第55話龍人
《2体の龍》
僕たちは流氷山にある大きな城みたいなところの門の前にいる。
「よし、門を突き破るか!」
僕は右手を門に向けて炎を右手から放つ。
『ドゴォォン』
大きな爆発音とともに門が破壊されて・・・・・破壊されてない?!
「え、なんで破壊されてないの!?」
僕は驚きで目を丸くする。
「お主ら、ここがどこかわかっていて攻撃したのであろうな!」
「そうであれば、早々に立ち去るか、命を我らに捧げるがいい」
僕たちが乗っている馬車の前に二人の・・・・龍? が現れる。
「もしかして、龍人?」
一番早く反応したのはスズだった。
「「え、その声ってスズ姉?」」
龍人の二人はスズの顔を見た瞬間、驚いているような声をだしてスズの名前を呼んだ。
「え、もしかして。ライとスイ?」
どうやらスズにも龍人のふたりに心当たりがあるようだ。
「「やっぱりスズ姉だ!」」
龍人の二人はスズに向かって走り出す。
「えーと、その二人はいったい何者?」
僕は状況が理解できずにスズに聞く。
「我の名前はライ。雷を操る龍人だ!」
「我の名前はスイ。天候を操る龍人だ」
龍人の二人は自分の名前、自分の能力を言うが。はっきり言って、立っている位置が変わるだけでどっちがどっちなのかわからなくなる。なぜなら、二人の顔立ち、体格、しゃべり方、声のトーン、髪の色はすべて瓜二つであるからだ。
「「どうしたのだ?」」
どうやら喋るタイミングまで一緒のようだ。
「そういえば、なんでライとスイはこんなところにいるの?」
スズは僕が聞こうとしたことを先に聞いてくれる。
「我らはこの城を守れと命令されておってな」
「だから、ここで壁を壊そうとする愚か者どもを排除しておるのだ」
龍人の二人はそういう。
「そういえば、我らも知りたいのだが、なぜスズ姉の仲間が城の門を破壊しようとしていたのだ?」
多分ライの方だろう。ライは不思議そうに聞いてくる。
「僕たちはキラーズの拠点の一つを潰しにきたの、この戦いに終止符を打つために」
僕がそう言うと龍人の二人はさっきまでとは違う、人を殺すときの顔になり後ろへと距離を取る。
「へぇー、この殺気に気づくんだ」
僕は少し挑発気味にそう言う。
「あやつのためにも我ら二人が頑張らねばならないからな」
「だから敵対すると言うのならばスズ姉の仲間でも容赦はせんぞ!」
龍人の二人はそう言って、構える。
「ちょっと、待って。なんで戦うみたいになってるの?!」
アクアが今の状況を見てそう言う。
「何言ってるの? 元から、この城を壊すつもりできたのに邪魔するから少し寝てもらうだけだよ」
僕は目線は龍人二人から離さずに応える。
「我らを殺さず、眠らせると言うか」
「面白い、やれるものならやってみろ!」
龍人の二人がそう言った瞬間、二人は真っ赤な光に包まれる。
「「我らをなめるなよ」」
龍人二人は大人の人間と同じぐらいの身長の赤い龍になっていた。
「そちらも本気か」
僕は刀を腰から引き抜き、龍人二人に向ける。
「じゃあ、いくよ」
僕は龍人二人に向かって走り出す。龍人二人もこちらに反撃しようとこちらに向かって走る。
「
地面から水の鎖が出てきて龍人二人と僕を拘束する。
「どうして止める?」
僕はこの状態が誰の仕業か予想がつくため、後ろは向かず言う。
「戦うのは少し待ってください」
「なぜ?」
当然であろう、あの龍人二人は僕たちの邪魔をすると言っていたのだ。だったら、倒して前に進むしかないだろう。
「・・・・・それは、ライたちが喋ったことが気になりまして」
スズは多分、僕が出している殺気にビビっているのだろう。少ししてからスズから言葉が返ってきた。
「わかった、でも、龍人二人の拘束は解かないでね」
僕はそう言って、スズに拘束を解いてもらい、刀を腰に戻した。
「さっき、ライたちは『あやつ』って言ってたけど。エトちゃんに何かあったの?」
スズは早速、龍人二人に聞いている。だが。
「裏切り者に話すことは無い!」
多分ライの方が喋った。
「わかった、エトちゃんに何かあったんだね」
スズはものすごいわかりやすいライの顔を見て確信する。
「一つ聞いていいか?」
僕はさっきからちょくちょく出てくるエトという名前の人物について聞こうとすると。
「エトちゃんのことですか?」
スズはそれを察したように僕がいうよりも先にその話題を出してくれる。
「ああ」
僕はそれだけ応える。
「エトちゃんは、ライとスイの妹です。私がキラーズの研究所にいた時は三人でいつも遊んでいたんですけど。今ここにいなかったのでそれが疑問に残っていまして」
スズは説明する。
「そうか。・・・・・エトとかいうお前らの妹が人質に取られてるとかそんなんだろ?」
僕はキラーズがしそうなことを考えて、龍人二人に聞く。
「・・・・・なぜわかった」
やはりライは素直らしい。
「確認を取るけど、お前らはエトが囚われてるから僕たちの邪魔をしているのか?」
僕はライとスイに聞く。
「「そうだ」」
今度はライだけではなくスイも応える。
「じゃあ、そいつを助けてやると言ったらここを退いてくれるか?」
僕がこう言うのを予測していなかったのか、龍人二人は目を見開いて驚く。
「本当に、本当に助けてくれるのか?!」
スイが言う。
「お前らが退いてくれるならな」
僕は静かに返す。
「それなら、よろしく、頼む」
今度はライがそう言って頭だけを下に下げる。それに続いてスイも頭を下げる。
「じゃあ、スズが拘束を解いたら地面に倒れてくれ。そして、気絶したふりをしてくれ」
いきなりエルが会話に参加してきたと思いきや、そんなことを言う。
「「なぜだ?」」
龍人二人は首をかしげる。
「この状況をどこからか見てる奴がいるから。僕たちに不思議な能力者がいると思い込ませるためにね」
エルがものすごい悪い悪魔のような顔をして笑う。
「「わかった」」
龍人二人は少しひきながらそう言った。
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