雪女と咲かせる花は百合なのか?

作者 花井花子

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★★★ Excellent!!!

友人の女の子に、古き良き時代さながらのラブレターが届いた。それも、無記名で。
その差出人の正体を確かめさせられる羽目に陥った主人公。やがて待ち合わせ場所に現れたのは、予想だにしない相手で――。

そうして幕を開ける、ガールズラブコメディ。
心を惹かれるサブタイトルに始まり、登場人物の各々に個性や魅力があり、軽快な言い回しが小気味良い。そんな大変読みやすい作品になっていると感じました。

個人的には続編とまではいかずとも、後日談などが欲しいと思うのですが……コメディとしては上手くまとまってるとも思うので、少々複雑なところ。

物語のラスト、動き出した時間の先々は……彼女たちの明日は、私たち読者の想像に委ねられている。
そんな結び方もまた趣があって、目覚ましい後味を醸し出してるのかもしれません。

皆様も是非この作品に目を通し、思い思いの想像をされてみては如何でしょうか。

★★★ Excellent!!!

サボり癖をもつ高校一年生・三島涼花は、友人の宮守五十鈴との賭けの結果、彼女宛に届いたラブレターの送り主を彼女に代わって確かめることになってしまう。
ところが、時間になって指定の場所に現れたのは、校内で「雪女」と恐れられる同級生・雪代真冬であった。ラブレターの送り主は真冬だったのだ。
真冬が同性愛者だと知ってしまった涼花は、真冬が宮守と仲良くなれるよう手伝うはめに……。

――という筋立ての百合ラブコメです。

才色兼備ながら激しい性格と凄まじい威圧感で「雪女」と恐れられる真冬と、「所有物」として協力関係を(半ば強引に)結ぶはめになってしまった涼花。
ドタバタコメディを演じながらもだんだんと距離を縮めていく二人の、友情とそれ以上の想いとの間で揺れ動く葛藤がひたすらに甘酸っぱい。

完結作であるため安心して読み切れるのも大きなポイントと言えましょう。

コメディ描写で上がった口角が、いつの間にか尊みの2828に変わっている。そんな作品をお探しの方におすすめです。