第18話



私の中で答えは出た。というか、最初から悩まなきゃよかったんだ。


学校が終わり颯爽と志乃の机に向かった。

志乃は机の上で身体を倒しいつも通り寝ていた。


「あ、あさちゃん。志乃昨日から寝てなかったらしくて、爆睡だよ」


志乃に話しかけようとすると、隣から澤がそう言ってきた。

昨日から寝てなかった?なんで?ゲームのしすぎ?


「澤ー、寝坊助とあさおいて帰ろ」


後から彩葉が澤を誘って、その場から去ろうとする。私は彩葉のほうをみて口パクで"ありがとう"とお礼を言って近くの椅子に座る。

周りの生徒達もどんどん消えていく。時には私に挨拶をしてくれる人もいて、わたしと志乃だけが教室に残った。


「志乃ーー、起きてーー、もう学校終わったよ」


私が一声かけても起きる気配はなかった。志乃は爆睡すると本当に起きないから。

教室には私の息と志乃の寝息が響き渡る。


「……志乃。」


私は今しかないと思った。爆睡してると思うけど期待はしていた。起きていると。


「告白、ありがとう。昨日寝てなかったっていうのは、私に告白したこと後悔してたの?それだったら凄い申し訳ないんだけど。」


ピクリともせず、寝息だけが響き渡る。


「……私のこと好きって言ってくれて嬉しかったよ、けど志乃は私の中で大切な大切な友達でそこから離れることはないの。私はどうしても志乃のこと友達としてしか見れない。良い意味で友達っていうくらい大切なの。…………それじゃ、駄目かな」


私は悩んだ結果こうなってしまった。

少し間が空いてから、志乃の身体がピクリと動いた。


「志乃……?」


「……………、サンキューな。…俺はそれで十分だよ。」


やっぱり全部聞いていて、起きていた。

声だけ聞くと、悲しそうだった。それでもこういうしかなかった。

傷つけたくない、って思ってるけど志乃だから言わなきゃいけなかった。


志乃はゆっくりと身体を動かして、起き上がった。


「……腹減った!なんか奢れよー、あ、新しいラーメン屋出来たところ食べに行かね?俺絶対とんこつ醤油な!」


今のが無かったかのように、私に話しかける。これが志乃なりの優しさって私は知ってるよ。

これだから私たちはやっていける。昔もそうだったから。


「えーじゃあ私、担々麺!辛いかなー」


私たちは自然とバックを持って、立ち上がる。


志乃って、本当に優しいなぁと実感しつつ教室を後にした。



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