第???話 新生魔王とありふれた朝の性撃


「ぬぅ、んん……」


 意識が覚醒へと近づき、新たな一日の始まりをぼんやりと感じ取る。

 窓から射し込む澄んだ陽光。

 小鳥たちの可愛らしいさえずりが、俺の起床を祝福しているかのように感じられる。


 うむ……じつにいい。魔王ジュノにふさわしい朝だ。

 目蓋を開けると、そこには見慣れた天井がある。

 愛すべき日常。魔界の家族たちと歩む日々が、今日も始まるのである。


 俺は左右の指先を動かし、


「乳が……揉みたい……。尻でもいい……」


 心に浮かんだ欲求を、素直につぶやいた。


 ハリがあり、たいへん敏感なスピカの乳と尻。

 あまりに巨大で、あまりに柔らかいアルテミスの乳と尻。

 そしてリリスの乳と尻は、未成熟ながらも儚げで趣深い手触りだ。


「ぬぅ……!」


 彼女たちの麗しき女体――。

 少し想像するだけで、股間にそびえるモーニング・ジャベリンがさらなる硬度を得た。


 ――バサリ。


 おっと。朝勃ち+本勃※……急激な※起運動が発生した勢いで、毛布が床に落ちてしまったではないか。


「ほほぅ。我ながら見事なり……ッ!」


 俺は剥き出しになった相棒を見つめ、毛布を拾うのも忘れて口もとを歪めた。

 黒光りした肉欲魔導砲はバキバキに張りつめ、極太の血管がドクンドクンとパワフルに脈打っている。


 そう。

 就寝時、俺は生まれたままの姿になっている。毛布のもふもふが素肌に触れる感触が気持ちいいからだ。


「くっ、しかし勃ち具合がよすぎるな……。早く放出せねば……」


 このまま放置していては、本当に破裂しかねない。


「スピカ。アルテミス。リリス。……誰か、早く起こしに来るのだ……」


 俺の起床を促し、そのまま朝勃ちを鎮めるのは、彼女たちの大切な日課の一つである。今日はどのような趣向を凝らしてくれるのか……ククク、楽しみだ。


 ――と、そのとき。


 カチャ――。

 ドアが静かに開かれた。


「ふふっ。ジュノったら、のんきに寝てるみたいね。アルテミス、行くわよ」

「はぁいスピカ様っ。あぁん! ジュノ様のお部屋の匂い……スンスンっ、たまりませんよぉ……!」

「こ、声が大きいわよ! ……ま、まあ、ジュノと、ジュノの部屋の匂いは私も好きだけど……スンスン」


 入ってきたのは二人の少女だ。俺は薄目を開け、その美貌に感じ入る。

 美しき金髪ロングの少女は、スピカ。

 艶やかな銀髪ロングの少女は、アルテミスである。


 ともに扇情的な寝間着に身を包み……そうだ、以前リリスが教えてくれた。

 あれはベビィドールなる寝間着だ。

 装飾が入ったレースの生地に、たっぷりのフリルがあしらわれた愛らしい衣装である。

 しかも生地が透けているため、彼女らの豊満な肉体が、より淫らに映えるのだ。


 やたらと丈が短いので、二人の下着は丸見えである。

 あぁ……二人とも、なんと卑猥な下着をつけているのだ。

 大切な部分だけをかろうじて覆い隠しているが、あとはほとんどヒモではないか!


