番外編16〔迷子の心〕
番外編16〔迷子の心〕
『ラウクン王子』にそっくりの警備員に会ってからというもの、イサッチはどこか『物思い』にふける事が多くなった。
母さんが料理を教えている最中も、うわの空のイサッチに対して声をかけた。
「伊佐江さん?何か心配な事でもあるの?」
するとイサッチは「ハッ」とし、
「あ!申し訳ございません!お砂糖でしたよね?」
母さんは、キョトン?としながらも、すぐに笑顔になり、
「フフフ、伊佐江さん…やっぱり『あの人』の事が気になるのね?」
すると今度はイサッチが驚いた様子で、
「な、何の事でございましょう…あ、『あの人』の事などこれっぽっちも…」
すかさず母さんは、
「あら、『あの人』ってどの人?」
と、ニコニコしながら尋ねた。
するとイサッチは、『かま』をかけられた事に気付き、
「も、もう!セラさんたら意地悪ですわ。」
と、少し頬を膨らませながら言った。
「ウフフフ、ごめんなさい。でも、そんなに気になるのだったら、もう一度会いに行ってみたら?もちろん太郎には内緒でね。」
母さんは唇に人差指をあて、微笑みながらイサッチに言った。
イサッチは、一瞬表情が明るくなったが、すぐに曇り、
「で、でも
「でも『ラウクン王子』は、ここには居ないのよ。それに今の気持ちのまま、国に帰ってもその人の事が頭に浮かんで来るんじゃないかしら。」
その時、イサッチの頭にラウクン王子からの手紙の内容が浮かんだ。
『私は何十年でも、君の帰りを待っている…』
するとイサッチは伏せていた顔をあげ、
「そう…ですわよね……今の気持ちのまま国に帰っても、ラウクン王子に失礼ですわよね…
わかりました。あの方に会って来て、自分の気持ちを確かめて参ります。」
すると母さんは、
「それでね伊佐江さん、ひとつお願いがあるんだけど…」
イサッチは首を傾けながら、
「なんでございましょう?セラさん。」
「私が一緒に行ってもいいんだけど、智恵葉も一緒に連れて行ってくれないかしら?伊佐江さんも1人で行くのは不安でしょ?」
イサッチは、さらに不思議そうな顔をすると、
「はい…構いませんが。智恵葉様もデパートに用があるのでございますか?」
母さんは「フフフ…」と笑い、
「『デパート』っていうより、そこに行くまでに用があるみたい。」
「は?はあ…」
イサッチは母さんが何を言ってるのかわからなかった。
「明日は土曜日で学校が休みだから、ちょうどいいわ。私がタクシーを呼んでおくから、用意だけしておいてね。太郎やミウちゃんにも私から説明しておくから、安心して会ってらっしゃい。」
「はい、ありがとうございます。セラさん。」
イサッチは、深々と頭を下げ、母さんにお礼を言った。
次の日、母さんから話を聞いたミウが、僕にイサッチがデパートに行くことを話してくれた。
僕は驚き、
「もう!母さんたら、あれほどイサッチの事を頼んでいたのに!も、もしイサッチが「ユーリセンチに帰らない」って言い出したらどうするんだよ…」
と、部屋を出ようとした僕をミウが引き止めた。
「待ってタロウ、私も最初はタロウと同じ気持ちだったの、だけどお母さまの話を聞いていると、このまま国に帰るより、1度会った方がいいかなって。」
僕は真剣な眼差しで、僕を見つめながら話すミウに、
「ふう~…、で、母さんは何て言ってたの?」
「お母さまは、「私も女だからわかるの。伊佐江さんとラウクン王子の絆はこんな事で終わらないわ。伊佐江さんを信じてあげましょ。」って。」
「ミウはどう思うの?母さんの言ってる事わかる?」
するとミウは、笑顔を見せ、
