第10話



アクセサリー屋さんに入ると、キラキラしていてまるで宝石のようだった。

ここのお店だけはよく知っていて、安いし、友達のプレゼントに丁度いいかなって言うものばかりある。

アクセサリーを見物していると、澤がキラキラしたような顔で見ていた。

ここから見ると、凄くアホっぽい。まあ、澤アホだけどさ。アホ丸出しっていうかね。


「なんか良いのあった?」


そんなキラキラな瞳をしている澤に後から聞いてみた。


「これ良くね?サナ割と大人っぽいからさ」


澤が差し出してきたものはシルバーのリングがついたネックレス。

値段もそこそこで、どんな子かは分からないけど大人っぽいな〜って思った。

澤はそれを、もうひとつとって、財布を取り出した。


「あさ、それ欲しいの?」


「………ん?ああ、可愛いなって思って!新作だからちょっと高くて辞めた!」


"ふーん"と言うとその私が可愛いって言った金のネックレスを持って、レジに進んでいく。

"なんだろうか?"と思ったが、帰ってくるまで待った。







「お待たせ〜!レジの人に彼女さん用ですか?ってあさのこと聞かれた!」


「…まじー??彼女じゃないつうの」


両手に包装してもらった紙袋を持ってお店から澤が出てきてにこにこしながらそう言った。

私が自分でそう言ったけど、なんだか悲しくなる。確かに澤の彼女じゃないけどもさ。


「はい、これ」


両手に持っていた紙袋のほうの片方を私に渡してきた。

何も言ってこないから私は驚きながらもそれをゆっくりと受け取った


「今日付き合ってくれたお礼。さっきのネックレス。さんきゅうな」


「わ〜!!!!澤!ありがとう!!!」


さっき私が可愛いって言ってたネックレスを買ってくれていた。

私に聞いてきたあと澤が持っていったからなんだろうとは思ったけど。


「大切に使います。」


そう言ってその紙袋をバックにしまう。澤もそのプレゼントをバックにしまって、携帯を開いた。


「…あ!」


携帯の画面を開きながら、大きな声を上げた。一瞬驚いた。

"どうしたのか"と聞いてみた。


「サナがこのへんにいるって!友達と東京旅行来てるらしい。」


「お!!会えるかもじゃん!!」


「会いたい!」


「あれ、なるちゃん?」


私たちはアクセサリー屋さんの前で楽しそうに話してると、横の方から女の子の声が聞こえた。

聞こえた方に視線を向けると、両手に紙袋を持っている女の子がいた。


「……っ、サナ!?」


澤は、身体は少し揺らして女の子に名前を呼ばれたあと、驚いて"サナ"と言った。

それで、東京旅行に来ている澤の彼女だと知った。

私よりも明らかに10センチ程小さくて小人のような身長、お人形さんのような真ん丸な瞳、サラサラな茶色のセミロング。


"天使か!?"と思ったくらいだった。

澤にこんなこんな可愛い彼女がいたなんて。

まあ、イケメンだからそうなるとは思うんだけど。


「この子が噂の、サナちゃん?」


「そ、そう!」


今更だけど私ここに居ていいのかと不安だった。だって私はいいけど彼女がいる澤と街をぶらついていたんだよ。

彼女なら普通嫉妬するのではないかと思った。

でもサナちゃんはそうじゃなかった。


「なるちゃんの、お友達ですか?」


澤の彼女のサナちゃんはキョトンとしたような顔で私に聞いてくる。


「……は、はい!…っ、友達のプレゼント買うの澤に頼んだんですよ!」


「……あはは。大丈夫ですよ。私妬いてないので!よかったらですけど、あそこのカフェでお茶していきません?」


サナちゃんが指差した先には、真っ白い出来たばかりのカフェがあった。何回かなら行ったことあるけど、とてもカフェらしくて、オシャレだったのを覚えている。


「おう!そうしよう!」


澤はようやく安静を取り戻したようで、3人で少し離れた場所のカフェに向かった。




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