karma11 重たく剣は交わる
街中の運動公園。清掃が行き届いた憩いの場でもある。小さい子供を連れた親が遊びに来るところでもあるが、冬の景色へ向かう飴色の芝は、荒廃の一途を辿っている。
さっさとバーチャルブリーチャー軍勢を殲滅した桶崎も加わっていたが、すでに
川合雪を筆頭に統率された
御園も
電撃の威力は半減し、銃も剣も使えなくなってしまった。最前線を離れて修理をしたいところだが、手負いの御園を一気に押し込めようとする羽地と稲坂を振りきれなかった。
羽地と稲坂に追われながらも離脱していなかったのは、
交錯する剣。電気により作られし刃を扱うことの多い隊員の中で、羽地と江夏はオーダーメイドで作ってもらった質量を伴う剣を使っていた。青い
互いに2本の刃を持ち、剣技の応酬を繰り広げている。そこに電撃と咆哮が加わり、異種乱闘戦となっていた。
羽地の武器の厄介さでまず挙げるとするなら、しっかりとした重量を誇る2つの剣を、軽々と振るってくるところだろう。それを受け止めれば、肩と腕への負荷は相当なものになる。
速度はライトブレードより劣るが、破壊力は抜群だ。運動公園にあるピラミッド型の遊戯モニュメントは有名美術品の
更に羽地の両剣は射撃機能を持つ。羽地の剣は長方の形を取り、切先で刺すものではない。しかし切先を前へ伸ばす仕草をした時、剣身が銃身の役割を為し、直線的な電撃を飛ばすことができた。
羽地の剣から放たれた電撃は、エネルギーを逃がすことなく標的へ命中させることに特化していた。
羽地の振るう大剣は重量級の武器になるが、充分に超人の速度で移動できる。かく乱のためだろう。
黒曜石のサーベルが大剣を防ぐ。江夏のサーベルも大剣の大きさに劣らない。打ちつける音が2人の近くでいななく。江夏も予想した体への負担は大きいが、斬り結んだ際の大剣の威力は半減していた。
羽地の大剣と江夏のサーベルが交わるたびに飛び散ったのは、火花や電気よりも多い物があった。
微小な
地球から遥か遠く、海王星よりも遠い
黒曜石にヴィオスメタルを中心とする、精密なナノ配合により
超急速に氷結されたサーベルは
とはいえ、通電によって急速冷凍を可能にするサーベルは凍傷させる対象を選択できる仕組みだ。
大剣の電撃砲機能に障害が起きそうなものだが、剣として利用されることを想定した耐衝撃性はもとより、触れる機会は一瞬の時間であり、極寒の冬の戦闘にも考慮した耐凍性も充分に対応できる大剣であった。
しかしながらサーベルの氷冷させる機能は、極寒の気温の比ではない。1本の大剣は障害が起きており、電撃砲を撃つことができなくなっていた。さすがに羽地も江夏のサーベルの危険性を認識し、すぐさま氷結機能に対処した戦闘に変更していた。
多彩な機能を駆使し、運動公園の敷地を縦横無尽に駆け回る
隙を見て稲坂と羽地の目から離れようとしているが、再び捕捉されてしまう。援護しようにも電撃くらいしか手がない御園の状態では、雀の涙ほどの効果が関の山だった。
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