「うん!お姉さまは、きっとラウクン王子の元に帰るって思う。
ずっと見てきたから、2人の関係。」
僕はミウの笑顔に、
「やれやれ、男の僕にはわからない事なのかな。
とりあえず、母さんやミウ、イサッチを信じてみるよ。」
するとミウは、
「タロウ!やっぱりタロウは優しいね!大好きだよ!」
と言いながら、僕に抱き着いて来た。
僕はミウの頭を撫でながら、
「ところでさ、ミウは今日、何か予定があるの?」
と、尋ねた。するとミウは、僕の胸に埋めていた顔を上げ、
「ううん、何もないよ。お姉さまと智恵葉ちゃんも出掛けるし、お母さまからも何も言われてないから。」
「そう…なんだ。じゃあさ、僕らもイサッチの様子を見に行かない?」
するとミウは、少し変な顔をして、
「え~!タロウってば、さっき『お姉さま』を信じるって言ったばかりなのに~。」
と、言ったかと思うと、少しモジモジしながら、
「わ、私はタロウと2人きりでどこか行きたいな…ハ…ハンバーガーも食べたいし…」
そんなミウの姿を見た僕は、すぐにイサッチの事が頭から吹っ飛んだ。
「そうだよね、イサッチも大人なんだから、ちゃんと自分で答えをだせるよね。
じゃあ、これからどこか行こうか。」
するとミウは、
「嬉しい!すぐに支度するね。」
と言いながら、僕にウインクをすると、小走りで部屋から出ていった。
「さてと、僕も顔を洗って着替えるか…」
僕もミウの後を追うように、部屋から出ると、1階の洗面所に向かった。
すると廊下で、いつもより『気合い』の入った姿の妹とすれ違った。
僕はおもわず、
「なんだ?智恵葉、そんなにオシャレしてデートにでも行くのか?」
と、冗談ぽく聞いてみた、すると
「うん!そうだよ!彼氏に会いにいくの!」
「え?!」
僕は驚き、横を通り過ぎた妹を振り返り、足を止めた。
「ち、ちょっと待て、お、お前に彼氏が居るなんて聞いてないぞ…」
すると妹は振り返ると、
「うっそだよ~ん!まだ彼氏じゃないんだよ~ん!」
と、笑顔で言い残し、2階に上がって行った。
僕はボーゼンとしながら、階段をかけ上がる妹を見て、
「やれやれ、なんなんだよ、一体?」
と、呆れながらも、嬉しそうな妹の姿に癒されつつ、気を取り直し顔を洗ってキッチンに行った。
そこには何やら話をしている、母さんとイサッチの姿があった。
そしてイサッチの目が僕と会った瞬間、
「あっ…」
イサッチは気まずそうに目を伏せた。僕はタメ息をつきながら、
「ふ~…、イサッチ、話はミウから聞いたよ。あのラウクン王子にソックリの人に会いにいくんでしょ?」
僕が頭をかきながら尋ねると、
「申し訳ございません、タロウ様…どうしても国に帰る前に、あの方とお話をしておきたくて…」
すると母さんが、
「タロウ、あのね、これは女性…」
「いいよ、母さん。さっき散々ミウに言われたばかりだから、男の僕にはまだわからないんでしょ?」
と、僕は母さんの話を遮り、
「でも、1人で大丈夫なの?まだ場所もよくわからないでしょ?」
するとイサッチが、
「それなら大丈夫ですわ、智恵葉様が一緒に来てくれますから。」
「へ?智恵葉が?あ~、あいつ、それであんなにオシャレしてたのか。」
すると母さんは、笑みを浮かべ、
「フフフ、あの娘の目的はデパートじゃないんだけどね。」
まだ、例のタクシーでデパートに行くことを知らなかった僕は、何の事だかまったくわからなかった。
「ふ~ん、まあいいや、僕もミウと出掛けるから、晩ご飯は要らないからね。」
と、母さんに告げると、
