第13話



球技大会当日。


みんないつもより気合い入っている。

女子達はばっちりメイクして、盛り髪をしてる子たちもいる。上下半袖半ズボンのジャージは上手くオリジナルにして着ていた。

男子達はガチ勢な人がほとんどだった。

少しかっこよく見えた


澤はいつも通りだった。

それにしても澤なにもしなくてもかっこいいというのは何事。

でもなんだか志乃はいつになく浮かない顔をしていた。

心配だったが、あまり気にしなかった。




私達もそれなりにメイクだってしてきたけどガチで球技をするからいつも下ろしてるセミロングの髪を高く結ってポニーテールにした。ちなみに彩葉はお団子。


鏡を見ながらリップを付けていると、横からポニーテールを触られた。

視線を向けると、机の上に寄っかかってる志乃が私のことを見ていた。


「な、何よ。」


目が合ってしまい志乃の真剣な目に恥ずかしくなって、すぐ逸らした。


「んー珍しく髪結ってるなぁと思って、似合ってる」


そう優しく言うから、視線を向けるとニッと微笑んだ。褒めてくれてただただ嬉しくて、恥ずかしさが消えた。


「あさちゃん、何もしなくても可愛いのに」


「ガチでやるからこそ顔面は大事なんです!周りの女子よりマシだからいいでしょ」


志乃は周りの女子達をグルッと見渡して最後に私の顔を見て、言った


「あさちゃんのが可愛い」


次は、ふふと優しく笑った

そして恥ずかしくなった

こうやっていわれることがはじめてだからなのかもしれない。


「……ふーん、まぁ、頑張ろうね」


リップをしまって志乃にそう言うと"おう"と元気よく言ってくれてなんだかがんばれそうな気がした。


「そろそろうちらの出番だよ」


ちょうど良く彩葉に声をかけられ急いで体育館に向かった












私たちが先にやるのは、バスケットボールだった。昼休みにやったきりだったけど謎の余裕があった。


「初戦から、スポーツ科かよ……」


体育館について次の試合相手を見て、志乃がそう呟いた。

初戦から1年生のスポーツ科だった。

1年生でもスポーツ科だから強い。少なくとも私たちよりは体力があるから。


「あ、もう始まるからコートにはいろ」


すぐさま走って急いでコートの中に入った。

周りは、澤や志乃のファンであろう軍団がギャーギャー騒いでいた

この中でやるのは、流石にすごいことになりそうだ。


「あ、靴紐解けてますよ」


私が軽くストレッチをしていると、前にいた戦う相手の一年生が私の靴を見てそう言った


「…………あ、っありがと」


見上げながらお礼を言った

その一年生は高身長で爽やかな男の子だった

割と顔は整っていて、少し焼けていた


お礼をいって結び直し立ち上がると、それを待っていたかのように「お互い頑張りましょうね」と笑ってその1年生は言った

なんだか、キュンとした。

私は精一杯頷いて、ゲームが開始した。







初めから、ハードルが高かった。


その1年生はすごい動くし背が高いからバスケットのゴールが綺麗だった


けど志乃や澤も負けていなかった

彩葉だってスリーを簡単に入れるし、私要らない?とふと思ったけど、志乃が「あさ!」と叫んだ


綺麗にパスが飛んできて私はキャッチしてすぐドリブルをしながらゴールに近づく

けどその1年生が現れた


「……すごいっすね、惚れそうですね。けど入れさせないっすよ」


その子は私にゴールを入れさせないようにした。


「私たちは負けないよ、だからせいぜい頑張れ」


私はそう伝えるだけ伝えて、下がりすぐスリーを決めた

その早さに1年生は目をまんまるくして驚いていた。

その間に3本志乃や澤が入れた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る