「Zzzz……」


 ――俺は寝たふりをしながら、心の中で二人に拍手を送る。


 スピカたちは俺を愉しませるために、これまで色々な衣装を着てくれた。

 以前はトップレスだったり、バスタオル姿だったり、男物のシャツ一枚だったり、メイドの衣装を身につけていたり……。そんな心遣いには、胸と股間がムラムラと熱くなるばかりだ。


 スピカたちのヒソヒソ話は続く――かに思えたが、


「さあアルテミス、静かに戸を閉めて? いい? 静かによ? そうしないとジュノが起きちゃ……」


 一瞬、息を呑む音が聞こえ、



「ひぁあああぁぁあぁぁぁぁあああぁぁああぁぁぁっっっっ!!!!!!」



 スピカが思いっきり悲鳴を上げた。

 それこそ、マカイノ村の全住民を叩き起こさんばかりの声量で。


「な、なななななんなのよ、あの大きさ! い、いつもより……おっきぃぃ……!!」

「ちょっとスピカ様!? わたくしには『静かに』と言っておきながら、ご自分は……あらあらぁ! あらあらまぁまぁ!!」


 見なくてもわかる。

 スピカとアルテミスは、俺の股間の膨張ぶりを視界に入れてしまったのである。

 なにしろ今朝は、普段よりもかなり勃※度数がアップしている。スピカの悲鳴も無理からぬことだ。


 顔を真っ赤にして恥じらうスピカ。

 両手で頬を挟み、肉欲たっぷりの笑みを浮かべるアルテミス。

 見なくてもわかる。

 見なくてもわかるが……彼女たちの反応に、俺の口もとは緩まざるを得ない。少女が勃※した※※※を見つめたとき、物語は始まるのだ。


 だが、今は我慢。


「Zzzzz…………」


 ここは寝たふりを断行する場面である。

 いや、今のスピカの悲鳴を聞いて、まだ寝ているなどあり得ぬだろうに……とは自分でも思うが、そんな指摘は無粋というもの。

 朝勃ちいじくりプレイ……いや、朝勃ち鎮めの儀式――朝鎮股(あさちんこ)の儀においては、こうした双方の配慮が肝要なのだ。


「……コ、コホン。さ、さあアルテミス、ジュノを起こすわよ」

「……ん、んんっ。お身体の一部は大いに起きてしまっていますが……そうしましょう。ひ、ひとまず当初の予定どおりに……」


 幾分わざとらしいが、スピカとアルテミスもプレイ……いや、儀式の妙を理解できてきたようだ。

 ともに咳払いで場を仕切り直し、


「そ、そうよ。今日もまずは観察からだったわね。すー……はー……。……いいわ。心の準備はばっちりよ」

「わ、わたくしは見慣れてきましたよ? ジュノ様の魔性のお珍棒……しっかり観察いたしましょう!」


 スピカの気配がベッドの左側へ。

 アルテミスの気配が右側に移動する。


「Zzzz……」


 あぁ……感じる。感じるぞ! スピカとアルテミスのねっとりとした視線が、股間を守護するロード・オブ・エロスに注がれている……ッッ!

 背筋が震え、腰が痺れ、ますます下半身に血液が集まっていく。


「ひっ、また大きくなったわ!?」

「あぁんっ、あぁんっ……! どうしてでしょう、ジュノ様のジュニア様……見つめているだけで、お腹の奥が熱くなってしまいますよぉ……」

「うぅっ……本当に不思議よね。どうしてこんなにえっちなカタチをしてるのかしら。私も、お腹の奥……きゅんきゅんしてきちゃう……」

「Zzzz……」


 寝たふりを続ける俺だが、心の中は嬉しさでいっぱいだ。

 あの清楚なスピカが、あの艶美なアルテミスが、俺の股間を見つめることで性欲をたぎらせている――。これが幸福でなくて、一体なにが幸福だというのだろう!


 すると、ついに我慢できなくなったのか、


「アルテミス、始めましょうよ。私、もぅ……」


 荒くなった吐息とともに、スピカがつぶやいた。さすがは【性欲】八八〇である。


「んふふっ、それでは……」


 果たして何が始まるのか――。期待に胸を膨らませていると、


「よいしょ……」


 スピカがベッドに上がり、俺の隣に寝っ転がった。

 ふにゅん――。

 左の脇腹に、彼女のたわわな膨らみが乗っかってきた!

