第95話最終決戦の始まり
《先に行け》
僕たちは無事天空都市内部にはいれた。だが、問題はその後だった。
なぜなら、雷の防壁を押しとおるときに大きな爆発音が出てしまったからだ。それを聞きつけた
「フェルト、さすがにこの数を相手にしていたら体力も持たないし、時間もかかっちまうぞ。それに、失敗作がこんなにもたくさんいたら塔までたどり着くのはまず不可能だ」
エルが周りの状況を見てそう判断する。確かに、エルの言った通り失敗作は周りにざっと1000体以上いてこちらを警戒しつつも包囲している。しかも、少しずつ僕達との間合いを詰めてきている。
「だったら、僕とハイドにここは任せて」
そう言ったのはジルだった。
「フェルトくん、あんま心配しなくていいよ。要はフェルトくん達が塔に行けるようにすることと、塔についたあと失敗作を塔の中に入れなければいいんでしょ? だったら、僕とハイドでもギリギリ大丈夫だから」
ジルはそう言って笑う。だけど、僕にはここにジルとハイドを置いて行くという選択肢は選びたくなかった。ここにジルとハイドを置いて行ったら何か良くないことが起こると感じたからだ。
僕が迷っているうちにも失敗作達は間合いを詰めてくる。
「グァァゥ」
包囲していた失敗作の一体が襲ってくる。
ジルはそれを剣を生成し斬りふせる。そして、
「フェルト! もう時間がないんだ、早く行け。この戦いの勝敗でこの世界の人間が生きられるかどうかが決まるんだぞ!」
いつもおしとやかだったジルが、今初めて僕に対して怒りをあらわにする。
「わ、わかった。ここは頼んだよ。ジル、ハイド、絶対死ぬなよ」
僕がそういうとジルは。
「当たり前だ。早く行け。道は僕達が切り開くから」
ジルはそう言って剣を大量に生成し、剣を飛ばし失敗作を殺したり、剣で両断したりしながら塔までの道を切り開いてくれる。
ハイドもジルが生成した剣を使い斬り伏せ、地面を操作して失敗作を吹き飛ばしたりする。
「フェルト、絶対ぶっ飛ばしてこいよ」
僕はジルに初めてくんづけなしで呼ばれたことで口元が緩む。
「ああ、任せろ!」
僕達はジルとハイドが道を切り開いてくれたことにより、ほとんど体力を消費せずに塔に着くことができた。
《別行動》
塔の中に着くと地下組と最上階組それぞれ2つに分かれることにした。
「じゃあスズ、ライ、スイとはここでひとまずお別れだね」
僕がそういうとスズが。
「そうですね・・・・。ここまで連れてきてくださりありがとうございました。ここまできたからには私たちの目的を果たします」
「うん、頑張って。そして、みんなで帰ろう」
僕はスズと握手をして、上に行く階段を使い上へ向かう。スズ達は逆に下へと続く階段を下りて行く。
僕達が階段を登り続けて4分が経過した。
4分かん上に上がり続けてようやくひらけた場所に出る。
「やっと来ましたか」
そこには黒いマントを羽織ったヤミがいた。
「お、お前は!」
ユメミがヤミを見た瞬間ヤミに斬りかかる。
「いきなりですね」
ヤミがそう言った直後、ユメミの前に黒いゲートが現れる。そして、ユメミがその中に入ると、ユメミが元いたいちに違うゲートが現れそこからユメミが出てくる。
「ユメミ、一旦落ち着け。冷静さなしで勝てるほどあいつは弱くない」
僕は刀を握って再度切りかかろうとするユメミの襟元を掴んで静止する。
「でも、あいつ、私が村に帰った時に
ユメミは殺気立った目でヤミを睨んでいる。
「まさか、あの村の生き残りですか? 困りましたね、あの村の人間は全員始末しろと言われていたのですが・・・・・・。じゃあこうしましょうか、あなただけで僕と戦えば、フェルト達は奥へ行かせてあげます。それに、私が受けた命令では手に負えない人数だったら先に行かせて良いとのことでしたので」
ヤミはそう言ってちょうど奥にある階段が見えるよう横にずれる。
「私は一度言ったことは破りません。ですので選択をどうぞ」
「行って。私があなた達と行動を共にしてた目的は果たせたから」
ユメミはそう言って一歩前に出て刀を構える。もうすでに冷静さを取り戻しているようだ。
「わかった。じゃあ、先に行かせてもらうね」
僕は奥の階段を目指し走る。それに、ムイとエルが僕の後に続く。
そしてまた階段を駆け上がること数分。
「お、来た来た。待ちくたびれたぜ・・・まぁ、そのぶん楽しませてくれよ」
そこには楽しそうな表情をしたバウがいた。
「フェルトって言ったかぁ。お前だけはこの奥でルトバー様が待っている。早く行け。それ以外は相手していいって言われてるからここに残れ」
僕は迷う。
ここでこいつの相手をすると体力を消費と時間を消費してしまう。だが、ムイとエルだけではこいつに勝つのは厳しいだろう。
「早く行け」
エルがそう言う。
「早く行ってください。じゃないと吹き飛ばしますよ」
ムイまでも僕に行けと言う。
「で、でも。ムイとエルだけじゃあ・・・」
「それはなんだ? 俺たちの力を信じてないってことか?」
「・・・・・わかった」
僕は奥にある扉に向かって走る。
「死ぬなよ」
「お前もな」
そして、僕は扉を開ける。
「よぉ、久しぶりだな。会いたかったぜフェルト」
「ああそうだな。僕も会いたかったよ。お前を殺すためにな!」
僕は刀を腰から抜き、構える。
「さて、地上の人類が滅びるまでの間楽しませてくれよ」
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