【★】三時間目:男の浪漫リボルバー拳銃 その2

 さて前回は西部開拓時代の立役者であるシングルアクションのリボルバーを紹介しました。もしかして生徒諸君の中にはあれから色々調べて、この形式の銃の代表格であるS.A.A.、つまりコルト・シングル・アクション・アーミーに興味が湧いてきた人がいるのではないでしょうか。


 実は日本のモデルガンメーカーはこぞってS.A.A.を作っているのでトイガンについてはけっこう簡単に手に入ります。知っているだけでもタナカワークス、マルシン工業、ハートフォードなどなど……え? 聞いたことが無い!? まさかエアガンメーカーはマルイしか無いとお思いか!


 ……とはいうものの。この界隈もマニアックな世界なので知らないのはあたりまえ。興味があったらググってみるのもいいでしょう。(因みにタナカワークスのホームページは業界の大人の事情によりメッチャクッチャやる気のない更新情報すらない場所ですが、ちゃんと製品を作っていますのでご安心ください。その辺の事情をひっくるめてタナカワークスの事件を詳しく調べると日本の残念な闇にぶち当たるのでご注意を……)


 さてこんな感じで一旦シングルアクションは止めておいて、次にはいよいよダブルアクションのお話をしていきましょう。



▼ダブルアクション


 前回のおさらいで、シングルアクションの銃は引き金トリガーを引くと撃鉄ハンマーを倒すことしかできないと学びました。つまり射撃をするにはまず撃鉄ハンマーを起こし、引き金を引き、また撃鉄ハンマーを起こすという二段動作が必要だったということです。


 これに対してダブルアクションは、引き金トリガーを引くと撃鉄ハンマーを起こし、そして倒すという動作を一度に行うことができるという機構になります。


 正確に言えば引き金トリガーを引いている撃鉄ハンマーを起こして、引ききるとようやく撃鉄ハンマーが倒れるという動作なのです。細かいようですがこれを頭に叩き込んでください。


 この形式だと咄嗟の時にわざわざ撃鉄ハンマーを起こすという必要がなくなり、引き金トリガーを引くだけで簡単に銃撃できるということになります。


 こう聞くとやっぱりダブルアクションのほうが簡単で、そして正確に弾丸が発射できるじゃないかと思うかもしれません。というか実際そうです。弾丸が装填されている状態で射撃に移る際も、


1.ホルスターから銃を抜く

2.狙いを定める

3.引き金を引き、発射


 というシングルアクションの早撃ちに近い挙動で射撃を可能としています。


 だがしかし。


 ここにはちょっとした言葉のトリックがあり、達人同士の戦いの場であれば早撃ちは圧倒的にシングルアクションの方に軍配が上がります。


 その要因はズバリ、引き金を引く力トリガープル引き金を引く距離トリガーストローク


 本当は画像つきで説明したいのですが……結論から言いましょう。シングルアクション時の引き金トリガーよりも、ダブルアクション時の引き金トリガーの方が圧倒的に引き金を引く力トリガープルが重く、そして引き金を引く距離トリガーストロークが長いのです。


 先も言ったとおり、ダブルアクションは引き金を引いている途中で撃鉄ハンマーが機械的な動作で起こり、そして引ききった瞬間に撃鉄ハンマーが落ちます。この一連の動作は機械的に再現する上ではどうしても力と距離が必要となります。


 とも言いますか。これで何が起こるかというと無論シングルアクションとくらべてコンマ秒以下の戦いにはなりますが絶対的な遅れを取ることになります。


 また引く力が重くなるということはそれだけ指に力を入れなければならないということ。すると何が起こるかというと……力んだ方向に銃口がズレ、着弾点が大きく逸れてしまうのです。


 さてここで新たな、ゲームやアニメでは解らないリボルバー銃のもう一つの弱点が見えてきます。


 それはダブルアクションで銃撃をするとシングルアクションに比べて命中率が悪くなるということです。


 無論握り方の問題もあるでしょう。そのことは先刻承知ということで長い年月リボルバーは進化をし続け、引き金を引く力トリガープル引き金を引く距離トリガーストロークの問題をせめぎ合っているはずです。ですがシングルアクション時の時の撃ちやすさに比べればやはりそこには歴然とした差というものがあります。


