46-1 葵の行く末
俺は荷物を運びながら考えていた、今副会長から聞いた事を言えるのかと……
副会長の汚されたって、俺と妹……そして副会長の年を考えると……俺と美月に当てはまるんじゃないかって……
今美月は玄関の自動扉が閉まらない様にしながら黙って俺を見ている、会長はニコニコしながら俺の後をついてまわる。
「一気にエレベーターに乗せちゃおう、軽いの持てる?」
段ボールの中身は多分服とか本とかだと思われる、要するに食器とか、家具とかはこっちのを使えって事なんだろう、それにしても軽くスイスに留学って決めるわ、ここのマンションを会長名義にしてるとか……どんだけ金持ってるんだ副会長……
エレベーターに一気に乗せ、そして一気に降ろし、さらに廊下から部屋に投げ込む様に段ボールを入れた
「つ、疲れた……」
なにこれ、俺に対する復讐か何かか? まあだとしたら軽い刑なんだろうけど……
「お兄ちゃま……何をずっと考えていたの?」
「え?」
「さっきの副会長さんの話し?」
「えっと……」
「美月に言えない事?」
「そんな事は……」
小学生にそんな事を言っていいんだろうか、いや言ってはいけないんじゃないか?
「お兄ちゃま美月の事を大事に思ってくれるのは嬉しいけど……言ったでしょ? 美月に隠し事はできないんだよ」
「え?」
「だいたい分かるの……お兄ちゃまの言葉で」
「お兄ちゃんまはこう言ってた」
『「もしもし」』
『「副会長か!」』
『「やっぱり、会長のスマホはお前が……いやそうじゃない、それより、学校を辞めたってどういう事だ?」』
『「なぜ、いや……俺たちから、葵から逃げたのか?」』
『「俺だって少しはいるって……だから今はそんな事いってる場合じゃない!……お前が葵を洗脳したんじゃないのか!」』
「お兄ちゃま友達いないって言われたのね」
「えええええ?」
美月が俺と副会長の話してた内容を当て始め、さらに続ける
『「現にお前が……」』
「ここで洗脳なんてしてないって?」
「えっとそうだっけ?」
『「どういう事だ?」』
『「それは……あの時は色々あったし」』
「ってお兄ちゃまは言ってたけど、多分震災の時にって事だね、つまりにいにが来なかったって言う事かな?」
『「そ、それは……」』
『「お前の事?」』
『「お前の……代わり?」』
『「そんな事……でも……、お前がオモチャにしたら意味がないだろう」』
『「野良猫の寿命?」』
『「こ、今度はペット扱いか! いい加減にしろ!」』
「ってお兄ちゃまは言ってたけど」
「ちょっと、ちょっと待ってくれ美月わかった、わかったから……」
俺と副会長の電話、俺の言葉を一言一句間違う事なく覚えてる……本当に……すげえな、まるでボイスレコーダーだ。
「それでお兄ちゃまはこの後副会長さんに何か言われて、それを気にしてたんだよね、多分副会長さんの秘密だよね、そして美月には言いたくない事……つまり」
「本当に隠し事出来ないな、参ったよ……ああその通り……副会長が……実の兄に……汚されたって言われた……それで……」
「ふーーん」
「いや……、美月ふーーんって」
「お兄ちゃまは、バカだね~~相変わらずの恋愛バカ」
「ええええええ、また?」
「あのねお兄ちゃま、副会長さんは可哀想かも知れないけど、それと葵ちゃんの件や美月とお兄ちゃま、お姉ちゃまとお兄ちゃまには全く関係ないんだよ、それって議論のすり替え、お兄ちゃまも葵ちゃまと同様に誘導されてるの」
「で、でも……」
「なるほどね、副会長さん分かっててやったって事だ、ふーーん結構手強いかも」
「え?」
分かっててやってた? 手強い? どういう事だ? 美月の言葉は相変わらず凡人には分からない……
「お兄ちゃま、分かってないみたいだから教えてあげるけどね、今度はお兄ちゃまとお姉ちゃまを別れさせようとしてるんだよ副会長さんは、そしてターゲットは……お姉ちゃま」
「え……ええええええええええ!!」
ちょっと、ちょっと待ってくれ……え? どういう事だ?
