第19話
夏。
球技大会も終わって、志乃の告白を断ってから2ヶ月以上が経った
私たちは何も変わらなかった。澤は相変わらず、サナちゃんとラブラブで志乃と私も普通に過ごしている。
唯一変わったことといえば、彩葉に彼氏が出来たということだけだ。
彩葉によると、球技大会終わってから私たちのクラスが強い、と有名になって同級生たちが告白してきたらしい。
私よりも彩葉のほうが活躍していたから、彩葉にはたくさん来ていた。
その中でも誠実そうな犬系男子の告白をOKして付き合ったらしい。
女子には選ぶ権利があるからね、とヘラヘラ笑っていたのを覚えている。
その子は、住吉シュウくんと言うらしい。志乃や澤なみに顔は整っていた。
シュウくんはどっちかっていうとカワイイ系男子で身長は177cmと言っていた。
こんなかっこいい同級生いた事にビックリしている。
そのシュウくんがなぜか私たちとご飯を食べることになった。
彩葉とシュウくんは最近1ヶ月を迎えたばかり。シュウくんは結構甘えたで彩葉が面倒を見ているという感じだ。
彩葉のタイプとは真逆だ。誠実そうだから、と言って選んだはずなのになぜかギャップがあって全く私のタイプと真逆、むしろ苦手、と残念がっていた。
でも、時間がたつにつれて彩葉は思ったことがあったらしい。
「これが、好きっていうことだよ。タイプと真逆でも嫌いになれないしずっと一緒にいたいって思える。好きだから好き。好きな理由なんて何処にもないんだからね」
そう言っていた。確かにそうだ。
好きな理由があるってことは、嫌いな理由もあるってこと。って誰かから教わった。
人間みんなそうだ。例えば私がオムライス好きだとして、理由なんてない。オムライスだから好き、おいしいから好き、それと人間は一緒だ。好きだから好き。
彩葉にそんなことを教わって、自分の気持ちが色々変わったように思う。
目の前の彩葉とシュウくんをみて、すごくすごく感心した。
「シュウくんって、彩葉にベタ惚れだよね。どこに惚れたの?」
私が唐突に質問すると、シュウくんはその唐突さに驚いていたが、すぐ平然とした表情を取り戻して、彩葉のことをチラリと見ながらゆっくり口を開く。
「……直感かな。惚れたとかじゃなくて、この人と付き合ったら幸せな日々を送れそうと思って。」
「うん。」
「正直、こんなこと急に言われたら怖いじゃん?だから、球技大会を利用して告白した。本当はずっと前から彩葉のこと見てたから、んー、今を合わせると1年くらい好きかな?」
「そんなの聞いて今鳥肌立ったわ。しかも初耳。」
「いや、俺もこんな事好きな人以外に言ったの初めてだからな。嫌うなら、嫌ってくれ。」
「はいはい。好きだから切なそうな顔すんな。」
シュウくんと彩葉を見ていると、すごい幸せな感覚になる。
新婚ホヤホヤなのに、どこか安心感があって兄妹のような、けどカップルのような。
こんなカップルになりたいとわたしは心底二人を見て思った。
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