Episode1:きっかけ

ユウマ「ふぅ...明日から2年生か。」


春休み最終日の昼頃。一人の男がコンビニに向かっていた。ってまぁ俺なんだけどね。甘いものが食べたくなったらコンビニだろ。何故かコンビニのデザートって普通のお店よりも美味かったりするんだよな...。


コンビニの中は暖房が効いており非常にぬくぬくとしていた。ユウマはお目当てのデザートを買いにデザートコーナーへ向かう。


「ねぇ見た!昨日の扇ヶ丘学園の序列攻防戦!」


「あ!見た見た!凄かったよねあの戦い!私も異能力組に生まれたかったなぁ...」


ふとそんな会話が聞こえてくる。異能力組に生まれたかった...か。この世界には「異能力組」と呼ばれる、普通の人間にはない特殊な能力を持った人間がいる。しかしそれはごく少数であり、この世界の人間の1割にも満たないのだ。そしてその異能力を持った人間は異能学園に送られる。いわゆる専門学校の能力版のようなところに送られるのだ。


そしてこの世界の10割近い数を誇っているのが「非能力者組」だ。名前の通り能力を持ってない人のことだ。ちなみに俺も非能力者側だ。


まず能力を持つには両親のどちらかが能力を持っていなければならない。能力を持ってない親のあいだに生まれた子供は能力を持つことが出来ないのだ。


しかし最近ニュースでやっていたが、両親が能力を持っていなくてもかなり低い確率で子供が能力を持って生まれてくることがあるらしい。しかもその子供の能力の強さは、能力持ちの両親の元で生まれた子供の力を上回るらしいのだ。ほんとにそんなことがあるのか?


お目当てのデザートをレジへ持っていき、会計を済ます。よし、早く家に帰ってこのエクレアにかぶりつくぞォオオ!。と心の中で叫んでいると、コンビニの裏から誰かが泣いている声がした。


コンビニの裏を覗き込んでみると、中学生くらいの男の子が不良にいじめられていたのだ。これはまずいな、止めに行くか。


ユウマ「おい、何してんだ。今すぐやめろ」


不良1「あ?なんだてめぇ?てめぇもボコられてぇのか?」


不良2「お前の顔見てるとイライラすんなぁ...。ちょい殴らせろや!」バギィ


ユウマ「ぐふっ...」


やべぇ大して喧嘩も強くねぇのにでしゃばっちまったァ...。これはまじてやばいな...。


不良1「おらっ死ねよ!」バギィ


不良2「フンッ!」ドゴォ


ユウマ「ガハッ...ウグッ...」ハァハァ


俺は地面に体を叩きつけられる。やべぇマシで意識が朦朧としてきた...。せめて俺がもっと強くて、いや、俺が「異能力組」だったら...こんなヤツらあっという間なのに...。こいつらの攻撃なんで全部弾き返してやるのに...。クソっ!クソっ!クソっ...。


ユウマ「くそぉおおおおお!!!!」


俺が自分の無力さを叫んだ時。俺の体の周りを謎の光が包んだのだった...。

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