「お姉ちゃまも綺麗だし、ピュアだし、そして頭もいい、副会長さんが興味を持つ人の共通点じゃない? まあ……お姉ちゃま実はそんなにピュアじゃないんだけどね~美月同様意外と策士?、あ、でもお兄ちゃまに対してはポンコツでピュアなんだけど」
くくくと笑う美月……いや、でもそれって……
「いや……しかし、副会長が言ってた事は……」
「お兄ちゃま、まだ分からない? あのね副会長さんの言ってた事を全部信じちゃ駄目、自分のトラウマを平気で晒せる人って、トラウマって思ってないんだから、そうだね~例えばね、自分からお兄さまにアプローチして乗ってきた所で親バレ~~~なんて考えてみたら?」
「そんな……まさか……」
「他人を何年も平気で騙し続ける人だよ、本当の事なんて1つもないかもね~~」
「えええええ」
「本当お兄ちゃまってバカ正直なんだから、あとね、たとえそれが本当の事だとしても、お兄ちゃまが美月やお姉ちゃまに何かして、美月達がトラウマになると思ってるの?」
「え、で、でも」
俺が戸惑いの表情を浮かべると美月は急に膨れっ面になる、そして
……
「あーーーー、もうお兄ちゃまの……バカバカバカバカバカ…………あんたぁバカぁ?」
「いや、突然そこでネタぶっこまれても」
「もういいよ、お兄ちゃまにそれを期待する方が無駄って事だから」
「あきらめた! そんな美月~~~」
「お兄ちゃまなんてし~~らない、皆に嫌われちゃえ!」
「ええええええ」
「そして皆に嫌われたら美月が貰ってあげるからね~~」
「いや……でも……マジか……」
俺は隣でポケーっと聞いている会長を見る……確かに純粋そうだ、副会長も言っていた、どうにでも出きるでしょって…………
「お兄ちゃま、美月が言うのも何なんだけどね……あまり人を信用しないのも駄目だけど、人を信用しすぎるのも駄目、人間てね、嘘を付くんだよ……その人の言ってることを鵜呑みにするのは凄く危険なの」
「でも……嘘なんて……どうやって見分けるんだ?」
「うーーん、簡単に見分ける方法を1つだけ教えてあげるね、嘘ってね、想像して言ってるんだよ、嘘なんだから、だからね後で同じことを聞くの、相手が忘れた頃にね」
「へーーーー」
でもそれって……美月の様に相手の言葉を全部記憶しておかないといけないって事だろ……それって美月には簡単だろうけど……
「警察が取り調べで何度も同じことを聞くのと一緒だね、嘘じゃなかったら何度でも同じことを言えるだろって、ただ副会長の場合、嘘というよりは記憶のすり替えをしているかも知れないけどね」
「記憶のすり替え?」
「自分の記憶を都合のいい方に変えちゃうの、同じことを葵ちゃんや書記の人にやってるんじゃないかな?」
「なるほど……」
「だから手強いって、すり替えちゃえばそれが自分の中で本当の事になるから」
美月に隠し事をするには、多分そこまでしなければいけないって事か、本当にこの子は怖いな……そして、凄いな
「さあ、お兄ちゃま、荷物を調べよう」
「え? 荷物ってこれ?」
「うん、まあ何もないかも知れないけど、今は1つでも手がかりが欲しいからね」
「そうだな、とりあえず開けるか」
そう言って一番手前の段ボールを開ける……げ
「お兄ちゃま、いきなり下着って……エッチ~~~」
「しょ、しょうがないだろ、何も書いてないんだから」
副会長はもういない、ただ美月の言ってる通りいたとしても本当の事を言うとは思えない、ただ色々ヒントは貰った、今頃妹と先生も色々調べてるだろう……
俺も何か見つけなくては、そう思い更に段ボールを開ける…………げ
「お兄ちゃま……わざと?」
「なんでこんなに下着ばっかり一杯あるんだよ~~~~」
あはははははと副会長の高笑いが聞こえる……くそ~~~…………黒が多いな……
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