夜空君、意識しちゃうじゃん!
「はぁ……ハードルが高いよぉ……」
あんなことを言われたら、寝顔であっても意識しちゃうじゃん!
風花ちゃんのばかぁ……
ああ、胸のドキドキが収まらない。
仕方ないから、寝よう。
結局、ほとんど寝れずに日の出を迎えてしまった。
うぅ……頭が重い……
わたしは、自分が寝ていた部屋を出る。
が、その瞬間に気が付いてしまった。
「何しよう……」
いままで、暇なときには夜空君から勉強を教わったり、夜空君と話したりしていたけど、今夜空君の顔を見たらまともな気分でいれない。
あ、良いこと思いついた。
朝食をつくって時間をつぶして、夜空君の負担を減らしてあげよう!!
そう思ったのだけれども、うろ覚えの手順では色々な失敗をしてしまい、できたのは食べれなくはないけど、女の子の出した料理にしては酷い。
「はぁ……じゃあ、夜空君を起こしに行くしかないかぁ……」
わたしは夜空君と話したいけど話したくないという複雑な気持ちを抱えながら、地下室に行く。
扉を開けると、まだ夜空君は寝ていた。
わたしは夜空君に近づくと、自分の鼓動が早まるのを感じる。
やっぱり、変に意識しちゃうよ!
わたしは深呼吸をすると、夜空君の顔を覗き込む。
わたしの好きな人の顔。
わたしが信用できる人。
わたしは夜空君が好き。
「好きだよ。夜空君、好きだよ。」
無意識のうちにわたしの口からそんな言葉が飛んでいく。
わたしが変なことを口走ったと気が付いた時には、夜空君の目があいていた。
え?聞かれた?
今の言葉、聞かれちゃった?
「……おはよう。」
「う、うん!おはよう!」
夜空君が眠そうに言ったところを見ると、さっきの言葉は聞かれてなかったのかな?
でも、その唇が動くのを見て、またわたしの鼓動が速くなる。
「よ、夜空君!今日はわたしが朝食作ったからね!は、早くきてね?」
そこにこれ以上いたら、変なことを口走ってしまいそうで、わたしはその場から逃げた。
でも、やっぱり朝食を食べないわけにもいかないから、リビングで椅子に座って待つしかない。
その間に、なるべく落ち着かないと……
そんなことを考えていると、すぐに夜空君が来た。
けれど、テーブルの上にある朝食をみて、固まってしまう。
「ちょ、ちょっと失敗しちゃったけど……」
わたしがそう言うと、夜空君はわたしの顔と朝食を交互に見た後、頷く。
「ま、まあ、食べれないことはないし……せっかく作ってくれたんだから、ありがたいよ。」
なんて下手なフォロー。
『食べれないことはないし』の部分で本音が出ちゃってるじゃん……
わたしがそう思っていると、夜空君が向かいの椅子に座ったので、慌てて両手を合わせる。
「「いただきます。」」
とは言ったものの、朝に口走ってしまったアレを夜空君に聞かれていなかったかが不安で、ちらちらと食事中も夜空君のことを見てしまった。
「千雪、どうしたの?なんか変だよ?」
「ふえっ!?そ、そんなことないよ?ご、ごちそうさま!」
そんなに露骨に見ていたのか、夜空君の感覚が鋭いのかはわからないけど、これ以上追及されるのは困るので、その場から逃げるようにリビングを出る。
「ま、待って!」
夜空君の焦ったような声がして、一瞬足が止まるけど、すぐにまた歩き出す。
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