 添い寝にしてはスピカの位置が下すぎる気もするが……はてさて。


「では、わたくしも……っと」


 今度はアルテミスがベッドに上がった。

 たっぷぅん――。

 今度は右の脇腹に、大満足の質量がのしかかってくる!


 ハリと感度のスピカ。

 サイズと柔らかさのアルテミス。

 二種の乳※がもたらす悦楽の重量感を堪能していると、今度は股間にひんやりとした何かが触れた。

 ほほぅ、これは……。


 細く、しなやかな、彼女たちの指である。

 なるほど。二人で乳※を擦りつけながら、太く熱き肉大砲をしごき倒し、白き祝砲を促そうというわけか。

 ――よかろう。やってみるがよい!


「ごくり……」


 期待に胸を膨らませ、そっと生唾を飲み込んだときだ。


「ねぇアルテミス。ジュノがびゅ~って出す勢いって、いつもすごいと思わない? せっかくだし、今日は天井まで届くかどうかチャレンジしてみましょうよ」


 スピカが妙なことを言い出した。

 ククク、まあいい。さすがにアルテミスが止めるだろう――俺はそう思った。


 が。


「たしかに興味深いですね。朝のホカホカ一番しぼりですし、きっと王宮の噴水のごとき荘厳な光景になるでしょう!」


 なぜお前も乗り気なのだ!?


 ……ま、まあいい。いいことにしよう。魔族の王たる者として、このチャレンジを受け入れるくらいの度量は持ち合わせていなければ!


「じゃ、始めるわよ? せーのっ! んっ、んんっ……」

「はぁい。お射々(ぴゅっぴゅ)チャレンジ、スタートですっ。んっ、んっ、んっ……」


 スピカとアルテミスの手が、ついに淫らな上下運動を開始した


「ぅぐっ……」


 二人の指が性の若竹に絡みつき、焦らすように緩慢な性撃を展開させる。すぐに快感が下腹部を襲い、意図せず喉が鳴ってしまった。


「それっ、それっ……。ふふっ。ジュノったら、気持ちよさそうな声出しちゃって」

「んっ、んっ……。ジュノ様には最高のお目覚めを体験していただかないと。ほぉら、シコシコ、シコシコ……」


 二人の手が、膨張した肉欲武装を心地よく圧迫する。

 圧迫したまま上下に動かす。

 その動きは徐々に加速し、彼女たちの手のひらも熱を帯び始めた。


「はあっ、ぐぅっ……」


 すぐさま悦楽の波動が訪れ、俺の腰が小さく跳ねる。繰り返し擦るだけで、なにゆえこれほど気持ちいいのか――。人間族の肉体はつくづく興味深い。

 竿はもちろん、腰のあたりが程よく熱を帯び、快楽のしびれがじわぁ~っと染み出るように広がっていく。


 ――いかん! まだだ。まだ早すぎる。

 魔族の王として、この早さはいかがなものか。


「うぐぐ……」


 俺は奥歯を噛みしめた。込み上げてくる射※感を食い止めるのだ。

 だが、スピカたちの性撃は勢いを増すばかり。


「さぁアルテミス、こっちも使いましょう」

「えぇ、それでは……」

「――ッ!?」


 ずっ、ずっ、ずっ……。


 左右の脇腹に乗っていた豊満な質感が、前後に動き始めた。

 スピカとアルテミスが、豊かに実った柔らかき果実を、同時に擦りつけてきたのだ!


