3章

3-1 神のお告げ 再び

ーーー

『救世主。蛇を追え。』

懲りずにまた?

唐突に何を言い出すのかと思ったら。


『人類に降りかかる脅威なる者は、

開けてはならない箱を開け、

封印されていた厄災を解き放ってしまった。』

・・・脅威なる者?

相変わらず抽象的ね。

『その脅威なる者こそが、世界の災厄。

立ち向かった者はみな倒れ、

最後に残された希望はお前だけなのだ。』

何それ、パンドラの箱の話?

ちょっとアレンジされている気がするけど。


しかしこの場合、責任は箱を開けたパンドラ本人にあるわけで、厄災の封印をするのはパンドラの役目なのではないだろうか?と私は考えてしまう。

だから、英雄や救世主なんていうのは、誰かの招いたトラブルの尻拭いをさせられている人のことになる。

私はそんなのゴメンだ。


だいたいね。

アンタが誰なのか。何処にいるのか。目的は何なのか。こちらの質問には何一つ答えてないじゃない。

だから、抽象的な指示で行動をお願いされても困るのよ。


アンタが神を気取るのは勝手だけど。

得体の知れない者からの命令を夢で見て、それに従って行動しました。なんてことが知れ渡ったら、私は狂信者扱いだ。


神の命令は問答無用で聞く、なんて大間違い。人類史には“神殺し”の言葉がある通り、神に刃向かう者もいるということを知ったらどう?



『神か・・・。

ボ、いや、私はそんな不確かな存在ではない。』

じゃあ、いったい誰なのよ?


『・・・。』


核心に触れるといつもこうだ。

相手は黙り、世界は暗転。

私は目が覚め現実世界に引き戻される。


「絶対、正体を突き止めてやる。」

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