なります。そしてタイトルとまだ大人になりきれない登場人物たちの年齢を考えると、この物語の深さが伝わってきます。それこそが作者様の力量を物語っています。

連載楽しみにしています。第1話でレビューは流石にとも思いましたが、私の気持ちが許しませんでした。陰ながら応援しております。

20180209

語られる各々の世界。それがどのように絡み合うのか、楽しみです。

lablabo