 ベビィドールのサラサラとした感触。

 その奥に待ち構える、温かく、柔らかく、幸福そのものと言っても過言ではない乳※たちの感触。

 そのうち、ほのかにコリコリとした感触がそこに混じってくる――。

 間違いない。

 スピカとアルテミスの※※が、淫らな産声を上げたのである。


「んんっ、あぁぁ……ちくび……こすれるぅぅ……」

「はぁんっ、あぁん……! わたくしの密やかなる乳※も、ジュノ様の脇腹にゴシゴシしたら……お、お外に出てきてしまいましたよぉぉ……!」


 スピカたちの吐息が熱くなる。

 スベスベの柔肌にうっすらと汗が滲み、いやらしい湿気が室内を満たしていく。


「はぁ、はぁ……んんっ。胸と手で同時にするの、ちょっと難しいわね」

「んっ、んっ、んんっ……。スピカ様はまだまだですね。こうですよ、こうっ」

「うわっ、上手……。わ、私だって!」


 たぷんっ、たゆんっ、シコシコ、ぽよんっ……。

 勢いを増していく、二人がかりの性奉仕。

 スピカたちの体温はさらに上昇し、俺の肌に官能の熱を伝えてくる。


 股間のしびれも急上昇だ。

 脇腹を這い回るたわわな刺激が、くすぐったくも幸せである。

 しかし――まだだ。我慢するのだ。

 魔王の威信にかけて、朝から早漏を晒すわけにはいかぬ!


「それっ、それっ、んんっ……なかなか出ないわね。こうなったら……」

「ふふふっ。スピカ様、アレをやるのですね?」

「そうよ。さあ、アルテミスも……!」

「ええっ。それではっ!」


『せーのっ!』


 二人の声が重なり合い――。


「ぬをぉぉ……!?」


 そして襲来した新たなる刺激に、俺はとうとう寝たフリを続けられなくなってしまった。

 ひん剥くように目を開き、状況を確認する。


「ちゅぱ、ちゅぷ……ちゅぽんっ。あっ、起きたわね。ジュノ、おはよ……んちゅっ、はむっ、れろぉ……ちゅぱっ」

「ぢゅぶぶっ……ちゅぽんっ。あぁんジュノ様、おはようございます。ささ、ここはわたくしたちに任せて、ゆっくりモーニングシコシコをご堪能ください。はむぅ……ぢゅるるっ、ぢゅぽっ、ぢゅぽ……!」


 左右の乳※を包み込む、温かくてにゅるにゅるとした刺激と快感。


 なんとスピカとアルテミスは、俺の※首にむしゃぶりついてきたのだ!


「うぐっ……はぁぁ!」

「はむっ、んむぅっ……ちゅぷっ、ちゅる……ちゅぽんっ。ふふっ、ジュノ……切なそうな顔してる……」

「ぢゅるるるっ……んぢゅっ、ぢゅぷぷっ……ちゅぽんっ。あぁぁ! ジュノ様の快楽顔、たまりません! さぁ、天井まで届く白濁噴水……見せてくださいっ」


 スピカの小さな舌が先端をくすぐる。

 アルテミスの長い舌が※※をなぞる。


 その間にも、二人の手は上下に忙しなく動いているのだ。

 それに加えて、俺の脇腹にたっぷりとした肉の房を擦りつけている。

 手、乳、口。

 それらをフルに使った性技を、二人がかりでぶつけてくるとは――小癪な!


「ふぬぅっ……あぁぁっ!」


 小癪は小癪だが、気持ちいいものは気持ちいい。


 弾んだ呼吸を抑えつつ、


「スピカ、アルテミス……素晴らしい奉仕だ。淫らなベビィドールも相まって、大満足の起床が果たせそうだぞ……!!」



 ――二人とも、綺麗だ……。



 あまりの快楽に心を溶かされたせいか、思わず本心が飛び出てしまった。


 そう告げた瞬間、スピカたちの頬が赤々と色づく。


「――ッッ! き、今日はずいぶん素直なのね。い、いいわ。お礼に最後まで、一気にしちゃうんだから!」

「はぁん! ジュノ様に綺麗と言われてしまいました! これはもう結婚です、結婚! 愛のあったかミルクシャワーで、わたくしとジュノ様の門出を祝いましょう!」

「ちょっとアルテミス、抜け駆け禁止なんだから! はむっ、じゅぷっ、れろれろれろれろぉ……!」

「あぁっ、すごいペロペロっぷり……。ぬ、抜け駆け禁止はこっちのセリフですよ! 自分の舌技だけで発射させようなんて! はむっ……んぢゅるる、ぢゅぽっ、ぐぷっ!」


 二人はまたもや俺の乳※に顔を埋めてきた。

 そのしゃぶり具合たるや、先ほどとは比べ物にならない勢いだ。舐め回し! こね回し! くすぐり倒してくる!


