~東の地にて~・おまけスキット
~わかれた先で~
デュー「思えばこんな少人数で行動するのも久し振りだな」
フィノ「障気騒動の後と、砂漠で離ればなれになった時くらいでしたっけ」
カッセ「もともとは独りで行動していたのに……いつの間にか大人数の方に慣れてしまっていたな」
デュー「そしてすっかり騒がしいのに慣れちまうんだ」
カッセ「実感している」
フィノ「そういえばわたしとデュー君、二人だけの時もちょっとの間だけどあったんですよ」
カッセ「二人っきり……まさかデュー殿」
デュー「おい、何想像して……言っておくが、オレはお子様は対象外だからな」
フィノ「むっ……わたしだってもっと背の高い素敵な男性がいいですっ!」
デュー「じゃあ元の姿に戻ったらいいんだな?」
フィノ「えっ」
カッセ「や、やっぱりデュー殿……」
デュー「っと、つい反射的に」
フィノ「ど、どういう反射ですか!? デュー君最低! 女の敵です!」
カッセ「女の敵、と」
デュー「そこ、報告書に書き足すな」
~カレンズ村は今~
フィノ「少しだけ明るくなったように見えたのは、マナスポットが輝きを取り戻したからなんですね」
デュー「あいつらが追い出したシュクルのお陰でな」
カッセ「……戻ったら、シュクルに伝えよう」
フィノ「そうですね。シュクル君はこの村に光をもたらした、疫病神なんかじゃないって」
デュー「そんなの当たり前だろ」
フィノ「デュー君……」
デュー「相変わらずじろじろと陰気な目で見やがって、イシェルナじゃなくても気分が悪いとこだぜ」
カッセ「深く根付いたものは、一朝一夕には変わらぬでござるよ」
フィノ「もしかしたら、この前のことを謝ろうとしてたのかもしれませんし……デュー君に睨まれて出来なかっただけで」
デュー「オレのせいかよ」
フィノ「デュー君は少し血の気が多すぎますっ」
カッセ「そこは拙者達が頑張っておさえるのでござろう?」
デュー「なんだよ、ったく……」
フィノ「ふふ♪」
~忘れえぬ言葉~
カッセ「遺跡で暴れる巨大な魔物使いの子供……」
デュー「思い当たるヤツが一人いるな、前に会ったのも遺跡だし」
フィノ「ふふふ……」
カッセ「はっ、フィノ殿!?」
フィノ「まな板……まな板女……」
デュー「まあ待て落ち着け、今はいないかもしれないし、な?」
カッセ「そ、そうでござる! 出来れば無駄な争いは避けたいところで……」
フィノ「口で言ってもわからないでしょう?」
デュー「め、目がマジだ……」
カッセ「本当に、出来ることなら会わずに済ませたいところでござるな……」
~浄化の術~
デュー「あのガキんちょ、魔物に取り憑かれていたなんてな」
カッセ「彼が心を強くもてばモラセス王のように抑えられるが、あれでは……」
フィノ「わたしに聖依術が使えれば……」
デュー「あれ以外に浄化の方法はないもんかな」
カッセ「それは……長老なら或いは、何かご存知かもしれんが」
フィノ「ワッフル君……」
デュー「どうにか助けてやりたいもんな」
フィノ「負の感情を増幅されて周りを傷つけるなんて、悲しすぎるもの」
デュー「優しい声が届かないのも、だな」
カッセ「そのためにも、まずは一旦隠れ里に戻るでござる」
フィノ「ええ、急ぎましょう!」
デュー「少し休んでから、だろ?」
~デューの売りとは~
デュー「おいカッセ、さっきはよくも言ってくれたよな」
カッセ「なにがでござるか?」
デュー「しぶとさと気障でタラシなのは……」
カッセ「ああ」
フィノ「だってほんとのことじゃないですか」
デュー「しぶといのはともかくあとの二つは却下だ」
カッセ「あとの二つの方が主でござるよ」
デュー「オレのどこが気障でタラシなんだよ」
カッセ「自覚がないのが厄介というか……」
フィノ「ですね」
カッセ「ふっ」
デュー「なに笑ってんだ」
カッセ「もっとそういう顔を見せろ、と以前拙者に言ったはずでは?」
デュー「なんか釈然としないんだが……」
~モラセス王とカッセ~
カッセ「そういえば、モラセス王のことでござるが」
デュー「ん?」
カッセ「あの後個人的に謝りに来たんだ」
フィノ「そうなんですか?」
カッセ「ああ、きっちり頭を下げてな」
デュー「そりゃ、あれだけの目に遭わされたもんなぁ……」
フィノ「でも王様が頭を下げるって、すごいことだと思います」
カッセ「きちんとけじめをつけて、後腐れのないように……本来は清々しい人物だったのでござろう」
デュー「で、お前はなんて?」
カッセ「……あまりの迫力に動けなかった」
フィノ「え……」
デュー「顔怖いしでかいもんなあの王様」
カッセ「頭を撫でられたが正直真っ白で、理解するのに時間がかかった……」
デュー「ま、最初はそんなもんだろ」
フィノ「なかよくなれるといいですね、カッセ君」
カッセ「ま、まだ少し、苦手意識が抜けん……」
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