うぅ……頭と関節が痛い……
うぅ……頭と関節が痛い……
悪寒がするし、起きれる気もしない。
……どうしよ。結構辛い。
ああ、これ、あれかな。インフルかな。
こんなに辛いものだった?
なんか、すっごく寂しい。
「千雪~?ご飯だよ!」
下から夜空君が呼ぶ声が聞こえるけど、反応する元気もない。
それどころかスマホのあるところに手を伸ばすのすら辛い。
「千雪~?」
夜空君がわたしを呼ぶ声が近づいてきて、ドアの前で止まる。
――コンコン
「千雪、起きてる?」
ノックの後、そんな夜空君の声が聞こえる。
「入るよー。」
ガチャリと扉が開いて、すっかり制服に着替えた夜空君が入ってくる。
ぱちりと夜空君と目が合う。
「え?千雪?顔赤いけど大丈夫?」
喋るのは結構辛いから、少し頭を横に振って答える。
すると、夜空君は「ちょっと待ってて」と言って、部屋から出て行く。
少しして戻ってきた夜空君の手には何かが握られていた。
「ちょっとおでこさわるよ。」
「うん」
夜空君はそう言うと、わたしの前髪を上げて、手に持ったもので何かをする。
「38.9℃……」
ああ、それ体温計だったんだ。
「間違いなく熱があるね。時期的にたぶんインフル。」
夜空君の言葉にわたしは頷く。
インフルの可能性大かぁ……そっか、だからこんなに辛いんだ。
「でも困ったなぁ……今日平日だし、千雪の保険証ないし……」
保険証?
あれ?なんかお母さんがそんなこと……
あ、思い出した。『困ったときお助けバック』の中に入ってた。
確か場所は……
「小さいポケット……」
わたしが指をさしながらそう言うと、夜空君は『困ったときお助けバック』の小さい方のポケットを開く。
夜空君はそこから診察券とか保険証とかを出す。
「……お母さんが、用意してくれた。」
「うん。用意周到だね。千雪を生んでくれたこと以外で晴子さんに感謝したのは初めてだよ。」
ああ、そっか。確かに、夜空君はお母さんに色々されてるもんね。
「まだ病院やってないから、九時半くらいまでゆっくりしてようか。」
「うん。」
そういえば、今何時なんだろ……
時計見るのもつらいなぁ……
「あ、千雪は何か食べれる?もし食べれそうなら何でも作るけど?」
「……今は無理そう。」
ちょっと考えたけど、無理そう。
「そっか。あ、高校に連絡とかしないと。千雪、何か欲しいものがあったら何でも言ってね?」
「うん。」
「そうだ!氷持ってくるから、頭冷やす?」
「……ありがとう。でも、一つ聞いていい?もしかして夜空君、すごく動揺してる?」
なんか、いつもより慌ててる感じがあるし、ちょっと早口だから、もしかしたらそうなのかな?
「してるに決まってるじゃん。大事な彼女が辛そうにしてるんだから。」
「そ、即答?」
流石にそれは恥ずかしい……
「ねえ、夜空君。」
「なぁに?」
「夜空君がそんなに動揺するの珍しいね……わたしの為にそんなに動揺してくれるんだ……嬉しい。」
普段なら、絶対こんなこと言わない。
というか、恥ずかしくてなかなか言えない。
と思っていたら、夜空君が突然頭を撫でてくる。
「よ、夜空君!?」
「僕がこんなに動揺するのは、千雪のことだけだよ?」
っ!!
嬉しいっ!
っていうか、そんなこと言われたら、嬉しいに決まってるじゃん!
「じゃあ、ちょっと電話してくるね。電話が終わったら、千雪が寂しくないようにずっとここにいるから。」
「うん。」
夜空君には、わたしが寂しいって思ってたのバレちゃってたのかな?
ちょっと恥ずかしい。
でも、それで夜空君が一緒に居てくれるなら、それでもいいかな……
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