「ちゅぷっ、れろろぉっ……。ジュノったら、乳※、きれいなんだから……。それにだんだんコリコリしてきて……私たちとおんなじねっ!」

「んんっ~! キレイで美味しくていやらしくてコリコリなんて、最高の勃※乳※です! ジュノ様は、※首も魔王様ですよぉっ!」

「わ、わけのわからぬことを……! ふぬぅっ……しかし、これは……!」


 左右の乳※にスピカたちの唾液が躍り、淫らな水音が室内に響く。

 そこに重なるのは、ギシギシ軋むベッドの音だ。


 とうとう俺の暗黒黄金球が、ググッと上に昇ってきた。

 肉欲攻城兵器がはち切れんばかりに膨れ上がり、甘美なる腰のしびれが脳天へと駆け上がっていく――!


「わっ、ビクビク震えてる! さ、さぁジュノ、出しちゃいなさい。私、ずーっと見ててあげるから!」

「わたくしも見ています! 白く濁った悦楽の噴水――さぁ、さぁ、さぁ!」


 二人の手が加速する。

 白濁※を搾り取るかのように上下の動きが激しくなったが、しかし※精感が限界に達した今、その乱暴な刺激はむしろ正解!


「うぐぅっ、をぉぉ……さ、さあ、しかと瞳に焼きつけるがよい! 我が渾身の、邪悪なる白濁噴水を……!」


 ――できる。

 ――今なら届く。

 この放出によって、部屋の天井は必ずや白濁色に染まるであろう……!!


 俺が叫ぶと、スピカたちは乳※への刺激を止め、我が下半身へと顔を向けた。

 白き暴発の瞬間を、特等席で見届けようというのである。


 そして。

 我慢は、限界に達した――。



「いっただっきま~す! ぱくんっ♪」



 ぶびゅるるるっ! びゅくんっ! どびゅるるるるるぅぅ……っっ!!



「「「!?!?」」」


 なにが――起こった……?


 決意の一撃を放つ寸前、なにかこう……にゅるんとした温かいものに亀※が包み込まれたのだ。


 直後に響くのは、


「「あああーっ!!」」


 という、スピカとアルテミスの悲鳴である。二人は何を見たというのだ!?

 俺が半身を起こすと、そこには――。


「リリス!? そこで何をしているのだ!?」


 なんと。

 俺の秘書を務める堕天使の少女・リリスが、モーニング・ショットによって震えを帯びた俺の秘所に、パクッと食いついていたのだ。


 小さく、なだらかな未成熟ボディ。

 ピンクのツインテールに漆黒の光輪。

 扇情的な黒革の衣装に身を包んでいるものの、小さなリリスが血管の浮いた※※※をくわえ込んでいる光景には、底なしの背徳感が喚起される。


「……ちゅぽん! くちゅくちゅ……くちゅくちゅ……んん~♪」


 尿道に残った分まできっちり吸い取ると、リリスは亀※から口を離した。

 頬に手を当て、俺の白濁魔王汁を口の中でくちゅくちゅと転がしている。なんとも幸せそうな顔だ。


「……ごっくん。ぷはぁ~! 魔王様の一番しぼりを天井に飲ませちゃうなんてとんでもない! 朝の白濁セレモニーは、喉の奥に大量に当たるときの『びゅるるっ』っていう感触を楽しむのがツウなんですよ! その証拠に、喉の奥にびゅるるっとキた瞬間、リリス……フツーにイッちゃいましたもんっ♪」


