起床……っ!!?





「んん……」


何か息苦しい感覚がして、目が覚めた。


「ん~~、ん?」


目が覚めると、目の前にあったのは白色の布地。

そして、暖かい側頭部と、ふんわりと香る千雪の匂い。


「っ!!?」


飛び起きた。

そりゃあもう、自分でびっくりするぐらい早く。

そして、昨日膝枕をしてもらったまま寝てしまったことも思い出した。

はっとして時計を見ると、短針がさすのは七という数字。


ああ、そっか。今日は学園祭の振り替え休日だった。


っていうか、千雪もよくこの体勢で寝れたよね……


それより、昨日の夜大分恥ずかしいこと言ってた記憶があるんだけど……

ああもう忘れたい!!忘れられない体質が憎い!!

恥ずかしい……


「んん……?夜空君?起きたの?」

「ああ、おはよう千雪。」

「うん!おはよう!」


そう言って無防備に笑う様子が、心にグッとくる。

でも、それ以上に羞恥心が大きすぎて、まともに顔を見れない。


「夜空君、よく寝れた?」

「まあ、うん。」

「よかったぁ……昨日、夜空君すっごく疲れてたみたいだったから、ちゃんと寝れててほんっとよかった……」


その分起きてから疲れた気がするんだけどね……とは言わないでおく。

せっかく千雪が嬉しそうなのに、水を差すのも……ね。

でも、それよりも気になることがある。


「千雪は、昨日ちゃんと寝れた?体痛くない?」

「大丈夫だよ!夜空君の寝顔見てたらいつの間にか寝ちゃってたし。」

「そっか。ならいいんだけど。僕のせいで千雪が寝れないとか嫌だったしね。」


というか、よく足しびれなかったよね……

僕なら足しびれちゃいそう。


「じゃあ、朝ご飯にしますか。」

「そうだね!そうだ!わたしが作ってもいい?」

「え……」


千雪が、朝食を?

……まあ、いっか。最近ご飯の練習してなかったし。


「いいよ。じゃあ僕も……」

「いや、夜空君は座って待ってて?わたし、夜空君が引きこもってた二週間の間に練習したから、そのその成果を見てくれない?」

「……そういうことなら。」


本当はとっても心配だけど、千雪がやりたいって言うなら仕方ない。

それに、千雪の料理は気になるし。

うん。どんなのが出てきても美味しいって言ってあげよう。









「っ!!?想像以上に美味しい!!」

「夜空君?褒められたんだよね?」

「うん!褒めたに決まってるじゃん!練習したって言っても、ここまで上達しているとは……」


メニューはただの目玉焼きとかだけど、焼け具合とかばっちりだし、塩コショウの量も問題ない。

しかも、ちゃんとサラダがあるし、切ってある!!

凄い進歩……


「まさか、千雪がこんなにできる子だったなんて……」

「そう言ってくれると嬉しいな。他の人に食べてもらうの初めてだったから、緊張してて……」

「そっかぁ、僕が初めて千雪の料理食べるのかぁ……なんか嬉しい。」


僕は何気なく手を伸ばすと、千雪の頭を優しく撫でる。

ああ、咲が初めて料理したときにも同じことしたなぁ……


「よくできました。じゃあ次は、夕食の練習もしよっか。」

「うん!頑張る!!」


千雪はえへへと嬉しそうに笑って、こくんと頷く。


何でもないような日常でも、千雪といると幸せだなぁ……





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