「あ、そうだ!伊佐江さん達もついでに晩ご飯を食べてきたら?智恵葉なら美味しいお店をたくさん知ってるから、教えてもらってさ。」
「え?で、でもセラさんが…」
「ウフフフ、いいのよ、伊佐江さん。みんなの恋話を聞いてたら、お父さんの事を思い出しちゃった。
今日は、お父さんとの思い出を思い出しながら少し飲むわ。」
母さんは、どこか遠い目をして、窓の外を見た。
「母さん…………………
飲むのはいいけど、ほどほどにしといてよ、後の面倒をみるのは僕達なんだから…」
僕が呆れ返ったように言うと、
「もう、太郎ったら、せっかく『しんみり』していた雰囲気が台無しじゃない。」
と、笑いながら、僕の肩を叩いてきた。
母さんは、お酒を普段は飲まないが、たまに寂しくなるのか、学校から帰って来ると、酔い潰れている事が何度かあった。
「じゃあ、僕は出かけて来るからね。」
と、言い残しその場を立ち去ろうとしたが、足が止まり、
「イサッチ、信じているからね。」
と、振り返りイサッチに念を押した。
イサッチは、小さく頷く程度で、声に出しては返事をしなかった。
僕はミウと一緒に家を出ると、試しに『あの路地』に行ってみた。しかしそこには『路地』は無く、見慣れた壁があるだけだった。
僕はその壁に手をあてながら、
「まだやることがあるって事か…」
と、小さく呟いた。
そんな僕の姿を見ていたミウは、
「ねえ!タロウ?今日は何処に連れて行ってくれるの?」
と、心配そうな僕を元気づけるかのように、笑いながら尋ねてきた。
僕は壁から手を離すと、
「そ~だな~、電車で少し遠くまで行ってみようか。」
するとミウは首を傾けながら、
「デンシャ?」
僕はミウの手を握ると、
「タクシーよりバスよりも大きくて、あっという間に遠くまで行ける乗り物なんだよ。
もちろん、タクシーやバスよりも早いんだ。」
するとミウは目を輝かせ、
「そ、そんな乗り物があるの?まるで『黒龍』みたい。」
「アハハハハ、『電車』は空を飛ばないけどね。
あ、空を飛ぶ乗り物もあるんだよ。黒龍よりも大きくて早いやつが。」
すると、ミウは驚き、
「え!?ウソ!?『黒龍』より大きくて早い乗り物が?」
「うん、『飛行機』って言うんだけど、いつかミウと一緒に乗りたいな。」
するとミウは、僕に体をすり寄せ、
「私もタロウと一緒に『ヒコウキ』に乗りたい!」
と、満面の笑顔で答えて来た。
そんな僕達の横を、『クラウン』のタクシーが通り過ぎて行った事を、僕はまったく気付いていなかった。
僕とミウが駅に着いた頃、イサッチと智恵葉はタクシーの中に居た。
イサッチは、タクシーで行く事は知っていたが、前と同じタクシーとは聞かされておらず、少しビックリした様子だった。
母さんが、あのタクシーに電話をし、家の近くまで迎えに来てもらったのだ。
運転手はタクシーを止めると、家まで走って来て玄関の呼び鈴を鳴らした。
すると、母さんがドアを開け、
「あら?わざわざ呼びに来てくれたの?ありがとう。
伊佐江さん、智恵葉、タクシーが来たわよ。」
と、振り向き2人を呼んだ。
すると、廊下の奥から、
「は~い、すぐに参ります~。」
と、イサッチの返事と共に、パタパタパタと足音が近づいて来た。
イサッチの後ろには、半分隠れるように、智恵葉もついて来ていた。
運転手はイサッチを見ると笑顔になり、
「本日はご利用頂きありがとうございます。お荷物があればお持ちいたします。」
と、丁寧にお辞儀をしながら言った。
するとイサッチは、運転手を見るなり、
「あら!あなた様は、この間の親切な運転手様。こちらこそよろしくお願いいたしますわ。」
と、イサッチも丁寧にお辞儀をした。
