33-2 会長って恐怖の存在だったんだよね
「えーーっと、何故急に?」
会長に突然生徒会入りを打診される、まあこの間のボランティア関連の時、妹の有能さがバレたからな~そう言う事もあるか、しかしこの会長自ら来るとは……
「やはりこの間の件で3人では無理があると思ったから……」
まあ、あんだけ使えない書記と言い返せない副会長じゃあどうにもならんよな……
「妹ならまだしも、俺を入れるメリットはないかと」
女子だらけの生徒会にしかも何も取り柄のない俺を入れる意味があるのか?
「まあそうね、でも貴方が入らなければ貴方にベッタリの妹さんは絶対に入らないでしょ? ね、栞さん」
会長は少し嫌みっぽく妹に問いかける。
「はい!お兄ちゃんが入らなければ私も入りません!」
そんな嫌みをものともせずに、妹はあっさり肯定する。
「俺は妹のバーターかよ……」
「いいえ、正直に言えば貴方にも入って貰いたいわよ」
「それは何で?」
「私が貴方の事を気になり始めているから、とか?」
妹が隣でビクッとなるのが椅子から伝わる……やべえ……
てか、何その告白めいた話しは、聞いてないぞ……
「な!、あんた彼氏いるだろ」
あのゴンドラの熱烈なラブシーンを見せつけられて何を言うかこの女
「とっくに別れたわ、言わなかったかしら」
はっきりは言って無かったが、なんかそれらしい事は言ってたような……
「とっかえひっかえですか……お盛んですね……、かいちょう……」
背もたれに背を預け、腕を組み目を閉じて少し呆れ気味に言うと俺の言葉に過剰反応した会長は立ち上がり怒りに満ちた顔で言った。
「し、失礼な事言わないでよ!私は処女よ!!!…………あ……」
言った瞬間しまったという顔になる…………えっと、そんな情報を貰った所で、意外ですねとも、やっぱりとも言えない。
そして、小学生の前で何を言ってるんだ私って顔をしている会長。
空気が凍る、時間が止まる……その時
「ちべたいいいいいい、頭がきーーんってなるううう、お兄ちゃま知ってる?これってアイスクリーム頭痛って言う名前が付いてるの、かき氷を食べてるのにね」
その空気を読まなかったのか、寧ろ空気を読んでの事か、恐らく後者だろう美月が空気を打ち破り、全く関係ない事を喋りだす。
その声に我に帰った会長は座り直し、コーヒーを飲んで自分を落ち着かせようとしている……
「えっと……会長の個人情報は置いといて、生徒会に入る気はありませんね」
「何故?」
コーヒーを持ったまま足を組み俺を睨みつける会長、そうそう、会長はそういう感じでないと……
「まあ、メリットがまるで無いからですかね?」
「うちの学校から大学の推薦や、奨学金の援助、生徒会での活動はそれを優先的に受けられる、メリットが全くないって事はないわ」
うちの学校レベルだとそれもたかが知れてるんだけど、それに……
「俺はまだ、進学するかどうかも考えていませんからね……つまり現時点でメリットはありませんね……会長はそれが欲しくてやっているんですか?」
そんなの欲しくて生徒会活動するくらいなら、その時間勉強した方が効率が良いと思うんだけどな
「違うわ……」
会長の顔色が変わる、自信の無い何とも言えない顔に
「じゃあ何でやってるんですか?」
前にも聞いたな、何故自分を押さえてまで、そんな事をしているのかって
「そ、それは…………言いたくない……」
会長の手が若干震えている、何か頑なに隠している事がある、しかしそれだけは絶対に言わない、言いたくないという……
「まあ、何にせよ、メリットがない以上俺が生徒会に入る事はありませんね……」
俺はそう言って、もう話しは終わりとばかりにコーヒーを一気に飲み干す……
「そう……分かったわ、でも私はどうしても二人に入って貰いたいの、それがお互いの為になるから……」
そう言って立ち上がる会長に妹がようやく口を開く
「……会長さん、コーヒー代忘れずに」
「…………くっ」
俺が断る以上に心底悔しい顔をして小銭をテーブルに置き店を出ていく会長……あぶねえまた驕らされる所だった、さすが妹よくやった! 後でいい子いい子してやるぞ。
会長が完全に店を出るのを確認するや否や、美月が会長の事を話し始める。
「栞姉ちゃま……、あの人って誰かに弱味でも握られてる?」
かき氷を小さい口でパクパク食べていた美月、残り少なくなってきて少し寂しげにグラスを見つめながら変な事をいい始める。
「うーーん弱みではない気がするんだよね~」
その美月の言葉の意味がわかっている様に答える妹、えっとすみません、俺なんの事かさっぱりなんですが、何この二人……
「じゃあ、何でお兄ちゃまに気があるみたいな事を言ったんだろうね」
「へ?」
え、あれって半分告白とかだと思ってたけど、違うの?
「お兄ちゃま、残念?」
ニヤリと笑う美月、何度も言うが小4ですこの子……絶対妹じゃね、姉だよな……
「お兄ちゃん、ああいうタイプも好きなの? 随分とかけ離れてるよ……ロリから」
いやいやいやいや、もうロリから離れようよ……まあ好きなタイプとかじゃないけど綺麗な女子から好意を向けられたら誰でも嬉しいよね?
「演技って事か?」
美月に向かい聞いてみる。
「演技って言えば演技だよね、無理やり言わされてるんだから」
残りのかき氷を飲み干し、スプーンをなめている美月、こういう所は小学生で安心する。
「はあ? 言わされている……」
「うんそうだね、そんな感じだったね、多分あの人だと思う……」
続けて妹が言う、もう何この二人のわかっている感、これが俗に言うチートって奴か……
「あの人?」
「うん、…………副会長……」
そう言えば妹が言っていたな、会長は副会長に依存していると……
「ふーん、そんな人が居るんだ、栞姉ちゃま後で詳しく聞かせてね」
「うんそうだね、美月ちゃんが居てくれれば対策しやすいかもね」
え、何、対策って、おーーい
完全においてけぼりの俺を挟んで美月と妹がタッグを組む話しをし始める……おーーーい
「大丈夫だよお兄ちゃん、お兄ちゃんは私が守るから……、あなたは死なないわ、私が守るもの……」
え、なに突然クーデレで死なないとか言わないで、怖いから、え、俺なにかに乗って戦うんですか?
「お兄ちゃま次回もサービスサービスゥ」
いや次回って何? 小学生のサービスとかヤバイから、何のサービスするんだよ~~!
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