 リリスの熱弁に、スピカたちが「うぅっ」とうなる。


「……さ、さすがリリスね。喉の奥に当たる感触を楽しむっていう発想はなかったわ」

「くっ……今日はわたくしたちの負けのようですね。リリス様、たしかにツウの楽しみ方を熟知しています……!」


 この場合のツウとは一体……。


 三つどもえの取っ組み合いが始まるかと思いきや、意外な形で話がまとまってしまった。リリスめ、さすがは俺の秘書である。


「魔王様、おはようございます。喉の奥にネットリ絡む、一番しぼりのあったか濃厚とろとろミルク、堪能させていただきました。お腹の中が幸せいっぱいですよ♪」


 愛おしそうにお腹をさすり、ペコリと頭を下げるリリス。

 俺は圧倒されつつ、小さく咳払いを交えた。


「お、おはようリリス。存分に官能を刺激された、良き目覚めだ。スピカとアルテミスにも礼を言おう」


 俺の言葉に、うなだれていた二人が顔を上げる。


「落ち込むことはない。最後はリリスが持って行ったが、手、口、乳※を駆使した波状性撃は見事だったぞ。スピカ、アルテミス。今後も性なる探求に励むのだ」


 左右の手で、二人の頭を同時になでた。


「んっ……。ま、まあ、ジュノが気持ちよかったなら……いいけど」

「はぁぁ~ジュノ様のナデナデ……。わたくし、今にも達してしまいそうです……!」


 恥ずかしそうに目を背け、そっと頬をかくスピカ。

 アルテミスはその場で身体をくねらせている。


「ふふっ♪ 皆さん、たいへんえっちで素晴らしいですよっ♪」


 そんな様子を見つめながら、リリスは口もとに微笑を描く。満たされたような、安らいだような表情だ。


 そんな魔界の家族たちに、俺も小さな笑みを浮かべる。

 きっとリリスも同じようなことを考えているだろう。


 俺は――この時間が好きなのだ。

 スピカ。アルテミス。リリス。

 麗しき仲間たちと過ごす、ありふれた朝の一コマ。

 この安寧を、これから先も守ってゆくために――。

 リリアヘイム魔界化計画を、さらに精力的に推し進めていかなくては。

 壮大な決意を胸に抱いたものの……。



 ぐぐぅぅぅ~~!



 俺の腹が、食事はまだかと騒ぎ始めた。


「むぐっ……!」


 慌てて腹を押さえるが、時すでに遅し。目の前にはスピカ、アルテミス、そしてリリスのニヤニヤ顔が並んでいた。


「ふふっ、くくくっ……! ジュノったら、お腹の音……かわいいのね!」

「あぁんジュノ様かわいいですっ! もう一回! もう一回かわいい音、聞かせてくださいよぉ~!」

「そんな魔王様もステキですよっ♪ さぁさぁ、朝ごはんを食べに行きましょ~!」


 俺は顔を熱くしながら、


「お、お前たち! 今のは忘れるのだ! 俺は魔王、魔王ジュノなり! 魔王は腹の虫など鳴らさぬのだ!!」


 俺の言葉に、キャハハハッと華やかな笑い声が返ってくる。

 ……まあよい。少女たちの笑顔の前には、魔王のメンツなど無力である。


「ほらジュノ、早く服を着て。一緒にごはんへ行きましょう!」

「あぁん、わたくしは全裸のままでもいいと思いますよぉ?」

「全裸はいけませんっ! メイドたちがコーフンして仕事にならなくなっちゃいますって! さぁ魔王様、リリスセレクトのオシャンな普段着に着替えてくださいっ♪」


 リリスが持ってきたオシャン(?)な服を身にまとい、俺は三人の少女とともに食堂へと向かってゆく。


 さて、今日のメニューは何だろう。

 今日はどんな一日になるのだろう。



 魔王ジュノの朝は、こうして幕を開けるのだ――。

 

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