第23話



「え、上手く行ってない...?」



私は澤の顔を伺うように見て、そう呟いた。告白した後のこの言葉はなんだか複雑だったけど普通に澤と話することが出来た。



「これだけ一緒に居るから異変とかすぐ分かっちゃうんだよね。サナが俺に気持ち無くなるってこと今まで無かったんだよ、もしそれを言ったら違うよって必死に止めてくれるんだ、でもそれも無くなった。仮に、仮にサナが浮気してたとしたら...って考えちゃって。良くないよな俺。」



パピコの最後の一口を吸ってまた下をむき始めた。その言葉を聞いてほんとに好きなんだなあと実感した。



「お前が信じないでどうすんだよ、って言いたいところだけどそういう時は本人にちゃんと言うべきだろうが。長く一緒に居るから言わなくて良いんじゃねぇんだ、言わなきゃいけないことだってあんだろ?だから今すぐ電話しなさい澤。俺らあそこの公園で遊んでるから。」



志乃がこんなに怒ってるの久しぶりに見た気がする。

でもそれだけちゃんと澤のこと、サナちゃんの事考えてるんだと思うと、つくづく優しいなぁと思う。



澤は悲しい顔をしながら携帯を取り出す。私たちはアイスを食べ終わって駆け足で公園に向かう。



「なんか私達、面白いね。三角関係っていうの?」



ブランコに乗りながら志乃にそう言ってみる。そうすると、横から鼻で笑う志乃。



「俺は、ずっとあさのこと好きだし、きっとあさも澤のことがずっと好きでしょ。相手が辛くなったら俺も辛くなるし。人間っておもしれぇよな。」



「ていうか、なんで私の事好きなの?私の何処がいいわけ?彩葉の方が可愛いじゃん?」



「お前の好きなところいっぱいあるから、言ったらキリねぇっつの。でも強いていうなら、繊細で泣き虫なところ。意外と普通って思うじゃん?お前だから守りてぇって思うんだよ俺は。だから、澤のことで泣きそうになってるあさを見た時抱き締めてやりたかった、俺がいるよって。でも俺がそうしても何も変わんねぇのは確かだからせめてお前が泣かないようにしようって思ってさ。意外と考えてんだよ?彼氏にしたらきっと幸せだよ?ってな。」



志乃は眩しい笑顔でそう言って微笑んだ。昔からの仲だから知ってることもあるとは分かってたけどこれだけ私を好きで居てくれるのに振り向かない私ってほんとバカ。

でもそのくらい澤のことも好きだからどうしようもない。



「私は多分ずっと澤が好きだよ、だからさっき上手く行ってないと聞いた時心配はしたけど半分嬉しかった気持ちもあったの、最悪だよね私。」



「それは俺もあるわ。普通そう思うのが普通なんじゃねぇの?あんまり、ネガティブに考えるの辞めよ。」



「そうだね...あ、澤終わったっぽい。こっちに来るよ。」



ブランコに揺られていると目の前から電話が終わって走ってこっちに向かってくる澤。私たちはブランコを降りて辿り着くのを待った。




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