智恵葉もイサッチの後ろから顔を出し、恥ずかしそうに、
「よ、よろしくお願いいたします…」
と、小さな声で挨拶をした。
運転手は智恵葉にも、
「よろしくお願いいたします。」
と、丁寧に頭を下げた。
その光景を見ていた母さんは、
「ホラホラ、挨拶はもういいから、早く行きなさい。運転手さん、2人をよろしくね。」
と、2人の背中を押しながら送り出した。
「それでは行って参ります。」
「行ってきま~す。」
イサッチと智恵葉は、母さんに挨拶をすると、運転手の後に続き、タクシーに向かった。
「さてと、それじゃ私も…」
2人を送り出した母さんは、笑顔を浮かべながら、家の奥に入って行った。
タクシーの中では、運転手がイサッチに話しかけていた。
「今日は妹さんとお出かけですか?」
するとイサッチは、慌てて、
「い、いえいえ、妹じゃないんです。お友達の娘さんなんですよ。ほら、さっき玄関に居たセラさん。」
「ああ、そうなんですか、仲がよろしいから、てっきりご姉妹かと…」
気さくに喋りかけてくる運転手に智恵葉も緊張がほぐれたのか、運転手に喋りかけた。
「ねえ、運転手さん。この車って『クラウン』なんでしょ?」
すると運転手は、少し驚いた様子で、
「よく、知ってますね。車が好きなのかな?」
智恵葉は小さく首を振ると、
「ううん、お兄ちゃんに教えてもらったの。」
「お兄ちゃん?」
「うん、この間イサッチとお母さんが、このタクシーに乗った時に、1人だけ男がいたでしょ?」
運転手は少し考え、
「あ~、そういえば、白い髪の娘と一緒に居た…」
「そう!そいつ!あたしのお兄ちゃんなんだけど、そのお兄ちゃんが「クラウンのタクシーって珍しい」って言ってたから覚えてたの。」
「へ~、お兄さんは車に詳しいんだね。」
「さ~、どうだろう?」
智恵葉は首を傾けながら答えた。
すると運転手は、
「『クラウン』は『王冠』という意味なんですよ。
だから、このタクシーに乗ってる間だけでも、王様や王子、王女様になって頂きたくて。」
するとイサッチは『王子』という言葉に反応し、
「王子…」
と、小さく呟いた。
すると今度は運転手が、イサッチの声に反応し、
「どうかなされましたか?」
イサッチは、「ハッ」と顔を上げると、
「い、いえ、なんでも御座いませんわ。」
と、小さく頭を下げながら言った。すると智恵葉が、
「あ~、イサッチ、ラウクン王子の事、思い出していたんでしょ。」
イサッチはさらに頭を下げ、
「え、ええ…まあ…」
と、小さく答えた。
「ラウクン王子?」
運転手が尋ねると、智恵葉が、
「エヘン、こう見えてもイサッチは、『とある国』のお城のメイドさんなんだぞ。しかも王子のお世話係。」
と、なぜか智恵葉が威張りながら答えた。さらに、
「今は、お母さんに料理を教えてもらう為に一緒に住んでいるんだけど、もう少ししたらその国に帰るんだよ。」
それを聞いた瞬間、運転手はおもわずブレーキを踏んだ。
「ガコン!」
「キャッ!…」
イサッチと智恵葉は前のめりに体を揺さぶられた。
「し、失礼しました!」
運転手は、慌てて謝ると、ゆっくりとアクセルを踏み直した。
そして運転手は、先程の喋り方とは違い、少し声のトーンが落ち、
「あの失礼ですが、その『国』とはどこの国でしょうか?」
すると智恵葉は、
「あたしもよく知らないの。ねえ、イサッチ、どこの国?」
イサッチは少し考え、
「『ユーリセンチ』という国ですわ。この国に比べたら小さな国ですけど…」
すると運転手は、
「『ユーリセンチ』ですか…聞いたことない名前ですね…」
