karma14 築き上げられた信頼の力
最初に
人のいない橋は多くの車があったが、戦いに巻き込まれたせいで川に落ちている。橋の上に残っている車の中には横転したり、黒煙を上げて炎を纏っていた。
中央分離帯を跨ぎながら、紫と白の配色された
1人は
藍川と高杉恵はコンビネーションで古澤に挑む。立ち込める黒煙により、視界はかすんでいる。わずかな煙の隙間から目視し、
高杉が先頭を走り、藍川が後方につけている。
古澤の頭上に立ち昇る黒煙の渦の一部が点滅した。
藍川と高杉は厳しい表情を顔に貼りつけていたが、速度を緩めない。黒煙の渦で光った部分から、極めて小さな光が無数に放たれた。
上から放たれた細い光の針が降り注ぐ。藍川は上体を低くし、前方下へ両手の位置を保ちながら、音速をも超える速度で移動していく。
それでいて電磁バリアの効力を保つという
それをほぼ完璧にこなす
古澤の顔が後ろへ流れ、左目が高杉を捉える。
左手の青い剣身が乱れ刃となり、うねりながら伸びて横薙ぎに振られた。高杉は頭を下げ、左に転がりながら避ける。
藍川と高杉は二手に分かれた。
古澤との距離は5メートル。右に開いた藍川に迫る危険な刃。電磁バリアはライトブレードと鋭い光の雨を同時に防げるほど強力なものではない。数分前に学び、授業料として
纏っていた電磁バリアを収縮させ、襲いかかってくる剣にぶつける。反動により、藍川の
藍川の
引っ張られた車は藍川の
古澤はここで藍川を戦闘不能にしたいところだった。しかし高杉の武器が古澤に牙を剥こうとしていた。
立ち昇る黒煙の渦から放たれる
銃撃者の近くにいる敵を撃つことはできない。3メートルまで迫った高杉は、撃針マシンガンの射程から逃れていた。
万全の体勢で攻撃できる高杉を、古澤が放っておけるわけもない。古澤の
高杉と藍川が古澤を討つと定めてから、57ものアタックを試みた。そして58回目。不屈の心と冷静な解析が実を結ぶ。
鉄壁の攻撃に見えたわずかな穴を突く。古澤の電撃は、顔をガードするように上げた高杉の左腕に直撃した。深く腰を落とし、右足を後ろへ。右の足裏は指の付け根で地面を捉え、左足は重心軸とした。
クラウチングスタートのような低い姿勢で電撃を受け止めるためには、上体が真っすぐになっていてはいけない。近距離で電撃による衝撃をすべて受け流すのは不可能。多少なりとも反動を受けると計算し、現状の距離を保つことを優先した。
2秒でいい。高杉の電撃は、
青い光の攻撃は、綺麗な直線を空気に描いて
古澤の背中に装備されたスモークストームの噴気孔から、咳き込むような音が鳴っている。ふらつきながら腰を落とし、尻もちをついた古澤は、両手を上げた。
「降参、降参だ。お前らに手柄をくれてやる」
古澤の
中堅に値する古澤でも2人を相手にするのは難しかった。
敗因は藍川への警戒心の強さ。そう自己分析し、自嘲の笑みを零す。
藍川の動きは、2人を相手にすると決めて1分も
古澤のスモークストームによる撃針マシンガンの特性を見極め、すぐに修正してきた。その判断力、迷いのない動きと抜群の身のこなし。戦闘におけるセンスはただ者じゃないと悟った。藍川さえ警戒していれば、どうとでも対処できると思っていたが、甘過ぎたようだと脱力した。
長い吊り橋の上では、もう1つの戦闘が行われている。氷見野と狩野が相手にしていた
倒す気満々だったのに、尻尾を巻いて逃げていく柏場の行動が予想だにしなかったこともあり、2人は立ち止まってしまう。
「なんなんだ?」
狩野は疑問を口にしながら出足を迷う。
「きっと戦略的撤退だと思う」
氷見野は後方からブーストランを使わず走ってくる藍川と高杉に視線を送る。
「なら! 今のうちに頭数を減らしておくに越したことはねぇな。行こうぜ!」
狩野は先に走り出した。
「ミズ、メグ、まだ戦える?」
「心配性ね。私は大丈夫よ」
「わたくしも問題ありません!」
「分かった」
狩野に続き、氷見野たちも風を切り裂くように加速した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます