第4話




「なあーなーあ、恋バナしよーぜー」


みんな一人一人歌い終わって何もすることなくなった頃に、志乃の友達のひとりが言った

それにみんなは賛同していた


正直澤のは聞きたかったし

志乃の最近も聞いてなかったから、楽しみだった



「そーいえばー、志乃好きな人いるんだってなー?」


その友達が思い出すようにしてみんなに告げる


みんなは"え!?"と声を上げ、とても吃驚している様子

もちろん、私だって吃驚はしたけど志乃の好きな人の話はいつも聞いてたから、本当なのかわからない

いつも志乃は出来ても告白しないしアピールしないしそれでもってその好きな人がとられたみたいなことしかないから、いつも怒っていたのを覚えている。

志乃はイケメンだから、告白しても大丈夫なはずなんだけどな。

志乃はそういうところはプライドが高いのかもしれない

振り向かせたい欲とでもいうのだろうか。


「今度は本気〜」


志乃はそうヘラヘラ笑っていうとオレンジジュースをがぶ飲みした。


「ほんとかよ〜。ところで、澤は好きな人居ないの」


友達が聞くと澤はカルピスを一口飲んで口を開いた


「俺、彼女いるよ?こっちに引越してきて遠距離になってしまったけど!もうかれこれ付き合って3年ちょいかな」



ズキン


なに、ズキンって


澤には3年にもなる彼女がいた


詳しくはあとから聞いたけど

サナちゃんっていうらしい。名前まで可愛い。


「サナちゃんか〜。可愛いの?」


「そりゃあ彼女だからな!幼馴染みだったから、昔から見てたしずっと一緒にいて。」


サナちゃんの話してる澤はすごく楽しそうで

キラキラしてて、ベタ惚れなんだなっていうのが凄く伝わってきた

澤はかっこよくて、ナルシストなところあるけど、自分の大切な人にはきちんと尽くすし、ちゃんと愛している


そんな澤を尊敬していた

そして好きだったんだと思う


それでも気付くのはきっともっと先の話になるかもしれない








「まあ、だからあさちゃんも早く彼氏作りなさい」


恋バナの最後の方に志乃が、

私に指示するように言ってきた


みんな私を見ていて恥ずかしかった


「え、あさちゃん、彼氏居ないの?」


ポテトを食べながら志乃の隣にいた澤が驚いてそう呟いた

みんなも少し驚いていて、それに更に吃驚した


「あさちゃん、美人さんだから、居るのかと思った」


澤が大胆に褒め、少し照れてしまって

目の前にあった残ったコーラを一気に飲む

澤がそんなこと言うと思わなかったから。


「うん、あさちゃん美人なんだよな〜こいつ。あと性格が女の子らしかったらな〜」


志乃が余計なことを言うから、志乃の肩をどついて"うるさい!"と怒ると"はいはいごめんね"と呆れたように言った


「お前らって、仲良いのか、仲悪いのか分からんな」


クラスの人が笑いながらそう言った

そう、見えるのだろうか


澤もそんな光景をみて、ヘラヘラ笑ってくれている

その姿に、キュンとしてしまった

でも澤には可愛い可愛い彼女がいる

私なんて…と思ってしまった


私は澤のことをどう思っているのだろうか









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