第12話 渾身

アルベルトはハルマの勇気と、何者にも屈しない度胸、そして馬鹿をたたえて黒と赤の炎に抱かれようとしているハルマに向かって手を合わせる 。


「おつかれ、ハルト……今までありが……!?」


最後のお別れの言葉を言う前にアルベルトはその光景に言葉を失ってしまう。黒い炎と赤い炎に呑まれようとしていたハルマの前に、真っ白い羽を広げハルマを守るようにして立っているアステラを見たからだ。彼女の何も知らないが故の慈悲に自分が今までやってきた茶番がバカバカしくなってきた。


「グリアス……流石に死んでしまいますよ?」


彼女の結界に触れた瞬間に、二人の炎は消えていく。


「って……何で俺だけなんだよ……」


「一応私も反省するべきか……」


レーダスとグリアスが下を向き反省の態度を示す。だがアステラは不思議そうに首を傾げ。


「?? ……私はグリアスだけに言ってるんですよ? 。レーダスさんの魔導術……いや魔法はハルマ君を死なない程度に調節していましたから」


やっぱり天然、いや馬鹿だ……俺の期待と反省を返せ、馬鹿神。


「それに加えグリアス……あなたは神の力である魔導術を使いました……いくら私が愛おしく、私に嫉妬していたとしても、あれを食らえばハルマ君は死んでいたでしょう」


「ッ!! すまねー……な、ハルマ……」


ハルマに謝るグリアス……だが。


「ありがとうございます天使様、いや女神様! ありがとうございますありがとうございます……」


ハルマはアステラに、感謝を込めた崇拝をしながら頭をじめんにぶつけ頭を思いっきりあげるとゆう奇妙な土下座をしている。


「どういたしまして」


アステラが答える。だが奇妙なことにハルマは土下座崇拝をやめない……いや、より一層激しくしている。


(これが俺の……!)


「……!!」


アステラに足元に微かな風が吹いている……いやハルマが風を起こしているように見える。そしてアステラのふわふわした服装をより一層ふわふわさせる。これは以前、施設で見たことがある。


「ハルマ式パンチラ術!! 土下座風(エアースケール・パンチラァア)!!」


説明しよう! 『ハルマ式パンチラ術、土下座風(エアースケール・パンチラ)』とは、自らの腹筋と背筋、おでこの限界値と耐久度を限界まで上げ自分の体をうちわのようにして風を起こしパンチラに促す、ゲス極まりない体術なのだ……俺がこれ言う意味あるのか……


アルベルトは、自分とハルマが息ピッタリなことに絶望して下を向く。

レーダスが呆れたような顔をしているが、なぜかグリアスはじっとアステラの服を見ている。そして馬鹿神に目を移す。


「ハルマ君は風を起こす魔法を使うんですねー! うん!! 感心感心!」


馬鹿神が手を叩きながらハルマをおだてている。


(あともう少し……これで……おわりだぁぁぁぁああ!!)


ハルマは渾身の頭突きを地面にくりだし……失神する。


「「「はっ?」」」


アステラを抜いた、他の三人の息は見事合う。


「ハルマ……君は本当に哀れだな……」


レーダスが無慈悲な冷声。


「……」


アルベルトは無表情にやれやれといったそぶりを見せる。


「あと……もう少し………だったんだが…………」


小さい声で何言ってんの?この神


「これはいったいどうゆう魔法なんでしょう……?」


馬鹿神だ、うん! 


「ところで……どうします? ハルマ……」


アルベルトは疲れ切った声で土下座崇拝をしたまんまで倒れているハルマを指差す。


「まぁ……起きるまで待とう、あなたがたにも聞きたいことはあるからな……」


レーダスは疲れ切った声を出しながらアステラとグリアスに質問をする。


「私たちが知る神話での創世の神と破滅の神は天界の追放および、地上に永久封印された、とかいてあるのだ

が?」


レーダスはアステラとグリアスに聞く


「封印されたんではありません……実は……グリアスに封印されたんです///」


アステラは顔を赤くしながら言う。


「!! ……あれは……今後、自分たちで封印が解けるように……と思っただけだ……」


「そういえば! 『どちらかが消えて離れ離れになるぐらいなら一緒に』……といって///」


アステラはまたも恥ずかしそうに言う。


「くっ……! そ、それは、だ……」


(イチャラブしやがって!!)


レーダスは恋人同士を妬む時の顔をしてアステラとグリアスに質問する。


「私たちの知ってるあなた方は、大天使ルシファルに封印された……と記されているのですが?」


「その本ではそう記されているのですかー……グリアス……どうなんですか?」


アステラはグリアスに質問する。


「わぁーったよ、言えばいいんだろ……あのクソ天使にどちらかを消す、と言われたから……その……離れたくなかったから俺が俺とお前を封印したんだよ!」


グリアスはそっぽを向いて答える。


「そういってくれればいいのに///」


「チッ! チッ! チッ!」


右どなりで座っているレーダスは二人に聞こえるように舌打ちをする。


「ですが封印したものは自分で解除しないと解けないのではないのですか?」


そんな空気をアルベルトはリセットしようとグリアスとアステラに聞く。


「そうだ、だからお前に協力してもらったんだ」


グリアスはそう言うと淡々と喋り出す。

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