 それでも百発百中、そして早撃ちの腕を持つちょっと昔の漫画のリボルバー使いがどれだけ凄いかというのがこれで理解できたかと思います。



 と、ここまでケチョンケチョンに言ってはみたものの。



 これもまた所持者が達人(キャラクターのスキルとしてリボルバーを採用した時に持っているであろう練度を考慮)であった話で、そうでもない人にとっては圧倒的にダブルアクションのほうが有利だったりします。


 ダブルアクションはシングルアクションに取って代わる機構であり、誰も彼もが早撃ちの達人ではなかった西部開拓時代のガンマンは、終盤に出たこの機構のリボルバーをこぞって採用し始めました。


 それはそうでしょう。なんせ。人は命中率よりも何よりも一手間が無くなったほうが魅力的に見えるものです。


 そもそもダブルアクションの銃は一旦指で撃鉄ハンマーを起こし、シングルアクションにて銃撃もすることができます。精度のある銃撃をする時に撃鉄ハンマーを起こすだけで良いので、最早あえてシングルアクションを選ぶ理由は0に近いということになります。


 さらに言うと、安全装置の無いリボルバーは撃鉄ハンマーが降りている状態がセーフティなのですが、重い引き金を引く力トリガープルと長い引き金を引く距離トリガーストロークはそれ自体が擬似的な安全措置となりうるわけです。しかもそのままで引き金トリガーを引けば弾自体は出るのですから、緩急がしっかりと分けられている事になります。


 対してシングルアクションの場合、戦闘状態に入ったところでとりあえず撃鉄ハンマーを引いておいて銃を片手に……なんて事をすると、転んだり、また避けるために倒れたその瞬間の衝撃で暴発しする事故が起こるため、安全面でもダブルアクションの銃は優れていました。


 さらにさらに。ダブルアクションのリボルバー銃が登場した時、それまでシングルアクションに多かった給弾方式である【!】固定式ソリッドフレームから、【!】弾倉振出式スイングアウトや【!】中折式トップブレイクといった方式が採用されたために再装填時間が著しく短くなったということもあり、ダブルアクション式のリボルバーは次第にシングルアクション式のリボルバーに取って代わっていった、ということです。


 以上がシングルアクション、そしてダブルアクションの創作への採用を観点に入れた説明でした。


 次の時間はようやくリボルバーという銃のメリットとデメリット。そしてスタンダードなものからマニアックなリボルバー銃まで解説をしていきましょう。



今日覚えるもの

【!】固定式ソリッドフレーム

 回転式弾倉シリンダーが固定されている給弾方式。これはローディングゲートと呼ばれる穴から空薬莢を一本ずつ捨てて、そしてまた一発ずつ込め直すという「俺のリロードはレボリューションだ!」というアレ。排莢動作が死ぬほど時間がかかり、再装填動作にも死ぬほど時間がかかる。因みにシングルアクションの銃は回転式弾倉シリンダーの前装式と薬莢の開発の過渡期の武器でもあったためリロードの問題がとっても深刻であった。そのため「ならばそもそもしないで続けて撃つために二丁持つ」という方法が生まれた。これが二丁拳銃。つまり現代のリロードが速い拳銃を両手で持ってもそこまで意味はない。

 何のメリットが……と思われそうだが、回転式弾倉シリンダーが銃のフレームにガッチリと固定されているため、強烈な弾丸を使用することができるという利点がある。


【!】弾倉振出式スイングアウト

 その名の通り回転式弾倉シリンダーが横にガバッと出る給弾方式。ローダーという機器を使って一回で回転式弾倉シリンダーに弾丸を込める事も可能。リボルバーといったらだいたいこんな感じのイメージという基本中の基本。


【!】中折式トップブレイク

 回転式弾倉シリンダーの根本からガバッと銃が折れる方式。固定式ソリッドフレーム弾倉振出式スイングアウトの中間点のような存在。メリットとしてはコンパクトな機構で銃身バレルを長くとることができ、それ自体が命中率を上げることに繋がること。案外排莢が速いということと、弾倉振出式スイングアウトとは違って右利き左利きにとらわれないという点にある。だが構造上折れるところをヒンジだけで止めていたりと脆弱で、マグナムなどにはとても耐えられず、貧弱な弾丸しか使えないのであまりウケなかったが、イギリスはずっとこの方式のリボルバーを採用し続けた。様式美と言わんばかりの頑固ぶりである。

 因みに最近ではMP-412 Rexという中折式トップブレイクでありながら.357マグナムを撃つことが出来るポリマーフレームのリボルバーが登場していたりする。

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