第11話



そのカフェに着いて、それぞれ注文をした。私と澤はカフェオレで、サナちゃんは、苦いのがあんまり好きじゃないということでキャラメルラテを頼んでいた。




注文の品が来て、さっそく話し始めたのはサナちゃんだった。


「東京って、凄いですね。私今日友達と来てたんですけど友達が用事あるらしくてその間お買い物してたら、たまたまなるちゃんたちが居て!本当に吃驚しましたよ。」


「あはは、そうなんだ。東京いいですよね、私昔から住んでるけどいい街ですよ。ね、澤も慣れたでしょ?」


「ん?うん。いいところ。てか、大丈夫だったか?ナンパされなかった?友達と一緒に行動しとけよな〜」


「はいはい、ごめんね?されてないから大丈夫。心配性なんだからー。

なるちゃん後寝癖ついてるよ」


サナちゃんは隣にいる澤の髪の毛を触って寝癖を直している。


そういえば、教室にずっと寝ていて寝癖ついたままだったんだ。


「なるちゃんのお友達さんは、なんて言う名前で?」


「あ、私、木田あさって言うから適当に呼んで貰っていいよ。」


「じゃー、あさちゃんで!なるちゃんちゃんと学校で馴染めてる?」


「うん!私の友達に超がつくほどのイケメンの志乃っていう子が居るんだけど、志乃のおかげで澤は人気者だよ。」


「…照れるな…。志乃が居なかったら正直仲良くできる人居なさそうだったけどな。」


「今じゃ、人気者。学園の王子様だよ、澤は。」


「それならいいんだー。なるちゃんこっち来る前、凄い不安げな顔して行ったから、心配で。」


サナちゃんは、澤の顔を見ながら優しくそう言った。

どんだけサナちゃんは優しい子なんだろうと思った。澤は凄いドジであほだからサナちゃんは世話をしたいんだろうな、と感じた。

私だって澤にはそう思った。

でも、サナちゃんのように接していたらそれは浮気になってしまうかもしれないから、澤は私の中で友達、って線引きしている。


「あ、そういえばなるちゃん。私明日帰るからよかったら駅来てくれる?」


「お、いいよ。友達も一緒なんだろ?」


「もちろん!よかったら、あさちゃんも来ますか?明日暇ならですけど!!」


「あーーー明日は用事あるし、せっかくの別れなんだから、二人でゆっくりしなよ!」


澤は私の言葉に賛成した。

少し悲しかったけど、私には明日用事があったから断るしかなかった。

まあ、私が行ったところで何になるのかって話だけど。

私が澤の大親友とかならわかるけど、ただの友達で。

しかもサナちゃんとは初対面なのに。


私は頼んだカフェオレを少しずつ全部飲んで、バックから1000円札を取り出した。

そして、ゆっくり席から立ち上がる。


「あ、明日帰るなら今日はゆっくりしていきなよ!!私は帰るよ」


「おお、そっか。そうだな。」


澤はまた賛成して私はサナちゃんにお辞儀をした。


「あさちゃん、ありがとう!!また会おうね」


「こちらこそ!ありがとう」


私はその二人にお礼をいい、そのカフェをあとにした。


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