第21話それぞれの戦い



 僕たちは今、研究所の中央を越したらへんにいた。


「フェルトさん、僕は、研究体の牢屋にに言って来ます。ですから、フェルトさんたちは、このまままっすぐ行ってください」

「大丈夫なのか?」

「ここまでこれば、平気です」

「そうか、じゃあ行って来い」

「救出次第、そちらに向かいますから」

「無理してこなくていいからな」

「わかりました」


 僕たちと、ジルは、別行動をとる。


 ジルと別行動をとった頃。


「フェルト、前に見えるの、あれ、研究員じゃない?」


 そこには、白衣に身を包んだ人がたくさんいた。


「そうかもな、まぁ、殺すだけだ」


 僕とアクアは、突っ込んで行く。


「「「ファイヤ」」」

「「「ウォーター」」」

「「「シャイン」」」


 ありと、あらゆる能力が放たれる。


「アクア、氷の壁を作ってくれ」

「わかった。氷のアイスウォール


 僕とアクアの前に動く氷の壁が現れる。


「これだけじゃあ、あの量の技は防げないわよ」

「わかってるって。だからこうするの。アディション、炎のファイヤーウォール


 アクアが出した氷の壁に、炎の壁が追加される。


「それじゃあ、氷が溶けちゃうわよ」

「溶けないように、してあるよ」


 氷と炎の壁にたくさんの、攻撃が当たる。

 全てを防ぎきったぐらいに、ちょうど、壁も壊れた。


「じゃあ、アクア、後ろに隠れてて」


 アクアは後ろに隠れる。


「焼け死ね。煉獄ファイヤーフィールド


 僕が、炎を出せる範囲にいた研究員たちは、燃え盛る炎に焼かれた。


「これで、半数ぐらいは殺せたかな」

「じゃあ、残りは任せて。氷塊アイスブロック


 残りの研究員の頭上に、大きな氷の塊が一個できる。


「潰れろ!」


 氷の塊が残りの研究員を一気に潰す。


「うわぁー、結構酷いことするね」

「フェルトが言っても、何の説得力もないね」

「うぅう」


 何も言い返せない。


「じゃあ、先に進もう!」

「そうだな」


 パシュッ。


「あれ」

「どうしたの、アクア?」

「今なんか刺さった気がするけど、気のせいかも」

「そう、ならさきに進もう」

「そうだね」


 僕と、アクアは先に進む。



ホワイトタイガー


 フェルトさんたちが、進んでから二分ぐらいがたっただろうか。


「エルさん、エルさんって攻撃系の技って使えましたっけ?」

「敵によるね。相手に知能があったら、結構効くし、知能がなかったら、少しだけ、動きを止めることぐらいしかできない」

「そうですか、じゃあこの敵には、全く役立たずな能力ということですね」

「結構、きついよその言い方」

「す、すいません」


 巨体のキメラが動きだす。


「エルさん、次が来ます」

「わかった」


 私とエルさんは、攻撃に備える。

 だが、巨体のキメラは攻撃をしてこなかった。

 その代わりに、大きな扉を生成した。


「エルさん、何ですか、あれは」

「わからないけど、なんか嫌な予感はする」


 嫌な予感が的中した。

 扉が開いた瞬間、扉の中から、ものすごい量のキメラが出て来たのだ。


「何ですか、あの量は?」

「この、量を、相手にしながら、巨体の攻撃を防ぐなんてほぼ、無理だぞ」


 確かに、無理だ。

 だけど、ここで諦めたら、私たちの死を意味することになる。

 もうすでに、周りはキメラに囲まれている。

 何か、考えないと、ここで死んじゃう。

 考えなきゃ。


「ムイちゃん、僕が時間を稼ぐから、その間に、何か策を練ってくれる?

 僕の能力じゃあ、こいつを倒せないからね。本当はあんまり戦って欲しくなかったんだけど、君の力が必要なんだ。だから、力を貸してくれる?」

「わ、私でよければ。それに、私も、まだ死にたくないですし」


 これは、本心だ。でも、役に立ちたいと思っても、何もできない。

 こんなことを考えている間にも、エルさんは、キメラと戦っている。・・・しっかりしろ私、こんなことを考えている暇があったら、何か打開策を考えなきゃ。


「エルさん、もう少しだけ時間を稼いでください」

「何か、打開策が見つかったの?」

「成功するかは、わかりませんが」

「じゃあ、それにかける」

「ありがとうございます」


 白虎を私の周りに集める。

 私がやろうとしていることは、アクアお姉ちゃんがやったみたいに、自分の能力を纏うことだ。

 私は、白虎を体に纏うイメージを想像する。

 想像していくうちに、3体のうち1体の白虎が光となって、私の足を覆う。

 だが、もう少しでできそう。そんな時。


「ぐあぁぁ」


 エルさんが、巨体のキメラに吹き飛ばされて壁にめり込んでいた。


「エルさん、大丈夫ですか!?」

「僕の骨は頑丈だから背骨は折れてないけど、・・防御に使った両腕の骨は、多分結構折れた。ムイちゃん、ごめん、これ以上時間を稼げそうにない」

「わかりました」


 残りの白虎2体が私を包み込む。

 だが、そんな時でもキメラの襲撃は止まらない。

 キメラの攻撃が私に当たる寸前。


「白きホワイトタイガー


 私は、キメラを蹴り飛ばす。

 キメラは、宙を舞い、地面に落下する。そのキメラには、頭がなかった。

 私の姿を見てみると。

 しろとくろの髪、白い爪、白い足爪、そして、体に黒い模様が浮き出ていた。


「ムイちゃん、僕は何とか時間は稼げたのかな?」

「はい、成功確率が不明なのに、この確率にかけていただいてありがとうございます。ですが、まだ、能力をうまくコントロールできないので、この姿を維持できる時間は、四分が限界です」

「じゃあ、4分間僕が、他のキメラの相手をするよ」


 エルさんは、立ち上がろうとする。


「いいですよ、エルさんは、休んでいてください」

「そんな訳にはいかないよ」

「本当に大丈夫ですから、見ていてください。白虎の鉤爪びゃっこのかぎずめ


 感覚どうするか、教えてくれる。私は感覚のままに手を一振りする。

 すると、斬撃派がキメラたちを切り裂いていく。そのまま、巨体のキメラに当たったが、あまり効果はなかった。


「やっぱり、硬いですね」


 周りのキメラはもう倒した、残るは、巨体のキメラのみ。


 また、感覚が教えてくれる。

 次は、思いいきり地を蹴り、両手の爪を使って敵をきりさけと。


 私は、感覚が教えてくれた方法を使う。


「白虎の猛攻びゃっこのもうこう


 私は、巨体のキメラとの間合いを一気に詰める。

 そして、両腕を使って、一気にふる。

 だが、結構ダメージは与えたものの、まだ倒れない。

 私はさらに、攻撃を与える。

 攻撃して、攻撃して、攻撃した。


「ギャグアァァ」


 巨体のキメラは、不気味な悲鳴をあげ、倒れた。


 もう、四分経ったのか、私の姿は元に戻り、地面に倒れていた。


「ムイちゃん! 大丈夫?」

「はい、何とか、でも、少しだけ休まないと、体が動きません」

「わかった、少し休もう、今の僕たちが行っても、足手まといにしかならないと思うから」


 私とエルさんは、そんな会話をしながら休息をとった。




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