さらに運転手は、
「あ、あの、その国に帰られると、もうここには帰って来られないのですか?」
と、イサッチに聞いた。
「はい…そのつもりなんですけど…」
イサッチは元気なく、小さな声で答えた。
運転手は、そんなイサッチを見て、
「あの…もしかして『国』に帰りたくないとか?王子が乱暴だとか…」
イサッチは、すぐに頭を上げ、
「いえ!そんな事はありません!ラウクン王子はとてもお優しい御方でございます。今すぐにでもお会いしとう御座います。ただ…」
「ただ…?」
運転手が問いかけると、今度は智恵葉が、
「あのね、そのラウクン王子にソックリの人がデパートに居たんだって。
国に帰る前に、どうしてももう1度会いたいから、デパートに会いに行くの。」
と、運転手の気持ちをまったく理解していない智恵葉は、明るく答えた。
「そう…でしたか…」
運転手は、イサッチがもうすぐ居なくなるという事、さらに気になる男性に会いに行くということを知り、平静を装いながらも、その笑顔は曇っていた。
ちょうどその時、タクシーがデパートに到着した。
イサッチが料金を払い、運転手がお釣りを渡そうとした時、運転手がおもむろに、
「あの!もしよかったら、帰りも送らせてくれませんか!」
と、イサッチの手を取り聞いてきた。
「え!?」
イサッチは驚き、手を離そうとしたが、先に手を離したのは運転手のほうだった。
「す、すいません!つい…」
申し訳なさそうに謝る運転手にイサッチは、
「い、いえ…お気になさらないで下さい…
帰りの事でしたら、まだ決まっていないのですが…」
すると運転手は再び、
「もし、ご迷惑でなければ送らせてくれませんか?」
と、再度イサッチに尋ねた。
すると今度は智恵葉が、
「でも、待ってる間も料金ってかかるんでしょ?」
と、運転手に問い詰めた。
「いやいや、こちらからお願いをしていますから、もちろん料金は貰いません。」
運転手は智恵葉に向かって笑顔で答えた。
「でもいいの?土曜日の夕方って稼ぎ時じゃないの?」
と、智恵葉はどこで覚えたのか知らないが、タクシーの事情通みたいな事を言った。
すると運転手は笑いながら、
「アハハ、よく知ってるね。でも僕は土曜日は夕方には仕事を終える事にしてるんだ。ちょっと理由があってね。
だから、今日の仕事はこれで終わりなんだ。」
「え!?じゃあ、もしかして帰りはタダ?」
智恵葉は驚きながら尋ねた。
「あ!そうか!アハハ、そういう事になっちゃうよね。もちろん、プライベートだから、料金は取らないよ。」
すると智恵葉はイサッチに、
「ねえ、イサッチ。この国には『据え膳食わぬは武士の高楊枝』って『ことわざ』があってね。
カッコいい男性からのお誘いは断っちゃ失礼にあたるのよ。ね~お兄さん。」
「そんな『ことわざ』はない!」と、思った運転手だったが、イサッチと少しでも話をしたい運転手は、智恵葉の言葉に乗っかった。
運転手はイサッチに向かって、
「『カッコいい』かどうかは別として、『高楊枝』ですよ。」
運転手も自分が何を言ってるのかわからなくなっていた。
イサッチは2人の勢いに押され、
「はい…『タカヨウジ』ならしかたございません。ご迷惑でなければお願いいたします。」
と、丁寧に頭を下げた。
運転手と、智恵葉は、顔を見合せ、おもわずハイタッチをした。
運転手はイサッチと、智恵葉は運転手と一緒に居たかったのだか、2人の思惑は違えど、この時はお互いの利益が一致していたのであった。
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