労働

 就職について真面目に考え出したのは中学の二年生だったと思う。今の感覚で言うなら少し早いと思うのだが、自分はろくな高校にいけない、下手をすれば進学自体出来ないのではないかと危ぶんでいたからだ。思いつく限りの職業を調べ、適職診断(当時は教師だったが、この文章を書くために再度やってみたら芸術家であった。社会生活に向いていないと遠まわしに言われている)なるものに手を出したりもした。一頻り悩んだ後に、私は自分の中にふつふつとある思いが湧きあがっているのを確かに感じていた。

 働きたくないのである。どの職業も全くもって魅力を感じなかった。どころか、労働を人間に科せられた罰であるとすら思った。そしてそれは今も同じだ。私は出来ることなら一生働きたくない。許されるならば、今やっていることも全部投げ捨てて、本を読んで散歩をして暮らしたい。

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