夜空君、なんで制服?
「あ、おはよう。ご飯もうすぐでできるよ。」
わたしが朝起きて一階のリビングに入ると、夜空君が制服を着ていた。
え?なんで?
「うん。おはよう。それより、何で制服?」
「え?今日から学校だよ?昨日寝る前に言ったよね?」
あー、そう言えばそんなことも言っていた気がする。
昨日一日夜空君とゲームとかでいっぱい遊んだあと疲れてすぐ寝ちゃったから記憶が……
ああ、夜空君ゲーム強すぎたよなぁ……
「はい。朝食出来たよ。早く食べなよ。」
「あ、うん!いただきます!」
わたしはそう言うと、ジャムの塗ってあるトーストを齧る。
あ、そうだ!聞いておきたいことがあったんだ!
「そういえば、もぐもぐ。」
「うん。食べ終わってから話そうね。」
夜空君にそう言われたから、落ち着いて口に残っている目玉焼きを呑み込む。
「夜空君、いつも学校に行く時って一人だよね?」
「うん。そうだよ。通学路でよく会ってたじゃん。」
「そっか!やっぱりそうだよね!」
「……僕がボッチでそんなに良かった?」
そう言ってふふっと暗い顔で笑う夜空君を見て、わたしは慌てる。
「ちがっ!そういうことじゃなくて!」
「大丈夫。わかってるから。」
夜空君はそう言うと顔の暗さを消して、優しく微笑む。
「で、学校に行く時がどうしたの?」
「うん、今日の事なんだけど…………一緒に行かない?」
その瞬間、夜空君の動きが止まる。
え?何か地雷踏んだ!?
夜空君は色々なところに地雷がありそうだから怖すぎるんだけど!?
「え?むしろ
そう驚いたように言う様子を見て、ふっと肩の力が抜けるのを感じる。
「よかったぁーー!じゃあ、一緒に行ってくれるんだね!」
「うん。元からそのつもりだったし。」
「はぁあああああ……夜空君、紛らわしいんだよぉ……」
「え?何が?」
夜空君は首を傾げて何かを考え始めるけど、何か結論が出たのか、考えるポーズをやめてまた食べ始める。
ああ、なんか通学路が楽しみになってきた!
「夜空君、早く食べて学校行こうよ!」
「え……」
「はーやーくー!」
「わ、わかったから、口に押し込んでくるのやめて!」
「千雪、時間かかるならどうして急かしたの?」
「むぅ……だって、夜空君思ったより準備に時間かかんないんだもん。」
「まあ、男子だからね。って、なんかデジャヴ……」
うん、わたしもそんな気がしてるからたぶんそれはデジャヴじゃなくて本当の過去なんだと思うよ。
「じゃあ、はやくいこっ!」
わたしはそう言いながら、夜空君の腕をとって抱きしめるようにする。
「千雪、それ当たってるからね。」
「うん?何が?」
「わかってるよね?わかっててやってるよね?そういうの、ダメ、ゼッタイ。」
「何で急に片言?」
何となく夜空君の言いたいことはわかるけど、別にわたしは気にしないし。
それに、この方が夜空君成分を堪能……あ!いいこと思いついた!
「夜空くーん!」
「……凄く歩きにくいんだけど。」
わたしが直接夜空君の体に抱き着くのはお気に召さないよう。
うーん。いい案だと思ったんだけどなぁ……
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