~継がれる想い、繋がる心~・おまけスキット
~負の感情~
シュクル「怒りや憎しみ以外にも負の感情はあるのだな……」
カッセ「負の感情はなにも疎まれるものばかりではない……ひとが生きている限り、感情をもつ限り、正負の心は隣り合わせでござる」
デュー「完全に消し去るなんてできないけど、呑まれたらダメなんだ」
シュクル「あんなものを見せられて、責められて……何も知らなかったミレニアがどれほど辛い思いをしたか」
カッセ「むごいことを……」
デュー「だいたい、本当に悪いのは襲ってきた魔物……それに取り憑いてた、あいつの仲間だろうが」
カッセ「それでも自らを責めずにいられないのでござるよ」
デュー「ちっ、胸糞悪ぃ……あの野郎をブッ飛ばす理由がどんどん増えてくぜ」
カッセ「同感でござる」
~時には荒療治?~
デュー「急に通信で割り込んでくるわいきなりきっつい言葉浴びせるわ、王様にはヒヤッとさせられたぜ」
ミレニア「じゃが、効いたわ。お陰で目が覚めた」
豪腕の焔『非を否定せず、前は向かせる……あの王様らしいな』
水辺の乙女『彼が“王”だからでしょうね。選択に伴う責任の重さ……それによって足を止めるのもまた選択ですが、その先に生じる結果を考えろと』
ミレニア「ここで足を止めたら、それこそおばあさまに顔向け出来んかったわ」
デュー「だな」
ミレニア「何にせよ、助かったのじゃ。やり方は荒っぽかったがのう」
モラセス《そこはいつぞやのお返しだ。ばかと言われた分も含めてな》
デュー「げっ、通信切ってなかった」
ミレニア「わしはおばあさまからの伝言をそのまま伝えただけじゃよー」
モラセス《ふふ、そうか》
~おかえり、ミレニア~
豪腕の焔『うっうっ、ミレニアが無事戻ってきて良かったぜ……俺、俺っ……!』
ミレニア「わ、何も泣くこたないじゃろ焔っ」
水辺の乙女『感情豊かで妙に人間臭いですよね、豪腕の焔は』
豪腕の焔『い、いいだろ別にっ!』
カッセ「けど、本当に良かったでござるよ」
シュクル「あまり心配させるでない」
ミレニア「すまぬのう」
デュー「ったく、あんなしおらしいお前なんて調子狂うし気持ち悪いっての」
ミレニア「調子狂うはともかく気持ち悪いとはなんじゃー!」
デュー「……ふっ」
ミレニア「ふふん」
シュクル「本当に、いつものミレニアだな」
豪腕の焔『うう~……』
カッセ「わ、大丈夫でござるか!?」
デュー「ぼろぼろ泣いて、よっぽど寂しかったんだな……」
豪腕の焔『だっていくら呼び掛けても反応ねえしよぉ……』
ミレニア「よしよし、悪かったのう」
~心の精霊~
ミレニア「おばあさままで精霊になっていたなんて……」
デュー「心の精霊なんて初めて聞いたけどな」
ルセット『精霊としての呼び名もあるにはあるが、ルセットで良いぞ』
水辺の乙女『風火水土などの属性をもつ精霊は誕生してから自分の属するマナが濃い場所に留まる性質がありますが、それが心ということは……』
ルセット『わしとミレニアの想い出が詰まった髪飾り、そして精霊を助ける霊晶石……力が安定するまで、うってつけの場所に眠っとった訳じゃ』
ミレニア「なるほどのー」
シュクル「そして髪飾りが聖依術の補助の役割も果たしていた、と?」
ルセット『聖依術は単純に呪文を唱えれば良いものではない。人間と聖依獣、双方の心を繋げるものじゃ。おぬしらがいつの間にか石の補助を必要としなくなったという事は……』
デュー「ふたりの成長と絆が強まった証、か」
ミレニア「なんだか照れるのう」
ルセット『……本当に、ようここまで来たな』
~目指す場所はひとつ~
デュー「離れている時間はそんなに長くないんだろうけど、久々にみんなの声を聴いた気がするな」
カッセ「いろいろな事があったからな……」
ミレニア「なに、再会したらめいっぱい聴き放題じゃよ」
豪腕の焔『先にやる事やっちまわねえとな!』
ミレニア「のじゃ!」
シュクル「目指すは“総てに餓えし者”のもと、か」
ミレニア「しかしまあ、ほんとにてっぺんにいるっぽいんじゃのう」
デュー「何とかと煙は、って言うしな」
水辺の乙女『まあ普通に考えれば隕石を呼び寄せる術式のためでしょうけど』
デュー「あ、そっか」
水辺の乙女『……もうなんだか“何とかと煙”でいい気がします』
ミレニア「いいじゃろ、あんな奴」
デュー「とりあえずその“何とか”をブッ飛ばしに行くぞー」
ミレニア「おー」
カッセ「たぶん最終決戦なのでござろうが……」
シュクル「どうにも締まらぬのがこいつらだな」
~久し振りね~
モラセス《…………》
ルセット『…………』
モラセス《その、ルセット……》
ルセット『久し振りじゃのう、モラセス』
ミレニア「おお、そういや夫婦なんじゃったな」
デュー「元カノに奥さんに、立て続けに再会かぁ」
カッセ「も、元カノって……」
ルセット『知っとるぞ、モラセス。おぬしがカミベルに未練タラタラなのを魔物に利用されて暴走したってなあ?』
モラセス《うぐ》
ミレニア「あのじーさまがたじたじなのじゃ」
デュー「気の強い美人が好みなのか」
モラセス《そこ、うるさいぞ》
ルセット『口を開けばカミベルカミベルと、そればっかり言うとるからそんな事になるんじゃ。ばーか!』
モラセス《……変わらんな、まったく》
ルセット『精霊になったからって、わしはわしじゃよ』
デュー「で、どっちが好きなんですか王様」
モラセス《やかましい》
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