青春の詩

 他人の生活の匂いがする玄関

 所々剥げた畳が

 新聞紙で補修されている

 斑なるタイルは青紫

 誰もいない

 誰もいない部屋に

 私と私たちと幾人か


 何処か行きませんか

 考えも無しに呟いた

 辞めるは容易く

 自然に戻るだけ

 黴臭い音が

 刺すような静寂が

 纏わりついて離れずに


 何人かの孤独が

 淀んだ一室で蠢いて

 昇華されずに今日もまた

 ひとりひとり飲み込むだけ

 時間だけが通りすぎて行く

 橙色に染まる街

 いつまでもひとり

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