24-3 石垣島の夜
妹は怒ってベットに入り、シーツにくるまり、しくしく泣いている。
「あーーやっぱりなんかあったな、何となくそんな予感がしたんだよ」
美智瑠がしたり顔でそう言ってのける。
うーーん美智瑠って能力者かなんかか?、妹といい、美智瑠といい、何か持ってるよなー
「栞ちゃんー、ごめんねぇ、私止めたんだけどぉ」
そう言ってベットの方に話しかけるが、側には行こうとはしない、麻紗美も結構かも……
「ほら言っただろ」
「うん、美智瑠ちゃんぐっじょぶだねぇ」
二人でこそこそ話してるけど、聞こえない、聞こえないぞ
「はい上がりーーー!」
美智瑠が2枚場にカードを投げて勝ちを宣言……
ちなみに俺たちはそんな話しをしながらも、既にババ抜きをしている……、妹よすまん……
「栞ちゃん~トランプぅやらないのぉー」
「Zzzzzzzzzz」
そのイビキはべた過ぎるぞ妹よ……
暫く3人で、ババ抜きや神経衰弱やらをやっていると、妹の寝息が聞こえてくる。
昨日遅くまで俺達3人を監視していたらしく、寝不足だったみたいで、どうやら本当に寝てしまったようだ。
それを見計らってか、美智瑠が突然俺たちの秘密を言い出した。
「ゆうって栞とつきあってたんだって」
「な、な、なんでそれを……」
突然の事で噛んでしまい、誤魔化す所じゃなかった。
「栞ちゃんがねぇ、話してくれたんだぁ、初日の夜お風呂に行ったでしょぅ、そこでぇ」
「マジか、栞が……、まあ聞かれたら答えるって言ってたからな」
だからなんか様子が変だったのか……
「ゆうはぁ、栞ちゃんとぉ付き合うってことにぃ、抵抗とかぁ、なかったのぉ?」
「うーーん、多分あったと思うよ、それよりは戸惑いの方が多かったけどね、なんで俺の事が好きなんだろって……」
「だから、まあ付き合って見れば幻想が打ち破れると思ったんだけどね、俺の左手では打ち破れなかったけど」
「左手?」
「あ、いやこっちの事、でまあ色々あって今は微妙な関係なんだけどね」
「うん、それも聞いたぞ、別れてって言ったら、俺たちは別れられないって言い返されたってのろけられたぞ、そして幻想殺しは右手だぞ」
「そこまで言ってるのか、おしゃべりだなー栞、そして美智瑠、今度栞と秋葉原に行ってこい……」
「ゆうはぁ、栞ちゃんの事、好きなのぉ?」
「好きだよ」
「それはぁ、恋人としてぇ?」
「わからない……、小さい頃一度だけいいなって思った人がいるんだけど、あれって今考えると憧れとかだと思うんだよ、そうすると、はっきりこの人が好きだって感覚がないんだよね、だから妹に抱いてるこの感覚が、家族愛なのか、兄妹愛なのか恋愛なのかわからない」
「ゆうのママとかに抱いてる感覚とは違うのかい?」
そう言えば、美智瑠ってママって言うよな、ちょっと突っ込みたいけどそんな雰囲気じゃないか……
「うーーん、似ている感覚はあると思うよ、でも全く違う感覚もある、本当に自分でもよくわからないんだよ……」
「ただねこれだけは言える、栞は親よりも、誰よりも、俺にとってかけがえのない存在だって、大事だし、泣かせたくない……」
「うーー、大事にされて羨ましいな!、僕たち二人は、そこに入り込む余地はあるのかい?」
「うーーん入り込む余地と言われても……、俺と栞の関係からしてわからないから何とも言えないよ、それより何で二人は俺なんかのことが好きなんだ?」
本当に何でなのか、こんな可愛いく魅力的な3人が何故に俺の事を?
「ゆうぅ、それはねぇ、言っちゃだめだよぉ、私達3人に失礼だよぉ」
「え?」
「そうだぞ、俺なんかなんて言うな!、君だからだぞ、僕らの好きなゆうを否定するのは、たとえ君本人だとしても許さない……」
「……」
「ゆうはねぇ、他の誰よりも素敵なんだよぉ、私達のみる目は確かなんだからぁ、だからお願い……二度と俺なんかなんてぇ、言わないでぇ……」
涙が込み上げてきた、自分を認めてくれる人がいるのがこんなに嬉しい事なんだと、だけど堪えた、ここで泣くのは駄目だ、二人にみっともない姿は見せられない、俺の最後のプライドが涙を止めた、そしてここまで言ってくれた二人に何か言わなければ
「みんなは本当に魅力的だよ、そんな魅力的な人達が俺を好きと言ってくれて、凄く嬉しい……」
俺は笑顔で二人と寝ている一人にそう言った。
そろそろ寝ないと明日起きられないと二人は部屋に戻って行った。
俺は二人を見送り、自分のベットに腰掛け、向かいのベットの栞を見つめている。
シーツにくるまって、顔だけ出して寝ている妹を見つめている。
何も考えずにただ見つめていた……
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